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アイディア資本主義

皆さん、こんにちわ!
最近、ニュースを見ていますと、テロや政治疑惑等、なんでこんなに毎日ドロドロとした人間のエゴとも言える様なことが表面化する一方で、若い眞子様と海の王子様の溌剌とした報道は本当に今後の日本を担う方々という意味でも嬉しいものですね。


昨日の朝刊の一面で「アイディア資本主義」という見出しに目が留まった方も多いと思います。優れたアイディアがあれば誰でも起業できるアイディア資本主義は、アイディア次第でベンチャーキャピタルや最近の時流であるクラウドファンディングを活用した資金調達の垣根が世界的に低くなってきているというものである。


また「協同組合の可能性~グローバル時代に相互扶助の精神を活かす」というフォーラムの案内も掲載されていました。私も知らなかったのですが、協同組合という法体系が、昨年、ユネスコの無形文化遺産として認定されていたのですね。申請者はドイツとの事ですが、日本独自の組織体かと思いきや欧州から持ち込まれたものだったのですね。


認定理由を調べると、「共通の利益と価値を通じてコミュニティづくりを行うことができる組織であり、雇用の創出や高齢者支援から都市の活性化や再生可能エネルギープロジェクトまで、さまざまな社会的な問題への創意工夫あふれる解決策を編み出している」とあり、従来の資本主義と社会主義の中間的な機能を持っています。


アイディア資本主義もこの協同組合の件も、共通点があることに気が付きました。何れも規模の合理性ではなく、個人や個性といったパーソナルに基づくものであるということです。規模の経済では文字通りスケールメリットを追求するので、没個性、標準化、機能性、形式的、効率性といった人間の個性を阻害する様な言葉が思いつきます。


今の時代を見つめてみますと、効率性を追い求め過ぎた為に、置き去りにしてきたものが沢山あるように思います。組織内のコミュニケーションではコンセンサスが尊ばれ、個人の暗黙知的な意見は黙殺せざるを得なくなり、個人の意見よりも大衆の意見が優先される。この様に生まれてから、その様な考え方に疑問を持たずに受け入れて育ってしまう。


いま小規模事業者持続化補助金申請のお手伝いをしているのですが、6つの事業者の共同申請なのですが、各事業者の役割と補助申請する費用を紐付けるのが、各々の事業内容が異なるので、負担案文を考慮しながら記載するにはどうにもこうにも申請書への収まりが悪い。


地域のインテリア家具を作る匠の技を持つ事業者から、製材する事業者、そして素材を生産する事業者まで、業態も異なれば収益率も異なるので、共同事業における利害調整に苦慮していた次第です。この様な時に協同組合という概念は、地域で連携しながら事業を営む者にとっては収まりが良いと感じた次第です。


また、手塩お掛けて作る手作りの家具は、工場生産にはない生産者の「五感」をフルに活用する暖かさがあります。冒頭に触れさせて頂きましたアイディア資本主義と通ずるものを感じます。個人の創造力を源泉とするいう意味では、規模の経済を前提に運営する企業組織においては相容れない矛盾があります。


情報化社会にも良し悪しがありますが、個々人が個々人の必要とする情報を得られるという意味においては、個性の後押しをする素晴らしい時代かとも思います。そらがまた、個々人を更に個性化に向かわせていることは間違いありません。この様に考えると、先の協同組合のユネスコ認定理由にもある従来の資本主義社会からもう少し個人寄りの新たな社会の考え方が芽吹きつつあるように思います。


私は、あまり二律相反の考え方が好きではなにのですが、資本主義の考え方と個人主義の考え方が上手く中和した考え方が生じてくるのかもしれません。それが、上手く地域経済、更にはそこで事業を営む中小企業が興隆して行くきっかけとなれば良いのではと思います。


その為には、ミクロ的には各々の中小企業も自らの経営資源を凝視し、時代の変化に合わせてそれを新たな構想のもとリデザインしていくことも不可欠だと思います。企業を取り巻く全ての仕組みが上手く調和しながら地域経済も個性を強めて行ければ良いと思います。これからの時代、必ずしも大が小を呑みこむ時代ではないと思います。


