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企業連携による新たなサービス!

皆さん、おはようございます!
産業界をみていますと、各企業が専門特化し過ぎているように思えます。その行き過ぎた縦割り構造が、私たちの生活に不便さを与えているものと思います。もう少し、各企業が手を取り合って新たなサービスを創出すべき時ではないでしょうか。



いまの企業は、右肩上がりの成長を遂げるために、本業である商品の機能、品質、サービス力を高めてきた歴史があると思います。それを実現する為に、必要な技術、ノウハウを研ぎ澄ませることに傾注し、ある特定領域における専門性を極めて、新たな派生的な新商品を世に送り続けてきたものと思います。


モノが売れなくなったいまも、その専門性を磨くことに日夜注力することは良いことだと思いますが、その結果として企業組織までもが専門分化してしまっています。もともと日本の企業は全ての事業資源を自前主義で自社内に留めることと相まって、非常に外に対して内向きな特徴をもつ組織であるということが出来ると思います。


各企業がその様な特徴を持つために、企業同士が連携して新たなサービスを生み出すことが為されておらず、企業という枠組みを超えたところに存在する社会のニーズに応えられていないという問題があります。消費者側も、そんなサービスがあったら便利なのに、それが実在しない為に、無意識のうちに不便さを強いられているのではないでしょうか。


今般、東京海上日動火災、地方銀行、輸出代行のグローバルブランド(名古屋市)が協働で、米アマゾン・ドット・コム向けに出品しようとする中小企業に輸出手続代行や保険、融資を包括的に提供するサービスを始めるそうです。各々の業界、地域、企業規模を超えた新たなサービスの取り組みとして、注目できると思います。


最近では、中小企業も海外市場で自社製品を販売しようとする動きが活発になっており素晴らしいことだと思います。特に中小企業がネット通販で海外のお客様向けに取り引きをする越境ECが拡大しており、米国の消費者が越境ECで購入する日本製品の規模は1兆2千億円(2021年)と2017年対比で7割増える見通しです。


特に日本茶、日本酒、陶器や包丁といった日用品、小型デジタル機器といった中小企業が得意とする多品種少量生産の商品が人気の様です。ところが、これら中小企業が取り扱う商品の量が少ないために、各企業が単独で輸出するには物流費などが嵩むほか、米国流消費者文化である製造物責任の保険料が高いため輸出を躊躇する企業が多い様です。


そこに目を付けた東京海上火災保険、地方銀行、グローバルブランド連合が、複数の中小企業の取り引きをまとめることにより、物流費や保険料を引き下げる新たなパッケージ商品を提供するに至った訳です。グローバルブランドは、国内中小企業から商品を集め、米アマゾンの倉庫までの輸送を手配したり、サイトへの出品手続代行を請け負います。


その他にも米消費者向けにSNSで商品の販売促進も手掛けるようです。東京海上日動火災は、海外輸送や倉庫での保管の際に商品が壊れた時の保険や米国内で販売した時に生じる製造物責任に必要な賠償保険を提供します。地方銀行は、融資や海外進出支援を通じて顧客企業に海外進出を促がす予定です。


今回の新サービスが実現に至った経緯を推測しますと、グローバルブランドが東京海上日動火災保険に新しいビジネスモデルを持ちかけたことが契機になっているのではないかと思います。グローバルブランド自体は、2012年創業の資本金1千万円の中小企業であり、越境ECをはじめとする海外輸出商社(米国と英国に支店を持つ)です。


東京海上火災保険から同社に本サービスの話しを持ちかけるとは考え難く、中小企業の海外進出動向を熟知するグローバルブランドが、高い保険料を引き下げるべく貨物を混載にすることを考えつき、同保険会社に話しを持ちかけたのではないかと思います。東京海上日動火災保険は、営業政策的にも合致した話しですので前向きに検討したのでしょう。


その結果、中小企業の海外進出支援を行うのであれば、彼らとパイプのある地方銀行を巻き込んでしまい、大々的に全国レベルで展開しようということになったのではないかと思います。東京海上日動火災保険としては、スケールメリットを追求したいとの思いもあるでしょうが、グローバルブランドが貨物を混載することにより実現するサービスです。


大企業の論理として、越境ECという潜在需要の存在に目をくれることもなかったと思います。それでも、それを商品化に結び付けたところは、大手企業も変わりはじめて来たものと受け止めることが出来るでしょう。社会で起きているニッチな新たな需要については、やはり小回りの利く中小企業の方がよく知っている好例でしょう。


今日もありがとうございます!
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