誰にも聞けない経営財務戦略!

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ドムドムバーガーのM&A

皆さん、こんにちは!
この週末をいかがお過ごしでしょうか?!
今日も既に東京の気温は29度を突破し、真夏日のようですね。
週末は時間の制約から解放され、太陽の光を一身に受け止めて自然児になるべきですね。


先週一週間は中小企業大学校の経営革新等認定機関登録の為の研修をみっちりと(^^;受けて来ました。久しぶりの1日8時間の慣れない座学で、週末は意識が朦朧。。
これでもかという矢継ぎ早の詰め込みで、まるで早送りの紙芝居を見たうる覚えの記憶をたどりながら素早いアウトプットの方法を鍛えられていた様な感じでした。


中小事業の財務支援を行うための公の機関登録であり、30年間、我流で財務を習得してきた私にとりましては、基礎的な財務指標について体系立てて学ぶ機会としては、頭の整理をするうえで、それなりに意義あるものであったと思います。クライアントの事業計画を立てる上で、事業資源と市場環境を踏まえて将来的な基軸を打ち立てるという考え方は平素から私もその様に考えて実践してきましたので、とても共感する部分がありました。


財務指数から事業の現状を理解する一般的な方法論については、一つの側面として事業を理解するうえでは大切だと思いますが、もっとマクロ的に事業の構造を理解し、財務ストラクチャーの観点と結び付けて事業を把握する体系化も大切なのではないかと思った次第です。建物でいえば構造計算だけではなく、構造デザインや意匠設計とでも言うのでしょうか。


GW以降、M&A案件の記事掲載が減って来たように思います。
企業の年度末の前後は、例年、翌年度以降の事業計画が公表されることもあり、M&A案件の公表も増化する時期でもあります。また、株主総会等を控えて何かと対外的に強気のリリースをする必要があるタイミングであることも考えられます。


その様な中で、今週はハンバーガーショップのドムドムがあるホテルチェーン企業に買収されるという記事が掲載されていました。ドムドムバーガーと言えば、確かダイエー系列の外食産業と言うのは直ぐに思い当たったのですが、日本で一番古いハンバーガーショップということは私も知りませんでした。


確かに記憶を辿れば、私が小学生のころから在ったように思います。実に40年余りモノ実績があるのですね。マックもそうですが、日本の食生活事情も今の若い人たちと我々の世代とでは大きく変わってきています。私の世代は、ハンバーガーと聞けば、ライトな洋食というイメージで物珍しさが半分以上であったように思います。


次代の変遷を掻い潜りながらも、ピーク時には300店近い店舗があったようですが、今時点でも55店存続しているとのことです。運営するオレンジフードコートは他にもクレープ等の業態を持っている様ですが、大半はショッピングセンターのインショップ型の店舗だと思います。


各々のショッピングセンターには時代に合わせたコンセプトがありますので、フードコートの内容も絶えず変え続けて行かなければなりません。その様な判断の中でのドムドムバーガー売却なのでしょう。一方、買収サイドのホテル側はホテルのライトミールを取り扱う機能として、シナジー効果(=相互補完効果)があると思います。


宿泊型のホテルが飲食機能を整えて行くのは、それなりの時間と労力を要するものですが、その実績のある機能を獲得できるのは経済的な合理性が認められます。また、当のドムドムバーガー、事業の所有者が変わっても事業を存続できる点については、これも希少な社会の資源を有効活用するという観点においては素晴らしいことだと思います。


私も、今はなき大手流通グループで再生&M&Aという業務に長年携わって参りましたが、事業を継続させることに着目し頑張って来ました。事業を清算するのは簡単ですが、そこまでに労を掛けて蓄積したノウハウと少なくともファンとなって頂いているお客様がいらっしゃいます。


その様な観点から、一度世に生まれた事業は最大限継続させる努力をするべきだというのが私の考え方です。だからこそ、認定登録を受けて今後増加すると考えられる、事業再生とM&Aという観点から、自由な立場で事業(再)構築に取り組んで参りたいと思う次第です。

「丸亀製麺」の香港・中華麺店買収価格

皆さん、こんばんは!
昨夜、突然の号外でしたが眞子さまがご結婚なさるのですね。
現天皇は早ければ来年には退位されるようですが、
世代交代を感じますね。


私の長男も先日、岐阜から嫁に来て頂き、結婚したばかりです。
私の結婚のタイミングには秋篠宮さまが成婚され、
親の代には現天皇が。。
巡り合わせというか、私自身も世代交代を強く感じる歳となりました。。


