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EVA経営と人的資本経営!

皆さん、おはようございます!
会社員時代の私は、会社のエゴと感じることには絶対に与しませんでした。それどころか社会的な意義が高いと感じると腹の底からフツフツとエネルギーが湧いてきて、どんなに難しい課題であろうと周囲を巻き込んで、解決してしまう不思議なパーソナリティを持ちます。



花王が苦境に立たされています。2022年12月期(=国際会計基準)の連結純利益が860億円と前の期に比べて22%も減少し、期初の増益予想を4年連続で達成できなかったからです。原材料の価格転嫁や製品の在庫増加などの対応が遅れたことが主因です。花王はEVA(=経済的付加価値)経営という金看板を背負って健全経営を続けていたはずです。


経営指標であるEVAの運用を見直し、ROIC(=投下資本利益率)という財務指標と併用した経営に転換し、聖域を設けず改革に乗り出していく構えです。EVAは税引後営業利益(=NOPAT)から株主や債権者の要求リターンである資本コストを引いて算定します
。プラスであれば経済価値を生み出し、マイナスなら価値を毀損していることになります。


花王の業績悪化が鮮明なのがEVAであり、前期は前々期比67%減の147億円と過去10年間で最低水準となってます。成長軌道に取り戻す方法の一つがROICの導入であり、各事業の位置づけと目指す方向を定めポートフォリオ管理を徹底し、事業ごとにROICによる採算管理を行い、不採算事業については撤退することも視野に入れているのでしょう。


私も今から20年間も遡る2000年代の初頭に移籍した大手化学メーカーで、今般の花王と全く同じ考えで資本コスト概念を採り入れ、全ての事業をポートフォリオにプロットしてROICと併用したEVA経営を導入し、株価時価総額を3年間で3倍に高めた実績を持ちます。当時はバブル経済崩壊後の傷跡の癒えない業績を立て直す為の財務リストラでした。


今も当時と同じ手法を使うかと言われれば、答えはNoです。確かにそれら企業の経済価値を判断する指標としては未だコーポレートファイナンスの教科書にも記載されてる筋金入りの理論ということになります。それが目的としていることは飽くまでも企業の株価を上げることであり、企業を取り巻く多くの利害関係者のうち株主しか見ていないことになります。


財務上、企業の見掛けの経済価値を増やしたことになりますが、本来、企業の付加価値は社会が求める新規商品を提供することにより実現していくものです。いつまでも過去に開発した商品にしがみついて効率性ばかりを求めていても始まりません。大手企業はもっと時代の変化を真摯に受け止め、絶えず自社の事業構造を変革していかなければならない存在です。


その意味では、長きに渡り人財が「資源」でありコストという見方が為されてきましたが、発想を抜本的に転換する時代が到来しているということができるのではないでしょう。人財は、本人の主体的意思と環境次第でその本源的価値が無限に高まる存在であり、その意味では「資本」と捉えることが相応しいのではないでしょうか。それが人的資本経営なのです。


企業は自らの存在意義であるパーパスを策定し、それに沿って社員は仕事を通して社会の課題解決に主体的に取り組んでこそ、あとから業績が付いてくるものでしょう。その為には、現在の会計規定を見直し、人財を資本として貸借対照表に計上できる様にすることも、花王の様な企業に本当の意味で経済価値を最大化するインセンティブを与えることになります。


今日もありがとうございます!
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