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地銀の企業連携!

皆さん、おはようございます!
台風一過、穏やかな青空が広がっています。
東京は台風の影響がなかったものの、JR各線が運休になるなど物々しい雰囲気が漂っていました。自然界の猛威に対しては、この位の余裕をもって対処すべきでしょう。



仕事がら、都内や地方の地域金融機関と融資の関係でお会いさせて頂くことが増えています。ゼロ金利政策の影響で融資により利鞘が稼げなくなっており、また政策的に地域を活性化していく必要から、地域の中小企業へ積極的に融資を行って行こうという意思が私たちにも伝わって来ます。


ただし、そんな地域金融機関の融資審査を見ていて感じますのは、融資による貸出総量を増やすことばかりを急ぐあまり、融資の借手である中小事業者に対する事業の審査が緩くなっている様に見受けます。最近では、地域金融機関も過去の財務実績のみならず、将来の事業ポテンシャルを評価(=事業性評価といいます)する様になっているようです。


それは決して悪いことではないのですが、問題は融資先である事業の将来を見極める力、目利き力が地域金融機関に不足しているのが気になります。それ以外にも、自社内に海外進出支援、M&A支援、事業再生支援といったノウハウが不足しており、地元の中小企業の発展に応えきれているのか疑問です。


その様な中、富山第一銀行をはじめとする北は北海道から、南は九州までの地銀20行が出資するトパーズ・キャピタルが設定した「融資ファンド」に注目が集まっています。
このファンドは、地方銀行から集めた資金を再生が必要な中小企業に融資しながら事業を再生するものです。その際の売掛金など動産担保ノウハウに注目を集めています。


一般的に銀行は元本保証の預金を融資に廻すため、回収リスクに慎重となります。トパーズが扱う債務超過や赤字に陥った要注意先企業に対しては、新たな融資を行えないのが実情です。これに対してトパーズが扱うファンドは、元本を保証しない投資資金を使うため、リスクの高い中小企業にも資金を供給しやすいというメリットがあります。


地銀は直接リスクを取れない為、ファンドを介して間接的に中小企業に資金を供給し、中小企業の事業再生に道筋を付けた上で、再び銀行の融資審査を通過し、銀行の融資先として戻せれば良い訳です。自らが持たない経営資源(=事業再生ノウハウ)を外部のトパーズに任せ、自らは資金のホールセールに徹して分散運用を行えば良い訳です。


また総合商社の丸紅は10月より静岡銀行や常陽銀行といった地方銀行8行に対して国際業務やM&Aなどに精通した中堅社員を派遣するそうです。今までに地銀から大手企業へトレーニーとして出向することはありましたが、大手企業から地銀への出向というパターンは珍しいものと思います。


地銀は、自分達の顧客である中小企業の海外進出ノウハウや事業承継によるM&Aノウハウを自行内に蓄積するとともに、収益底上げや新たな事業機会創出につなげることを目的としています。一方の丸紅は、同業他社に比較して伸び悩んでいる国内事業の強化を狙っており、地銀の持つ地域ネットワークやノウハウを吸収することを目的としています。


丸紅からの出向者は、可能な範囲で地方企業の経営課題やニーズを丸紅へ伝え、丸紅では財務部が窓口となり、農業資材や化学品、機械など幅広い部門と情報共有するそうです。
大手商社の業績は足元では好調ですが、5~10年を見据えた新たなビジネスの発掘が急務になっており、各社とも国内市場を含む新規市場を開拓することが急務の様です。


一般的に地方銀行に拘わらず、多くの企業が自前主義で全ての経営資源を自社内に蓄積しようとする考え方が今まではあったと思います。しかし、時代の速度が早くなり、少子高齢化、生産年齢人口が急速に減少する中で、特に人に依存するノウハウの蓄積は、ますます難しくなると考えられます。


その様な中で、これからの時代は、様々な事業主体が互いに持たざるノウハウを相互に連携し補完し合うことが大切だと思います。今回のこの地方銀行の二つの事例は、その意味では非常に分かりやすい互いにメリットを享受できる好事例ではないでしょうか。地方銀行が持つ潤沢な資金を、如何に有効に地域内で循環させるかという視点が不可欠です。


それから、地方地域の中にも新たな事業を始めたいという中堅経営者が意外に多いと感じています。ただし、今の融資制度の枠組みの中では、新規事業そのものになかなかお金が廻らないという課題もあります。この辺にも地方銀行として解決すべき課題があるものと思います。地方創生に資する施策を采配する機関として地銀はあるべきでしょう。


今日もありがとうございます!
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