先日、日本郵政による野村不動産買収計画について注目しました。
その後、直近のM&Aの記事を振り返っていて、丸亀製麺を運営するトリドールが香港の中華麺チェーンを運営するジョインテッド・ハート・ケイタリング・ホールディング(以下、ジョインテッド社とします)を150億円で経営権を取得する案件に目が留まりました。


3ヶ月位前に、一風堂がマザースに上場しイギリス展開を本格化するという動きもありました。外食産業も、国内では少子高齢化等で、内需だけではなく市場成長が著しい海外展開をする時代なんですね。今回のトリドールの記事は買収価格の根拠が明確に記載されており、目に留まったものです。


ジョインテッド社は売上高100億円で、M&Aで買収価格を決定する際に重要なEBITDA(利払い・税引前・償却前利益)が20億円とのこと。ここから読み取れるのは、EBITDAベースで対売上利益率が20%。買収価格がEBITDAの7.5倍、利回り換算しても13%程度で回ることになります。


トリドールと同じ規模の上場外食チェーンのPERが20数倍(1株あたりの利益に対して株価が何倍になっているかの指標)であることを考えると、今回のEBITDA7.5倍という買収価格は健全な様に思えます。トリドールは今回の買収を足がかりに、中国市場への展開を狙いとしているとのことです。


海外企業を買収する場合には、カントリーリスクや為替リスク等も考慮に入れなければいけません。一方、一般的な金融取引(=海外株式投資等)に対して、経営権を取得できるメリットがあります。経営権を取得できれば、自由に事業が出来る利益としてのリターンがありますので、双方を相殺しても非常に堅実的であることに交換が持てます。


最近、大手企業の海外企業買収を見ていますと、想定ですがEBITDAの30-50倍何て言うM&A案件を見受けますが、買収対象企業もそこそこの企業なので競合企業との買収合戦で価格が吊りあがってしまうことも垣間見れますね。こう言うのを金融ではゲーム理論というのですが、出来る事なら渦の中に巻き込まれずに冷静に出来たら幸せですね。


一度行った投資は、二度とやり直しが効きませんので、その後の暖簾償却の負担を冷静に考えて自嘲しながら交渉のテーブルに着くのが丁度良いくらいでしょう。仮に暖簾を焼却せず減損評価することであっても、むしろそちらの方がボディーブローが大きいかもしれない事を充分に認識するべきでしょう。


一方、昨日の新聞には、長野県のサンクゼールという助撫養ワインを製造する会社がオレゴンの同業者ペリー・ノワールの農地と工場を取得したとの記事が出ていました。米国の高級スーパーへの販売で3年後には10億円の売上を目指すそうです。地産地消のさしずめ農業の6次産業化を地で行くというきめ細かさを感じる素晴らしい取引かと思います。


M&Aを行うには金額の大小にかかわらず要する手間は一緒です。自社のビジョンに基づき、そのビジョン実現に必要な事業の機能だけを取得し、リスクを最小限に抑えながら、経営努力により最大の果実を得る、こんなM&Aが私は好きです。両者の事業にはその事業を運営する方々の顔が見えると思いませんか。


単に事業の表面的な数値を見て、財務的に指数分析をしたところで事業の本質は見えて来ません。数字が経済事象や経済行為の結果として追随的に表現されるものであるのなら、その実績が示す数字が何を語っているのかを想像しなければ、更にはその想像し得たものを踏まえた未来を夢見なければ、本当の意味でのM&Aは出来ないと思います。


ある日本のM&A業界の草分けの代表が、「心のM&A」と言っていました。私も、世代交代の年代を迎えて、やっとその意味が少しだけ分かるようになったと思います。人がいて、事業が興きて、その結果として財務会計がありますが、その逆はありません。
私が目指す財務戦略は心の財務なのかもしれません。


事業や人に少しでも近付きたいという、飽くなき思いだけは忘れずにいたいと思います。


日本郵政の野村不動産買収検討

皆さま、こんばんは!
さぁ、日曜日も宵の口で、また明日から一週間がはじまりますね。
私は明日は松本市へ日帰りなのですが、
あずさ1号では時間に間に合わないので、愛車のFitで中央Freeway~♪です。


