誰にも聞けない経営財務戦略!

ビジネスの未来を財務と心で読み解くブログです!

CREATE LIFE!
より良い暮らしを創造しよう!

http://crelife.co.jp

東京都の事業承継ファンド!

皆さん、おはようございます!
長年、企業財務に関わり行きついたテーマが企業が持つ知的財産権などの無形資産です。無形資産は人々が日々の活動で育む創造力に依拠していることは言うまでもありません。それは、多分に人間の心理と関わるものであり、企業財務と心理学の交点に魅せられています。



東京都は中小企業の事業承継を支援するため新ファンドを創設します。複数の事業承継ファンドへの出資を目的に、12月を目処に120億円規模のファンドを組成する計画です。事業承継ファンドによる小規模企業への投資が充分に進んでいないことから、東京都が呼び水となる資金を提供することにより、第三者承継(=M&A)の成功事例を増やす考えです。


事業承継は、親族や従業員を対象にしたもののほか、M&Aなどで外部の第三者に引き継ぐケースがあります。東京都が新たに創設するファンドを通じて出資する事業承継ファンドはこの第三者承継(=M&A)の一部を担うことが期待されています。東京都が拠出する資金は60億円であり、民間企業の資金を引き出し、合わせて運用するための原資となります。


後継者はいないが魅力的な事業を抱える小規模企業の株式を買い取り、経営に関与して企業の価値を維持・向上させながら、事業の引受先を探すために活用されるのが事業承継ファンドです。近年、経営の先行きが見通せず、子供に事業を継がせたくないという声が増えており、4~8月の事業承継件数のうち8割が第三者承継(=M&A)とする実績があります。


ただ、後継者難のケースが目立つ規模の小さい事業者は、ファンドから投資効率が悪いとみられていること、事業承継を対象とするファンドも不足していることから、東京都はM&Aによる事業承継がまだ充分ではないと判断し、今般、新しいファンドを新設することに至った経緯があるようです。何故、直接M&Aを行わずファンドが買取るのか疑問が残ります。


小規模事業者などの間では、ファンドは利益獲得にしか関心がないというイメージが拭い去れないという考えも根強いようです。それもあながち間違ってはおらず、ファンドも一事業体として、利益を出していかなければなりません。この場合、小規模企業を取得した価額よりも高い価額で事業の引受先に譲渡しなければ、ファンド自体が成り立たなくなります。


その為には、取得した小規模企業の経営に関与して、事業改善を図りながら企業価値を向上させて行く必要があります。しかし、小規模企業は未だ事業としての基盤が確立していない企業が殆どであり、事業改善を図るためには売上を高めて行くことしか手立てがない企業が多いと思います。その様な可能性のある小規模企業にも限りがあるのも現実だと思います。


そもそも事業承継ファンドに、小規模事業を改善し企業価値を高めて行くノウハウがあるのか未知数でしょう。ただファンドという枠組みを作れば第三者事業承継(=M&A)が上手く進むという幻想を抱かせてしまう所に、形ばかりに捉われ本質を見極めていないような気がします。魅力的な企業であれば、直接買収しようとする企業が現れるものと思います。


いま多くの小規模企業が直面しているのは、折角よい事業資源を持っていながら、それを活かし切れず、業績が芳しくない企業が多いものと考えます。その様な企業に必要なのは、小規模事業者とともに事業に磨きを掛けて底上げして行くことです。その様なことを行える人財を多く輩出していくことの方が重要であり、その為に予算を投下した方が良いでしょう。


今日もありがとうございます!
http://crelife.co.jp

×

非ログインユーザーとして返信する