誰にも聞けない経営財務戦略!

ビジネスの未来を財務と心で読み解くブログです!

CREATE LIFE!
より良い暮らしを創造しよう!

http://crelife.co.jp

トヨタ自動車の変革!

皆さん、おはようございます!
先日、JR東日本の中央線快速電車に乗っていた時のこと、車掌さんの車内放送から突然に流暢な英語が聞こえてくるではないですか。新宿駅での乗り換え案内を完璧なまでの英語でやり遂げ、思わず飛行機にでも乗っている様な気にさせられます。素晴らしい!



「社内外で開発、生産、販売のあらゆる面で競争相手が変わった。従来のやり方では生き残れない」と危機感を強めている。また、「これからは全国一律の販売チャネル制から地域を軸とするサービス業に転換していく時代」。いずれも、トヨタ自動車の経営者によるコメントです。今という時代が、いかに変革期であるかを示唆していると思います。


「競争相手が変わった」「従来のやり方では生き残れない」「地域を軸」「サービス業に転換」。この四つの言葉が、いまという時代の全てを物語っていると思います。
一方、これらの話しが自動車メーカーからしか聞こえてこないのが不思議なくらいです。他の大手企業は、海外企業をM&Aするという様な話しばかりで、本質が見えません。


今までの自動車メーカーは、エンジンを搭載した機構の性能やデザイン性を追求し、それを消費者に訴求していれば良かった訳です。しかし、今後、進むべき方向がCASE(=つながるクルマ、自動で運転するクルマ、クルマのシェアリング、電気で動くクルマの頭文字を繋げた造語)となることが業界の中でのコンセンサスとなっています。


それまで自動車製造に必要な技術を全て自前主義で蓄積してきた自動車メーカーにとって、CASEの到来はこれらの技術の多くを過去の遺産として葬り去ろうとする位のインパクトがあります。クルマが、走る情報端末化しようとしているからです。エンジンは電気モーターへと置き換わり、ハンドルがいらないクルマが現実化しようとしています。


そこに必要な心臓とも言うべき技術が情報技術であり、GAFA(=グーグル、アップル、フェースブック、アマゾンを総称)の独壇場に自動車メーカーが挑まなければならないからです。電気モーター、蓄電池に力を入れるのが日本電産、パナソニックです。
英ダイソンまでが、CASEに参入することを表明しています。


自動車メーカーといえば、規模の経済を追求し大量生産、大量消費を前提としてクルマを普及させて来ましたが、国内市場がピーク時に比べて3割減、今後、ますます減少していくことが予測されています。その背景には、消費者がモノを購入して欲求を満たすことから、モノを使用することに価値(=コト)を見い出す様になったことがあります。


トヨタ自動車のみならず、海外の大手メーカがこぞってカーシェアリングをはじめとするクルマの使用価値を追求する戦略をとりはじめています。特に日本国内においても、カーシェアリングが急速に普及しており、利用者が100万人規模へと膨らんでいます。
クルマは個人で所有するのではなく、共用するという意識が広まりつつあります。


クルマというプラットフォームを使用すれば、将来的に自宅の蓄電池、宅配ボックスとしても利用できることは既にご存知のことだと思います。また、カーシェアリングの様に月々の課金料金になると、クルマを投資ファンドで運用するなんていうことも可能となります。車体に企業広告を付ければ、低廉でクルマを利用できる様になるかもしれません。


クルマというモノを生産販売する規模の経済を盲目的に追求する時代から、共有経済および範囲の経済を追求する時代に移り変わりつつあります。共有経済はシェアリングエコノミーのことであり、範囲の経済は単一の企業が複数の財・サービスを生産したほうが、複数の企業がそれぞれ個別に生産する場合と比較して総費用が低くなることです。


ここでは、クルマというモノを媒体としたサービスを提供する事業に転換することを意味しており、クルマの販売から、クルマを活用したサービスを提供することを意味しています。共有経済かつ範囲の経済であるカーシェアリング事業が好例だと思います。トヨタ自動車では、車種により4つの系列となっている国内販社体制を抜本的に見直す予定です。


開発すべきクルマの車種を半減させ、4系列どの販社でも全車種を取り扱い出来る様にする計画を打ち出しています。一方、来年度から国内でもはじめるカーシェアリング事業(来年度より欧州でも事業化の予定)について、当初、直営の販社から事業をスタートさせる様ですが、順次、独立経営の販社にも拡大していくことを目論んでいます。


また、全国展開している販社についても、販売地域ごとに木目細かいサービスが出来る様に見直しを図っていくのではないかと推測されます。消費者一人一人の需要にサービスで応えて行くためには、エリアごとに異なる消費者の声を木目細かく拾い上げて行く必要があるでしょう。他の自動車メーカ、異業種メーカーも参考にすべき点があるでしょう。


今日もありがとうございます!
http://crelife.co.jp

コミュニティシップ!