金曜日の晩、家に帰りましたら家内が日本郵政が野村不動産を買収するの知ってる?!
と、少々酔いが回ったところでの突然の話しでしたので、
一瞬、マサカ??
確か先日、豪州の物流大手トール・ホールディングスで大穴を開けたばかりなのに。。


確かに日本郵政民営化後の経営方針の中で、
日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命という3現業部門以外にも
これら事業に跨る重要な経営資産として日本全国に郵便局という「不動産」を保有しており、これらの不動産をどの様に有効活用すべきかが問われていますが、10年前よりあまり目立った動きがないように思います。


確かに東京は丸の内の一等地のKITTEは不動産事業として完成度が高いので、一定の成功だったのではと思います。確か。。三菱地所との共同事業ではないかと思います。
一方、今年、名古屋駅前でもKITTEがOPENしていますが、こちらは丸の内の縮小版で少々導線が分かり難く、商業ビルなのかオフィスビルなのか良く分からないです。


でも、日本郵政は日本全国の市町村に郵便局を展開しており、店舗数ではセブンイレブンの比ではないはずです。その意味では、民間企業の中で日本一の不動産保有を誇り、かつ事業拠点数という意味でも、他に類を見ないほどの拠点数を擁しており、将来的な事業機会という意味では立地産業の中で非常に優位な立場だと思います。


その日本郵政が野村不動産の買収を検討する意味合いは、自社保有の不動産を「有効活用」し、新たな事業の柱にしたいという意味においては正しいかなと思います。
買収価格も野村不動産が上場していることからTOBになる為、今回も数千億円単位の買収になるようですが価格の妥当性も担保されます。


日本郵政の不動産開発という意味においては、日本郵政も不動産開発ノウハウを享受できるし、野村不動産側も東京五輪を控え高止まりをしている不動産価格を取得するのが難しくなっている中で新たな事業用地を獲得できるという意味においては、双方ともWin-WinのM&Aとしては最良のご縁談ではと思われることと思います。


が、しかしです。
実際に日本郵政の不動産を有効活用して行く為には、6000人もの優秀な不動産従事者をグループに擁する必要があるのでしょうか。
多くとも、その1/10位のノウハウを得られれば十二分に不動産有効活用は達成できるのではないでしょうか。


残りの9/10は既存の野村不動産という従来からの事業を買収することであり、両者のシナジー効果とは関係のない、野村不動産固有の事業を買収することになります。本当にその部分を日本郵政が必要としているのか否かは分かりませんが、極端な見方をすると「株式投資」を行うのと同じであり、裏を返せば事業のリスクを抱え込むのと同義です。


ここで豪物流会社の買収が彷彿されるのですが、日本郵政はM&Aの目的をどの様に考えてられるのか気になるところです。今から不動産業界に殴り込みを掛けるとお考えだとしたら、まだ理解できますが、人口が確実に減少して行く中で、また東京五輪後に特需が剥げると業界の関係者が冷静に受け止められていることをどの様にお考えなのか。


確かに、昨今、新聞紙上を毎日のように賑わしているM&Aの多くは新たな産業への進出の為に時間を買う、または海外旬出を果たす為のマーケットを獲得する為のM&Aが多いように思います。M&Aにおいて大切なのは、規模の大小ではなく投資対効果の観点から、如何に少ない資金で多くのリターンとしての利益を得るかです。


その為には、如何に事業統合する両者間における多くの相互補完効果が見いだせるかが重要です。上場企業およびそれに類する企業の買収は、株式市場というマーケットで株価が合理的に決定されていますので、よほど事業上の相互補完性によりニュービジネスが創出されない限り、または何れかの事業構造が大幅に変革しなければ、買収後に市場価格以上の企業価値に底上げするのは相当に難しいと言わざるを得ません。


M&A取引が千三つと言われるのは、その様な所以があるのかもしれません。
日本郵政が本当に着実に不動産事業を立ち上げて行かれるのなら、小さく産んで自助努力で事業を拡大して行くことが、最大の利益を享受できるのではないでしょうか。
その事業の種となる小粒だがキラリと光るノウハウを持つ企業を買収することも考えられるかもしれません。


改めてM&Aとは両者が統合することにより1+1=3以上となる事業の仕組みを如何に構造として思い描けるかだと考えた次第です。企業が組織により運営されている以上、トップの一存だけではM&Aの様な大事業は行えず、コンセンサスという難しさがあることを頭の片隅に置いておかなければいけませんね。さぁ、どの様な方向に進んで行くのでしょうか。。