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ソフトバンクと提携するトヨタの真意!

皆さん、おはようございます!
いまの社会は複雑な分業体制が張り巡らされており、工業製品という作り手の顔が見えないモノを手にしています。モノ作りの原点は、自分が使うものは自分で作ることにあり、その中に創意工夫の余地があり、人間に対する優しさを感じるものかもしれません。



トヨタ自動車とソフトバンクの次世代移動サービスを巡る提携発表をご覧になり、意外感と新たな時代の到来を感じられた方も多いのではないでしょうか。
国内製造業の雄と情報通信の分野で多額のファンドを組成して派手な投資活動を行う時代の寵児との連携は、一昔前なら到底考えられない組み合わせです。


クルマを次世代移動空間と定義し直した豊田社長に対して、半導体の塊と捉える孫社長とは会社の歴史的背景、文化、トップの個性も全く異なる水と油の様な存在です。20年前にも、クルマのネット販売事業について孫社長より豊田社長へ提案した経緯があるようですが、トヨタ自動車も同じ様な計画があったことから実現には至らなかったようです。


その様な両者が改めて提携をすることに至った経緯はどの様な理由からでしょうか。
今回の提携の申し入れは、トヨタ自動車の豊田社長より孫社長へ直接なされたものと言われています。カーシェアリングや自動運転など豊田社長が提携で行く先々に、既にソフトバンクの孫社長が居た(=投資を行っていた)という談話をなされています。


いま自動車業界では①インターネットで繋がるクルマ、②自動運転で走るクルマ、③共有するクルマ、④電気で走るクルマ(=其々の頭文字をとってCASE)が次世代に目標とするクルマとして、今までの自動車産業が持ちえない新たな複数の技術に取り組んでいます。従来に蓄積してきた技術とは全く異なる新しい技術革新です。


さすがのトヨタ自動車といえども、自前主義による経営資源だけでは変化の波に対応できないと判断したのでしょう。しかも、他社との連携に動くのはトヨタ自動車だけではありません。ホンダは自動運転技術で米ゼネラル・モーターズと手を組んでいます。また、日産・ルノー連合も米グーグルと提携をしています。


新会社はソフトバンクが50.25%、トヨタ自動車が49.75%を出資し、トヨタ自動車は筆頭株主の座にこだわらず、ソフトバンクが過半の株式を握るのも、トヨタ自動車がこの次世代移動サービスにおいて、これまでの遅れを挽回したいという思いが背景にあるのではないでしょうか。


新会社は国内で無人タクシーや宅配サービスなどの実証実験を行い、課題やニーズを検証するそうです。ちょうどアベノミクス3本の矢の一つ成長戦略においても、タクシー相乗りやライドシェアーの実証実験が盛り込まれています。これからのクルマは、無人で走る移動空間になると、世の中の仕組みが一変するほどの威力を発揮することでしょう。


そんな世界中の自動運転やライドシェアリングの事業にソフトバンクは出資を行っており、トヨタ自動車はソフトバンクと連携することにより、次世代移動空間を目指す各社との関係を強化することにもつながることでしょう。ソフトバンクは、参加に納めた半導体設計会社英アームホールディングスの躍進に繋げることができます。


20世紀の日本の製造業の強みは「現場力」にありました。工場などで改善を積み重ね、品質やコストで海外メーカーを圧倒したことが、日本の製造業の名を世界に轟かせた源泉だったと思います。しかし、情報技術革新によるこれからの時代は、この現場力に加え、「連携力」、「創造力」、「構築力」が大切な経営資源になると思います。


トヨタ自動車をはじめ多くの日本の製造業は、全ての事業資源を自前で揃えて来ました。これからの時代変化のスピード、過去とは全く異なる概念へ変容する社会では、企業やそこでの働き手が外に対する垣根を低くして交わる(=連携力)ことにより、新たな経験や知識の獲得に結び付けることができる様になります。


そこで新しく得た経験や知識をいかに新たな事業に結び付けて行くかという事業創出力(=構想力)と、その事業構想を具体的に事業として構築していく実行力を経営資源として養えるか否かが、企業盛衰の分水嶺になると思います。今般のトヨタ自動車とソフトバンクの提携発表はその様な社会の到来を意味するものとして捉えることができます。


それを現実のものとして具体化していくためには、日本が今まで培ってきたピラミッド型のヒエラルキー組織における上意下達方式のコミュニケーション方式を改め、企業理念を共有した働き手が自由に企業の垣根を越えて、地域地域で自律的に創造し協働できるフラットで柔軟な雇用慣行(=企業との関係)に移行していくことが不可欠でしょう。


今日もありがとうございます!
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未来投資会議!