皆さん、おはようございます!
台風一過の影響が思わぬところにありました。最寄りの駅にやっとの思いでバスで辿りつきましたら、なんとJRが駅への入場規制を行っていて駅の周辺は人の山で溢れかえっているではないですか。ニュースや新聞で大きく取り上げられる始末です。



トヨタ自動車が5000店もの系列販売網を再編し、カーシェアリング事業を国内外で開始するそうですね。背景には縮む国内市場に焦りを感じており、取り扱う車種を半減することにより、従来の開発、生産、販売機能各々の体制を見直し、来るべき電気自動車、自動運転車の開発へ資源を集中していく必要に迫られているようです。


売上高29兆円、従業員数37万人を擁する巨大企業であっても安閑としていられない。
むしろ巨艦が故に絶えず危機感を持っていないと、最悪の事態に陥った時にその負の部分も巨額になる可能性があるということの裏返しだと思います。情報技術革新により、社会が変わり行く中で、何れの企業も変革していかなければなりません。


いまの日本の大手企業を見ていますと、トヨタ自動車の様に機敏な変革に着手している会社が少ない様に見えます。多くの企業では強烈なカリスマ創業者も一線を退き、企業組織を見ますと同質性の高い官僚的な文化となっています。新たなビジョンを描きだすよりも不祥事ばかりが目につくのは気のせいでしょうか。


リーダーシップに対置される「コミュニティシップ」をご存知でしょうか。
コミュニティシップとは「世界的な経営学者であるカナダ・マギル大学のヘンリー・ミンツバーグ教授が提唱する、組織変革の概念です。組織は士気の高い人たちのコミュニティ(共同体)になったとき、最もよく機能するという理論に基づくコンセプト」です。


「組織をコミュニティとして再生し、活性化するためには、現場に関与しない独善的なカリスマ型リーダーシップに依存するのではなく、一人ひとりが自らコミュニティに参画し、個を尊重しながらお互いを結びつけ協働していこうとする意識――コミュニティシップを発揮することが求められます。」


日本のみならず、海外においても従来の先進的な企業は、揺るぎないピラミッド型のヒエラルキー組織にカリスマリーダーが君臨しているというイメージであったと思います。
しかし、これだけ将来に対する見通しが不透明な時代においては、カリスマリーダーに頼ることなく、自律した多くの働き手により協働で将来を描いて行かなければいけません。


いまの日本の大手企業を見ていますと、働き手が官僚化(カリスマリーダーもいない)してしまい、組織が硬直化して仕事の進め方が権威主義となっていませんでしょうか。
それは「厳格な権限の委任と専門化された職務の体系をもち、合理的な規則に従って組織の目標を能率的に実現する管理運営の体系」と言い換えることが出来るでしょう。


考えてみれば、戦後間もない高度経済成長下の日本の企業は、社内管理体制も未整備かつ大らかな中で、仕事をやれば遣るほど企業は成長し、働き手の給料もポジションも上がる右肩上がりの経済であったと思います。その様な職場では、このコミュニティシップが機能していたと考えることが出来ると思います。


そこには、企業の一つの目標を働き手みんなで共有して、喧々諤々と膝を交えて議論する企業文化が育まれていたと思います。「ALWAYS三丁目の夕日」の様な世界観です。それが、あまりにも規模の経済による経済効率を追求し過ぎてしまったが故に、企業組織が人間に対して疎外感を与える冷たいものに変容してしまったといえます。


情報技術革新と右肩下がりの経済ということは、社会の変革期に直面しているということが出来ます。その様な時代に必要なのは、外に対して頑丈な企業組織ではなく、企業組織の内外で働き手が柔軟に人間関係を創って行く能力です。これからの時代、モノの価値が使用価値(=コト)へと変容するなかで、企業間の連携も必須となります。


人々の内に秘めた暗黙知である将来へ向けたビジョンのアイディアを社内外のコミュニティで共有(=形式知)し、それを目標に各々が行動して経験することによりまた幾多の暗黙知を獲得する。そして、それをコミュニティで共有することにより将来への構想を修正するという好循環を作っていく必要があります。


ちょうどSNSで価値観を共有する人々がグループウエアで情報を交換する様に、これからの企業組織は事業の目的に対して価値観を共有する人々の集まりへと変容していくと思います。商業的に作られた虚飾に覆われた企業ブランドではなく、もっと地に足の着いたコミュニティシップが企業を支えて行くのではないでしょうか。


今日もありがとうございます!
http://crelife.co.jp

地銀の企業連携!

