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金融庁の指針が「再生支援」を軸へ!

皆さん、おはようございます!
経営者が事業で成功できるか否かは、多分に自身で描く事業構想に思い入れ過ぎず、絶えず客観的に自分を俯瞰する余裕を持つことだと思います。それは頭で論理的に考えることでなく、自分に出来ることの延長線上で遣りたいことを念じていると何れ環境が整うものです。



新型コロナウイルス禍後の経済活動が正常化したことを受け、金融庁は2024年春に金融機関向けの監督指針を改正するそうです。これまでの企業の資金繰りから、事業再生に支援の軸足を移すように明記するとしてます。本来ならコロナウイルス禍中にゼロゼロ融資をジョブジャブ行う前に手を打つべきだったと考えますので、少し遅きに逸した感もあります。


今頃になって過剰債務を抱える融資先に対し、債権放棄を含む抜本策の実施を促す方針を決めた訳です。コロナ禍がなかったとしても数多の中小企業は業績不振に陥っていたわけであり、コロナという免罪符によってゼロゼロ融資というカードが切られてしまったが故に、本来、事業の再構築をしなければならない企業までを生きながらえさせてしまったからです。


安易な返済猶予によって企業の経営状況がより深刻化するのを防ぐことを念頭においています。確かに、返済猶予が行われることによってゾンビ企業が抜本的に事業を再構築することなく生かされ続けるよりもましでしょう。もちろん、債権放棄をする際には、それ以前に事業再構築しても過去の事業で積み上がった超過債務を回収できない蓋然性が必要でしょう。


監督指針の改正案には「資金繰り支援に留まらない経営改善支援や事業再生支援等」について「先延ばしすることなく実施する必要がある」と記すようです。これまでの金融機関は、金融行政の下でツケの先延ばしを行う慣行が染みついてしまっています。今般の指針が骨抜きにならないように、どの様な状況の再生支援すべきかガイドラインを出すべきでしょう。


収益低下や過剰債務など事業継続に支障が出る経営状況かを判定し、金融機関側から支援メニューを提示するよう求めることも必要でしょう。金融庁としては、全国銀行協会に対して中小零細企業の私的整理ガイドラインを改正するよう要請する模様です。同ガイドラインには、抜本的な再生に必要な債務減免(=銀行からみれば債権放棄)手続きを定めています。


改正では、金融機関が経営悪化の予兆を把握した段階で事業再生に踏み込めるようにする点は前向きに受け止めるべきでしょう。意外にも中小企業側には経営に対する危機感が薄いことが往々にしてあるからです。井の中の蛙ではありませんが、長年、業績不振企業の中で事業を営んでいますと、それが当たり前のように感じてしまう人間の心理は怖いと言えます。


この指針の変更に関して課題がないわけではありません。実質無利子・無担保のゼロゼロ融資残高について、多くの金融機関では正常債権として扱っており、貸倒引当金を十分に積んでいないのはもちろん、そこに債権放棄という損失が付け加われば、そうでなくとも業績悪化で喘いでいる地域金融機関にとって、更なる体力の消耗をさせてしまうことになります。


また、事業再生させるにしても、中小企業が抱える課題が産業構造の変化にともなう構造不況であることを考慮しますと、ただ単に財務面からリストラを行っても付け焼刃に過ぎず事業構造の転換という新しいビジネスモデルを創出していくことが不可欠である忘れてはなりません。それを金融機関で行えるわけはなく、外部支援者でも一握りに限られるでしょう。


今日もありがとうござます!
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