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ビジネスの見方!

皆さん、おはようございます!
事業というものは持てるノウハウを駆使し商品に化体することにより収益を享受するものです。その意味では、需要がある限り制約なくモノを作り続けられるメーカーは、とても効率の良いビジネスだったと思います。それ以上に情報を媒体とすれば更に効率が高まります。



今年度から日本でも適用される新しい会計ルールの影響で、小売業界などで売上高が小さくなる現象が相次いでいるようです。例えば三越伊勢丹ホールディングスでは、2022年3月期の連結売上高で約5000億円(前期比45%減)が消失してしまいます。コロナ禍の影響で実際に売上高が減少しているのではなく、あくまでも会計ルールによる影響です。


売上高の計上に関する新しい会計ルール「収益認識に関する会計基準」を適用することによる影響であり、これまで売上をいつ、どの様に計上するかがバラバラであったものを包括的に定めるものです。百貨店業界では「消化仕入れ」と呼ばれる契約で販売を行っているのですが、この販売方法は契約上は百貨店が商品を仕入れ在庫管理をしている訳でありません。


あくまでも店頭商品は売れるまで仕入先側の資産であり、在庫リスクも仕入先が負っています。百貨店は販売に関わる代理人の立場であり、店舗や売場や棚(時には販売員も)を取引先に貸し出している過ぎません。販売するリスクを負っていないなら、その商品の販売に係る売上高は仕入先に帰属するものであり、百貨店が計上するのは可笑しいと考えられます。


具体的には、店頭価格1万円、仕入価格6000円の商品が売れた場合、これまで売上高として1万円、利益として4000円を計上してます。しかし、新ルールでは売上高は店頭価格と仕入価格の差額である4000円を計上するものです。利益額は変わりませんが、契約上、実際に6000円の仕入をしている訳ではありませんので、新ルールが適してます。


これまでは同じ百貨店でも、業界内で売上を総額で計上する会社と新ルールに従って純額で計上する会社があり、財務諸表を見る人にとって単純に横並びで売上高を比較することが出来ませんでした。これを欧米諸国と同じ様に純額で計上することを新しい会計ルールで定めた訳です。百貨店業界と同じことが商社や電力業界でも起きていますので留意が必要です。


収益を認識する判断基準のグローバルスタンダードは、事業を営むということで事業者がリスクを負担し、それを独自のノウハウや技術力によってコントロールした結果として対応利益を享受することが出来る訳であり、その「リスク」を誰が、どの位を負っているかによって売上高の計上を決めていこうとするものです。多分に事業の実態に即した考え方です。


百貨店が負っている事業リスクは、商品在庫リスクではなく、店舗、売場、棚といった謂わば不動産会社の様な賃貸業としてのリスクと見做すことが出来ます。もちろん百貨店といったラグジュアリーな事業を営むことにより蓄積してきたブランド力もそこには含まれる訳です。その対価として、店頭販売価格と仕入価格の差額を百貨店の取り分として享受します。


この様に見てみますと、様々な業種、業態のビジネスモデルが浮き彫りとなって来ます。財務諸表というものは、表面的な数値の羅列を鵜呑みにすることなく、その背景にある事業そのものの仕組み(=事業構造、ビジネスモデル)を理解する為に役立つものであることが望まれます。事業リスクとそれをコントロールするノウハウ、技術こそが事業の拠り所です。


今日もありがとうございます!
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