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脱百貨店化するそごう・西武!

皆さん、おはようございます!
小田急電鉄の地下化により新しくオープンした東北沢から下北沢にかけての商業施設に行ってみました。閑静な住宅街に位置するその施設は、ファサードこそ住宅と見間違うデザインですが、内側に向けて広がるライフスタイル提案型の店舗の連なりは見て飽きさせません。



そごう・西武は5年後をめどに、全売り場に占める自社運営店舗の比率を6割から4割以下に減らし、テナントの比率を4割から6割以上に増やす方針です。新型コロナウイルス禍でネットへのシフトが加速する中、旗艦店を含めてテナント賃料で稼ぐ不動産業型に転換し、収益基盤を再構築することが狙いです。果たしてこれを百貨店と言うのか疑問が残ります。


ブランド力をテコにアパレル大手と共に独自の売場を展開し、小売業を牽引してきた百貨店が転機を迎えている訳ですが、この不動産業型店舗を百貨店と呼んで良いのでしょうか。背景には、2019年秋に自社運営比率が3割を切った西武所沢ショッピング成功があったそうです。カテゴリーキラーの誘致によりコロナ禍前に比し売上が5割増となったようです。


会社存続の為に背に腹は代えられない、やむを得ぬ事情があるにせよ、そごう・西武は百貨店から四十貨店の不動産業者として看板を据え変えることになる訳です。生活総合産業として西武百貨店という強烈なインパクトのあるブランド力を背景に、時代的消費者動向を見抜いた創造的な売場を開発し続けてきた面影が今や見る影もなくなっていることが残念です。


きっと今は亡き堤清二が生きていたら、大逆鱗に触れていたでしょう。同じセゾングループであった商業施設専門の開発運営会社であるパルコですら、独自のテナント開発を行いながらそのブランド力を維持し続けているのに対し、ビッグカメラ、ユザワヤ、ABCマート、ユニクロ、無印良品という街角で良く見かける商業施設を誰が百貨店と思うのでしょうか。


そごう・西武がセブン&アイ・ホールディングスの傘下に位置しており、2021年度から百貨店業態と専門店業態を同じ事業セグメントに再編したことも多分に影響しているものと思います。ショッピングセンターという不動産業と百貨店業は似て非なるものであり、百貨店業は時代に合わせて業態や売場を創発するとことにその価値が見出されるものなのです。


2000年初頭には8兆円あった売上高が2020年には4兆円近くまで減少してしまっている現実の厳しさがありますが、Jフロント、高島屋、三越伊勢丹ホールディングスは未だ百貨店業態に拘り続けています。それを諦めてしまっては、百貨店としての暖簾を下ろすことを意味します。テナント化すれば安定賃料が見込めますが、ただそれだけに過ぎません。


なぜ、そごう・西武がテナントを軸としたビジネスへの転換を迫られているかと言いますとバブル崩壊後の売上減少の憂き目にあった西武百貨店がセゾングループの負の遺産を抱え込み破綻寸前となっていた時に、銀行主導により百貨店そごうと経営統合をせざるを得ない選択を迫られたところに端を発していると思います。そして、その後の7&i傘下入りです。


一世を風靡したセゾンブランドを支えた優秀なバイヤー達は、既に西武百貨店の中には残っていないのでしょう。鍵となる人財を擁しない中で「西武」という看板を付けてはいますが既に百貨店としては機能していないことになります。進取性に富んだ感性経営をDNAとして持つ西武百貨店として、せめても誘致するテナントの業態開発を行って欲しいものです。


今日もありがとうございます!
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