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大手総合商社、三菱商事!

皆さん、おはようございます!
これからのビジネスは硬軟両面を兼ね備えることが必要だと思います。硬い部分は、財務数値などにより論理的にビジネスを捉えること。軟らかい部分は、感性などによってマーケット動向を予見することでしょう。勿論、論理より感性が大切なのは言うまでもありません。



商社初の純利益1兆円へ快走を続ける三菱商事ですが、稼ぐ力を示す財務指標や配当も軒並み過去最高にも拘わらず、市場の評価は伸び悩み、実績PBR(=株価純資産倍率)は解散価値とされる1倍を下回っている様です。大手総合商社といえば持てる8つの商社機能、中でもビジネスをオーガナイズする機能を駆使して、関わっていない事業領域がない位です。


商社の8つの機能とは、①商取引機能、②情報・調査機能、③市場開拓機能、④事業開発・経営機能、⑤リスクマネジメント機能、⑥物流機能、⑦金融機能、そして⑧オーガナイザー機能があると言われています。ビジネスのことなら何でも手を伸ばすという印象のある総合商社ですが、最近では商取引よりも事業投資する投資会社といイメージが拭い去れません。


三菱商事も、事業領域として金属資源、天然ガス、コンシューマー産業、食品産業、電力ソリューション、複合都市開発など、わが国のインフラを支える基幹産業を主力事業としています。流石、如何に三菱商事が途轍もない規模を誇る日本でも有数の総合商社であるかが理解できると思います。各々の事業が巨大過ぎており、独立した企業体でも良い位でしょう。


同じ企業の中で、これだけ様々な事業を営んでいますと各々の事業が相互補完(=シナジー
)効果を発揮することが難しくなると思います。投資家から見た場合、そのシナジー効果が明確に発揮できていなければ、複合的に事業を営んでいる積極的な理由が見当たらず、むしろ外から事業実態が見え難いことからコングロマリットディスカウントが起きるでしょう。


穿った見方をすれば好調な業績は、世界経済が混乱する中で資源高につられた他力本願と見られる可能性すらあります。その様な業績は投資家から見れば三菱商事の実力ではありませんので株価として評価した場合に伸び悩むのは当然でしょう。日本経済新聞が独自に各事業の価値合計を算出していますが、類似事業を批准したマルチプル法によるものだからです。


それによれば三菱商事の10事業と保有する上場有価証券の合計が13兆円強となり、純有利子負債を控除した株式の理論価値は7兆5千億円になる計算ですが、実際の株式時価総額は約6兆円であり、市場価値と理論価値との間で1~2兆円の目減りが発生していることになります。もう一つ懸念すべきはPBRが1倍を下回り0.8倍台に低迷している点です。


確かに損益計算書やキャッシュフロー計算書上の業績が良ければマルチプル法による理論的な経済価値は跳ね上がると思いますが、各事業をROIC(=投下資本利益率)やROA(
=総資産利益率)という投資対効果の財務指標で判断した場合、必ずしも三菱商事の加重平均資本コスト(=WACC)以上の利益率を享受できていないという疑問が湧いてきます。


事業成長を優先させる為に、無理なM&Aを行っていることも考えられるでしょう。2025年3月期までの中期経営戦略で、食糧や自動車、脱炭素関連、デジタルトランスフォーメーション関連に3兆円もの投資を行う計画を打ち出しています。果たしてそれら事業領域のM&Aで投資コスト以上のリターンを得られるのか市場は懐疑的になっているのでしょう。


今日もありがとうございます!
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