そこに必要なのは個々人の創造力ではないでしょうか。

ドムドムバーガーのM&A

皆さん、こんにちは!
この週末をいかがお過ごしでしょうか?!
今日も既に東京の気温は29度を突破し、真夏日のようですね。
週末は時間の制約から解放され、太陽の光を一身に受け止めて自然児になるべきですね。


先週一週間は中小企業大学校の経営革新等認定機関登録の為の研修をみっちりと(^^;受けて来ました。久しぶりの1日8時間の慣れない座学で、週末は意識が朦朧。。
これでもかという矢継ぎ早の詰め込みで、まるで早送りの紙芝居を見たうる覚えの記憶をたどりながら素早いアウトプットの方法を鍛えられていた様な感じでした。


中小事業の財務支援を行うための公の機関登録であり、30年間、我流で財務を習得してきた私にとりましては、基礎的な財務指標について体系立てて学ぶ機会としては、頭の整理をするうえで、それなりに意義あるものであったと思います。クライアントの事業計画を立てる上で、事業資源と市場環境を踏まえて将来的な基軸を打ち立てるという考え方は平素から私もその様に考えて実践してきましたので、とても共感する部分がありました。


財務指数から事業の現状を理解する一般的な方法論については、一つの側面として事業を理解するうえでは大切だと思いますが、もっとマクロ的に事業の構造を理解し、財務ストラクチャーの観点と結び付けて事業を把握する体系化も大切なのではないかと思った次第です。建物でいえば構造計算だけではなく、構造デザインや意匠設計とでも言うのでしょうか。


GW以降、M&A案件の記事掲載が減って来たように思います。
企業の年度末の前後は、例年、翌年度以降の事業計画が公表されることもあり、M&A案件の公表も増化する時期でもあります。また、株主総会等を控えて何かと対外的に強気のリリースをする必要があるタイミングであることも考えられます。


その様な中で、今週はハンバーガーショップのドムドムがあるホテルチェーン企業に買収されるという記事が掲載されていました。ドムドムバーガーと言えば、確かダイエー系列の外食産業と言うのは直ぐに思い当たったのですが、日本で一番古いハンバーガーショップということは私も知りませんでした。


確かに記憶を辿れば、私が小学生のころから在ったように思います。実に40年余りモノ実績があるのですね。マックもそうですが、日本の食生活事情も今の若い人たちと我々の世代とでは大きく変わってきています。私の世代は、ハンバーガーと聞けば、ライトな洋食というイメージで物珍しさが半分以上であったように思います。


次代の変遷を掻い潜りながらも、ピーク時には300店近い店舗があったようですが、今時点でも55店存続しているとのことです。運営するオレンジフードコートは他にもクレープ等の業態を持っている様ですが、大半はショッピングセンターのインショップ型の店舗だと思います。


各々のショッピングセンターには時代に合わせたコンセプトがありますので、フードコートの内容も絶えず変え続けて行かなければなりません。その様な判断の中でのドムドムバーガー売却なのでしょう。一方、買収サイドのホテル側はホテルのライトミールを取り扱う機能として、シナジー効果(=相互補完効果)があると思います。


宿泊型のホテルが飲食機能を整えて行くのは、それなりの時間と労力を要するものですが、その実績のある機能を獲得できるのは経済的な合理性が認められます。また、当のドムドムバーガー、事業の所有者が変わっても事業を存続できる点については、これも希少な社会の資源を有効活用するという観点においては素晴らしいことだと思います。


私も、今はなき大手流通グループで再生&M&Aという業務に長年携わって参りましたが、事業を継続させることに着目し頑張って来ました。事業を清算するのは簡単ですが、そこまでに労を掛けて蓄積したノウハウと少なくともファンとなって頂いているお客様がいらっしゃいます。


その様な観点から、一度世に生まれた事業は最大限継続させる努力をするべきだというのが私の考え方です。だからこそ、認定登録を受けて今後増加すると考えられる、事業再生とM&Aという観点から、自由な立場で事業(再)構築に取り組んで参りたいと思う次第です。

