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財務をデザインする!

皆さん、おはようございます!
今年も秋の訪れが駆け足でやって来ました。その様な季節の変わり目に結婚記念日と誕生日があります。昨日は久しぶりに平日をプライベートタイムに充て、のんびりと蔵前、浅草を散策してきました。時には自らの感性を研ぎ澄まし、英気を養おうと思ってのことです。



古巣の競合企業とはいっても業界のリーディングカンパニーである信越化学が、いまだに持ち前の徹底した堅実経営を貫き通し、他社を寄せ付けない圧倒的な地歩を固めているようです。コストへのこだわりは有名であり、信越化学のDNAとして今へも繋がっており、1人当り営業利益が5年間で5割増という「少数精鋭経営」への磨きが更に掛っている様です。


生産工程の合理化や製品物流効率化、本社など管理部門の経費削減などを約30年にわたり進めてきた実直経営の賜物だと思います。理論株主価値8兆4562億円に迫る実勢株価を付けており、市場からも高い評価が為されていることが理解できます。自社ビルを持たず東京の大手町に築50年のビルの一角を借りているのは象徴的な経営スタンスだと思います。


半導体シリコンウエハーのシェアが世界首位の信越化学ですが、その一方でローテクと化している塩化ビニール樹脂事業では、なんと営業担当が10人にも満たないにも拘わらず609億円もの純利益を稼ぎ出しているといいます。そう言えば、信越化学が事業撤退したという話しを聞いたことがありません。儲からない事業も、儲かる様にしてしまうのでしょう。


信越化学の特徴は、ローテク化した事業でも買収により世界的な市場を取りに行き高いシェアを維持しながら、取引先との価格交渉力を武器に長期契約の割合を高めていく戦術にあります。それにより市況変動の影響を受けずに、安定的に経営を営んで行くことが可能となります。また、従業員一人ひとりには、特定分野でのプロとなる方針を掲げているそうです。


塩化ビニール事業を営む米子会社シンテックの買収の際に、日本の企業にありがちな買収することが目的化してしまう脇の甘さを排し、徹底した価格交渉を行っていたことが印象的です。それはそうでしょう、もう成長性の乏しい成熟市場の事業を買収し、市場占有率の優位性を背景としたビジネスモデルですから、高い買収価格は命取りとなってしまうでしょう。


信越化学はとても地味な燻銀の様な商売哲学をもって事業を営んでいる一つの例だと思います。それでも競合である旭化成、三井化学、三菱ケミカル、住友化学といった化学メーカーを売上高販売管理費率、従業員1人り当り営業利益、株式時価総額でも大きく引き離す実績を持っています。商売とは何であるかを教えさせられる日本を代表する企業なのでしょう。


外目からは企業内部の様子は見えてきませんが、きっとそこで働く従業員は信越化学という理念をDNAとして受け継ぎ、そのプラットフォーム上で自律的に自由闊達に仕事に打ち込んでいるのではないかと思います。財務数値は飽くまでも結果であり、これだけの結果を残すためには、数字に厳しくあってもそれを追い求めるだけでは実績が伴わないと思います。


各人がプロとしての次元高いモチベーションで培ってきた暗黙知を社内外の人々との関わりの中で形式知にまで高める、風通しの良いコミュニティとしての土壌、言いかえれば共感し合い仕事を進めていく信頼関係が確立されているものと思います。このヒト、カネといった相容れない経営資源をバランスよくデザインしていくことが経営の神髄なんだと思います。


今日もありがとうございます!
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