皆さん、おはようございます!
台風一過、穏やかな青空が広がっています。
東京は台風の影響がなかったものの、JR各線が運休になるなど物々しい雰囲気が漂っていました。自然界の猛威に対しては、この位の余裕をもって対処すべきでしょう。



仕事がら、都内や地方の地域金融機関と融資の関係でお会いさせて頂くことが増えています。ゼロ金利政策の影響で融資により利鞘が稼げなくなっており、また政策的に地域を活性化していく必要から、地域の中小企業へ積極的に融資を行って行こうという意思が私たちにも伝わって来ます。


ただし、そんな地域金融機関の融資審査を見ていて感じますのは、融資による貸出総量を増やすことばかりを急ぐあまり、融資の借手である中小事業者に対する事業の審査が緩くなっている様に見受けます。最近では、地域金融機関も過去の財務実績のみならず、将来の事業ポテンシャルを評価(=事業性評価といいます)する様になっているようです。


それは決して悪いことではないのですが、問題は融資先である事業の将来を見極める力、目利き力が地域金融機関に不足しているのが気になります。それ以外にも、自社内に海外進出支援、M&A支援、事業再生支援といったノウハウが不足しており、地元の中小企業の発展に応えきれているのか疑問です。


その様な中、富山第一銀行をはじめとする北は北海道から、南は九州までの地銀20行が出資するトパーズ・キャピタルが設定した「融資ファンド」に注目が集まっています。
このファンドは、地方銀行から集めた資金を再生が必要な中小企業に融資しながら事業を再生するものです。その際の売掛金など動産担保ノウハウに注目を集めています。


一般的に銀行は元本保証の預金を融資に廻すため、回収リスクに慎重となります。トパーズが扱う債務超過や赤字に陥った要注意先企業に対しては、新たな融資を行えないのが実情です。これに対してトパーズが扱うファンドは、元本を保証しない投資資金を使うため、リスクの高い中小企業にも資金を供給しやすいというメリットがあります。


地銀は直接リスクを取れない為、ファンドを介して間接的に中小企業に資金を供給し、中小企業の事業再生に道筋を付けた上で、再び銀行の融資審査を通過し、銀行の融資先として戻せれば良い訳です。自らが持たない経営資源(=事業再生ノウハウ)を外部のトパーズに任せ、自らは資金のホールセールに徹して分散運用を行えば良い訳です。


また総合商社の丸紅は10月より静岡銀行や常陽銀行といった地方銀行8行に対して国際業務やM&Aなどに精通した中堅社員を派遣するそうです。今までに地銀から大手企業へトレーニーとして出向することはありましたが、大手企業から地銀への出向というパターンは珍しいものと思います。


地銀は、自分達の顧客である中小企業の海外進出ノウハウや事業承継によるM&Aノウハウを自行内に蓄積するとともに、収益底上げや新たな事業機会創出につなげることを目的としています。一方の丸紅は、同業他社に比較して伸び悩んでいる国内事業の強化を狙っており、地銀の持つ地域ネットワークやノウハウを吸収することを目的としています。


丸紅からの出向者は、可能な範囲で地方企業の経営課題やニーズを丸紅へ伝え、丸紅では財務部が窓口となり、農業資材や化学品、機械など幅広い部門と情報共有するそうです。
大手商社の業績は足元では好調ですが、5~10年を見据えた新たなビジネスの発掘が急務になっており、各社とも国内市場を含む新規市場を開拓することが急務の様です。


一般的に地方銀行に拘わらず、多くの企業が自前主義で全ての経営資源を自社内に蓄積しようとする考え方が今まではあったと思います。しかし、時代の速度が早くなり、少子高齢化、生産年齢人口が急速に減少する中で、特に人に依存するノウハウの蓄積は、ますます難しくなると考えられます。


その様な中で、これからの時代は、様々な事業主体が互いに持たざるノウハウを相互に連携し補完し合うことが大切だと思います。今回のこの地方銀行の二つの事例は、その意味では非常に分かりやすい互いにメリットを享受できる好事例ではないでしょうか。地方銀行が持つ潤沢な資金を、如何に有効に地域内で循環させるかという視点が不可欠です。


それから、地方地域の中にも新たな事業を始めたいという中堅経営者が意外に多いと感じています。ただし、今の融資制度の枠組みの中では、新規事業そのものになかなかお金が廻らないという課題もあります。この辺にも地方銀行として解決すべき課題があるものと思います。地方創生に資する施策を采配する機関として地銀はあるべきでしょう。


今日もありがとうございます!
http://crelife.co.jp