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ソフトバンクの株主価値経営!

皆さん、おはようございます!
6月もあっという間に過ぎ去り、早くも7月となりそろそろ梅雨明けが気になりだす頃です。今年は傘の出番が少なかった様に感じていたのですが、いまが本格的な梅雨空なのかもしれません。来週からは晴れマークが続き、暑い真夏の太陽が降り注ぎはじめます。



2020年3月期に連結営業損失1兆3646億円も計上し、渦中にあるソフトバンクグループ(=SBG)は、4兆5千億円もの負債削減を目指して矢継ぎ早に保有株式の売却を急いでいます。携帯通信網の世界制覇を目指していたはずですが、ソフトバンク株ならびに米通信大手であるTモバイルUS株をも売却し、その目標も頓挫した様に見えます。


SBGは、ICT(=情報通信技術)分野での覇権を賭けて、様々なスタートアップ企業への投資を積極的に進め、その株式含み益を拠り所として借入を行い、更にICTスタートアップ企業への投資を行うマネー循環を繰り返しながら10兆円を超える株式時価総額を築き上げています。その過程で10兆円ものビジョンファンドをも立ち上げています。


株価の下落など株式市場が収縮すると、SBGのような含み益に基づく経営を行っていては、一気にグループとしての屋台骨が崩れ去ってしまいます。ICT分野での覇権が絵に描いた餅となってしまったと揶揄されるSBGの問題点は、いったい何処にあるのでしょうか。それは、孫正義氏が標榜する株主価値経営に問題があるように思えてなりません。


SBGの株主資本経営とは、保有する株式の時価の総額から有利子負債を差し引いた指標です。ファイナンスの理論上は、この株主資本と株式時価総額(=市場株価に発行済株式
総数を乗じた額)は一致することになりますが、SBGの株主資本が20兆円であるのに対し株式時価総額は10兆円足らずしかありません。10兆円もの差額が生じています。


孫正義氏の考え方は、SBGとして株主資本経営を目指せば、結果的に株主にとっての株式時価総額を最大化できるものであり、株主に貢献している企業であるという理屈です。
それでは、この10兆円の差額は、何を意味するのでしょう。それは、孫正義氏の独断ともとれる多額なスタートアップ企業への投資の失敗に対する経営執行体制への不信です。


ことの発端は、米シェアオフィス、ウィーワーク創業者のずさんな経営が発覚し、2019年秋に予定した上場計画を撤回し、資金繰り悪化から経営難に陥ったことにあります。株主をはじめとする市場からみれば、なぜその様な粗悪なスタートアップ企業に多額の投資をしてしまったのか、それは孫正義氏への牽制機能が働かなかったからに尽きます。


ガバナンス体制に直接的な問題がありますが、それ以前の問題としてSBGは投資先であるスタートアップ企業に対する事業をマネジメントする能力に欠けていたということが出来るのではないでしょうか。それは、ウィーワークに対してだけではなく、いままで買収を行ってきた基幹事業であるソフトバンクに対してすら、その様な疑念が想起されます。


本来の株主資本経営とは、投資会社としてのそれではなく、事業会社としてきちんと商売をマネジメントし、様々な事業資源から構成される総体としての資産価値を最大限高めて行くことに他ありません。思い返してみれば、北尾吉孝氏率いるSBIグループの前進はソフトバンクであり、孫正義氏と仲違いした過去があることとも意味があるのでしょう。


今日もありがとうございます!
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