皆さん、おはようございます!
営業を拠り所とする中小企業の経営者は、資金繰りに窮すると売上に過剰な期待を持ちがちです。翻って、経費については売上に期待する分、脇が甘くなりがちです。自らの座標軸として、無理のない売上水準とそれに見合う経費のバランスを固めることが鉄則です。



政府主導の「未来投資会議」なるものをご存知でしょうか。
総理大臣である安部首相が議長となり「将来の経済成長に資する分野における投資を官民が連携して進め、未来への投資の拡大に向けた成長戦略と構造改革の加速化を図るための司令塔として開催される会議」のことです。


第三次安部内閣では、アベノミクス三本の矢のうち第三の矢である経済成長戦略に重点を置くと言われています。その意味でも、この未来投資会議において、どの様な新しい成長戦略が議論されるのか興味深いところです。2019年夏を目処に今後3年間の行程表を含む実行計画が纏められるとのことです。


ちょうど2019年10月からの消費税増税、2020年の東京五輪後の景気下振れ懸念があるなかで、どの様にして日本経済の成長力を引き出して行くかを議論するという意味において注目すべきだと思います。①イノベーション、②雇用、③地方対策の3つが政府が考える成長戦略の柱となり、細部を詰めて行くそうです。


情報技術革新を如何に社会生活の仕組みの変化に繋げて行くかという意味で、一番目の柱である社会イノベーションは経済成長の基盤を為す重要な施策となるように思います。細目を見て行きますと、AI(=人工知能)やロボットなどを活用して労働生産性の向上に繋げること。フィンテック分野ではスマホで手軽に送金できる様に規制を緩和する。


オンライン診療やオンライン服薬指導なども含まれています。面白いのが安全運転支援付き自動車限定の新たな免許制度というものもあります。これは自動運転を睨んだ施策だと思いますが、アシスト機能付自動車の運転免許を緩和できるか検討しようというものでしょう。それ以上にライドシェアやタクシーへの相乗り解禁などが盛り込まれています。


二番目の柱は生涯現役社会への雇用改革があります。第一の柱を実行性のある柱として盛り立たせて行くためには、むしろこの二番目の柱を上位に上げるべきだと考えます。
社会イノベーションは国民一人一人が自分なりの「しごと」を為すことを通して実現していくべきものです。その為には、より創造的に仕事をする環境を整えるべきだからです。


細目を見ますと、現状の労働環境の課題である3つの要点が掲げられています。一つ目は、65歳以上へ継続雇用年齢引き上げ検討。人生100年時代を迎える中で、シニア層が充実した生活を送る為には、65歳以上になっても働ける雇用環境を整えるべきでしょう。しかし、単に雇用延長の退職時期を引き上げるだけでは片手落ちだと思います。


新卒一括採用で入社した会社で一生働き続けると、同質化した文化内では折角蓄積した経験や知識の中から新たなアイディアや考えを創りだす力が弱まってしまうからです。
出来ることなら、シニア層も人財が流動化させて、背景の異なる経験や知識を持つ人々との交流ができる様な形で雇用が継続されることを望みます。


人材難が著しい中小企業で再雇用される仕組みができることが望ましいでしょうか。
このことにも関係してくると思いますが、二つ目の細目は中度採用拡大へ向けた協議会設置とあります。そして三つ目の細目は新卒一括採用の見直し検討があります。日本の雇用慣行は、一度勤めた会社に終身雇用されることが前提となっているところが課題です。


様々な背景を持つ人財が交流することにより新たな知識創造が生じやすくなることとともに、これからの時代、モノからコトへと消費者心理が変容するなかで、企業は自前主義で事業を成り立たせて行くことには限界があります。企業同士が連携する中から新たな事業や商品が創造されることも人財を流動化させるべき理由となるでしょう。


最後の第三の柱である地方には、地方銀行の経営統合や、限界集落など人口急減地域の活性化、外国人労働力活用推進などが掲げられています。この第三の柱は「地方」というよりも「地域」とすべきではないでしょうか。大都市圏でも、ドーナッツ化現象などにより活力が低下している、低下することが見込まれる地域が多くあります。


広域経済圏をマスで捉えた時に経済が潤っていても、その中の個々の地域の活力が損なわれていては本末転倒だと思います。やはり各地域に活力があり、その集合として広域経済圏の活力が保たれていることが正しい姿でしょう。その為には、各地域内でモノ、カネが循環しており、かつ域外からヒト、カネが流入してくることが活力の源泉でしょう。


今日もありがとうございます!
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開かれた経営!