「丸亀製麺」の香港・中華麺店買収価格

皆さん、こんばんは!
昨夜、突然の号外でしたが眞子さまがご結婚なさるのですね。
現天皇は早ければ来年には退位されるようですが、
世代交代を感じますね。


私の長男も先日、岐阜から嫁に来て頂き、結婚したばかりです。
私の結婚のタイミングには秋篠宮さまが成婚され、
親の代には現天皇が。。
巡り合わせというか、私自身も世代交代を強く感じる歳となりました。。


先日、日本郵政による野村不動産買収計画について注目しました。
その後、直近のM&Aの記事を振り返っていて、丸亀製麺を運営するトリドールが香港の中華麺チェーンを運営するジョインテッド・ハート・ケイタリング・ホールディング(以下、ジョインテッド社とします)を150億円で経営権を取得する案件に目が留まりました。


3ヶ月位前に、一風堂がマザースに上場しイギリス展開を本格化するという動きもありました。外食産業も、国内では少子高齢化等で、内需だけではなく市場成長が著しい海外展開をする時代なんですね。今回のトリドールの記事は買収価格の根拠が明確に記載されており、目に留まったものです。


ジョインテッド社は売上高100億円で、M&Aで買収価格を決定する際に重要なEBITDA(利払い・税引前・償却前利益)が20億円とのこと。ここから読み取れるのは、EBITDAベースで対売上利益率が20%。買収価格がEBITDAの7.5倍、利回り換算しても13%程度で回ることになります。


トリドールと同じ規模の上場外食チェーンのPERが20数倍(1株あたりの利益に対して株価が何倍になっているかの指標)であることを考えると、今回のEBITDA7.5倍という買収価格は健全な様に思えます。トリドールは今回の買収を足がかりに、中国市場への展開を狙いとしているとのことです。


海外企業を買収する場合には、カントリーリスクや為替リスク等も考慮に入れなければいけません。一方、一般的な金融取引(=海外株式投資等)に対して、経営権を取得できるメリットがあります。経営権を取得できれば、自由に事業が出来る利益としてのリターンがありますので、双方を相殺しても非常に堅実的であることに交換が持てます。


最近、大手企業の海外企業買収を見ていますと、想定ですがEBITDAの30-50倍何て言うM&A案件を見受けますが、買収対象企業もそこそこの企業なので競合企業との買収合戦で価格が吊りあがってしまうことも垣間見れますね。こう言うのを金融ではゲーム理論というのですが、出来る事なら渦の中に巻き込まれずに冷静に出来たら幸せですね。


一度行った投資は、二度とやり直しが効きませんので、その後の暖簾償却の負担を冷静に考えて自嘲しながら交渉のテーブルに着くのが丁度良いくらいでしょう。仮に暖簾を焼却せず減損評価することであっても、むしろそちらの方がボディーブローが大きいかもしれない事を充分に認識するべきでしょう。


一方、昨日の新聞には、長野県のサンクゼールという助撫養ワインを製造する会社がオレゴンの同業者ペリー・ノワールの農地と工場を取得したとの記事が出ていました。米国の高級スーパーへの販売で3年後には10億円の売上を目指すそうです。地産地消のさしずめ農業の6次産業化を地で行くというきめ細かさを感じる素晴らしい取引かと思います。


M&Aを行うには金額の大小にかかわらず要する手間は一緒です。自社のビジョンに基づき、そのビジョン実現に必要な事業の機能だけを取得し、リスクを最小限に抑えながら、経営努力により最大の果実を得る、こんなM&Aが私は好きです。両者の事業にはその事業を運営する方々の顔が見えると思いませんか。


単に事業の表面的な数値を見て、財務的に指数分析をしたところで事業の本質は見えて来ません。数字が経済事象や経済行為の結果として追随的に表現されるものであるのなら、その実績が示す数字が何を語っているのかを想像しなければ、更にはその想像し得たものを踏まえた未来を夢見なければ、本当の意味でのM&Aは出来ないと思います。


ある日本のM&A業界の草分けの代表が、「心のM&A」と言っていました。私も、世代交代の年代を迎えて、やっとその意味が少しだけ分かるようになったと思います。人がいて、事業が興きて、その結果として財務会計がありますが、その逆はありません。
私が目指す財務戦略は心の財務なのかもしれません。


事業や人に少しでも近付きたいという、飽くなき思いだけは忘れずにいたいと思います。