皆さん、おはようございます!
昨日、以前お仕事でご一緒させて頂きました同期達と久しぶりにお会いしました。
話題が中小企業の事業承継の話しに及びました。事業承継を希望する中小企業が非常に多いのですが、それを支援するアドバイザーの数が全く足りていないことを実感しました。



東京モーターショーが開幕し、そこでもトヨタ自動車豊田社長とソフトバンク孫会長兼社長の対談が繰り広げられたそうです。この異業種2社の提携関係は、新たな時代の幕開けを象徴するものとして、皆さまの記憶に留められることでしょう。これからのクルマは情報武装化して行くものであることと、ビジネスにおける異業種との連携関係です。


この異業種連携は、自動車産業で取り沙汰されていますが、なにも自動車産業だけのことではなく、全てのあらゆる業界で取り組んで行かなければならない必然だと思います。
例えば、米アマゾン・ドット・コムによる米高級スーパーホールフーズ・マーケットの買収や米マイクロソフトと米大手小売ウォルマートとの連携などがあります。


いまだ黎明期と言えるでしょうが、この情報産業と既存産業との連携が大きく進展していくためには乗り越えなければならないハードルがあるようです。それは規模の経済を追求する時代において各々の企業は、事業に必要な機能を全て自前主義により取り揃えてきており、他企業と連携関係により新たな事業なりサービスを創出したことがありません。


先日、セブンイレブンの国内2万店を超えるオーナーが一同に会した記念式典の席上で、2年半前に取締役を退任した創業者である鈴木氏が登壇して「セブンイレブンのモットーは自分たちで考え、自分たちでやることだ。(外部企業より)アイディアをもらうようなことは絶対にしない」旨の発言があったようです。


これに対して井阪現社長が登壇した時に「私どもの知恵だけでは大きな変化を乗り越えられない」という、鈴木氏を否定するような言葉に会場が静まりかえったそうです。
井阪社長の言葉には、世界で5万6千人もの従業員を擁する巨艦が静かに変わり行く姿を印象付ける意味が込められていたものと思います。


ここまでセブンイレブンを育て上げてきた鈴木氏の胸中は複雑な思いがあったのではないでしょうか。セブンイレブンで販売する商品およびサービスの全てが自ら築き上げてきた独自のノウハウだからです。しかし、情報技術革新は、一大手企業をも飲み込んでしまうような大きな力のうねりを持っていると言えるでしょう。


井阪社長は「自分たちだけで答えを出す」という考え方からの脱却を目指し、2018年6月に他社企業と連携する「セブン&アイ・データラボ」を開かれた経営の象徴として発足させています。NTTドコモ、東京急行電鉄、ANAホールディングス、三井物産、三井住友ファイナンシャルグループなど10社と連携をはじめています。


例えば、NTTドコモとはセブン&アイが持つ2300万人分の消費データと携帯電話の位置情報を組み合わせて、買い物が不便な地域を割り出し、ネットスーパーの展開に活かすことが出来るそうです。また、店舗の力を高める為に、米セブンイーレブン・インクでは情報技術を取り込む様々な取り組みを実証しているようである。


スマホ決済「スキャン&ペイ」の実験では、消費者はレジに並ばず、スマホで商品のバーコードを読み取り決済する方法を検証しています。また「セブンイレブン・ナウ」というスマホで商品を注文し、自宅で受け取るサービスも始めています。消費者の近くにある店舗を物流拠点として捉え直せば、米アマゾンに対抗する強みとなるかもしれません。


この様に、これからの時代は今までのような成功体験に捉われることなく、新たな取り組みを行って行く必要があります。既存事業と既存事業の垣根に消費者が望む新たな需要が存在すると考えられるからです。また、自前主義の考えて独自にそれを構築していくには時間もコストも要し、経済全体で見た時の効率が良いとは言えないと思います。


新たな商品やサービスを考え出して行くためには、同質性の高い企業文化の中だけで議論するよりも、様々なバックグランドを持つ多様な人々が意見を出し合った方が、非常に優れたアイディアが生まれて来る可能性が高まることは、誰しもが経験としてお持ちだと思います。これからは、経験や知識を融合させて新たな知識を生み出す創造社会です。


セブン&アイ・データラボの参加企業は大手ばかりですが、中小企業、スタートアップ企業の中にもキラリと光る他社に負けない事業資源を持つ企業が多くあります。それらをどの様に取り込んで融合していくかが問われる社会です。データに限定することなく、どの会社もオープンプラットフォームとなり、開かれた経営を目指して行くべきでしょう。


今日もありがとうございます!
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