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教育のオープンイノベション!

皆さん、おはようございます!
創業して7年目を迎える知人は、今までの強気経営の反動で正念場を迎えています。
経営者としてアクセルを踏まなければならない場面とブレーキを踏まなければならない場面が同時にあり、そのバランスに苦慮しているようです。無理をしないことでしょう。



2020年より小中学校の教育指導要領が改定となります。それまでのアクティブラーニングという言葉は消えたものの、より具体的に示す言葉として「主体的・対話的で深い学び」に置き換えられましたが、先生から教えて貰い、それを生徒が学ぶという従来型の教育方法が大幅に見直されることになるようです。


東京都の某公立中学校では、それを先取りする形でタブレット端末を活用した自習型の授業を採り入れているそうです。生徒たちはAIが生徒の理解度に合わせて練習問題を出すタブレットの画面に問題が表れると、タッチペンで解答し、解説を見て知識を深める。
先生は生徒のサポートに徹し、板書も教科書も使いません。


余った時間を自主性や創造性を育む活動に取り組んでいます。例えば、3年生は修学旅行を生徒たちがツアーを自ら現地に出向いて観光資源を調べ企画し、旅行会社社員の前でプレゼンを行い優劣を競うそうです。また、2年生は企業が出す課題について解決方法を考え、評価して貰う取り組みもしているようです。


この公立中学校、以前は受験勉強を重視する進学校でしたが、今は定期試験や宿題がないというので驚きます。この他にも、静岡県の私立中学校ではIT教材による課題解決型の授業を行っているようです。タブレット端末を活用して、地方の観光テーマの改善点についてオンラインで外部専門家の助言や議論を通じて解決方法を導き出しているそうです。


戦後、日本の教育は産業界からの要請により、大量に知識を身につけ、素早く正確に再現する教育が重視されています。その為、教育の現場では生徒に対して知識の詰め込み(=暗記)を優先し、本来は幾通りにも解答できる問題にも一つの解答を要求する、どれだけ知識量があるかを問う教育が長年、実施されて来ました。


均質な人財を大量に育成し社会に輩出することにより、品質の高い商品を大量に作って販売するという、高度経済成長時代の規模の経済を追求する企業の「標準化」した業務の担い手を育成することが社会の要請だった訳です。それが、今でもその様な教育が未だに多くの学校で行われていること自体疑問に思います。


いま、国内の各企業は情報化社会の進展により、また消費者心理が大きく変わり、モノを消費する時代からコトを消費する時代に大きく変容しています。戦後続いた大量生産大量消費型の規模の経済を追求するビジネスモデルから多品種少量生産型のビジネスモデルへの転換を余儀なくされています。


そして、ただ単に高品質な商品を大量に低価格で提供しても商品が売れなくなっていますので、新たな商品やサービスを創出して行くことに迫られています。商品を生産販売して完結するビジネスから、販売後のお客様の商品の使用価値を高める為にむしろ継続的なサービスを提供する体制を整えて行く必要があります。


今までは、ピラミッド型のヒエラルキー組織により専門分化して効率性を追求していれば良かったのですが、これからは新たな考えやアイディアを創造していくことが強く求められています。これが企業にイノベーションが求められる所以ですが、その為に最も重要なのが創造的に物事を解決して行ける人財を如何に輩出していくかということになります。


企業における標準化、定型化された業務はRPAやAIといった情報技術の進展により、機械に置き換えられて行きますので、従来の知識を偏重する業務遂行だけでは不十分だと言えます。もっと独創的な考えやアイディアによる問題解決力がこれからの事業にとっては不可欠です。それにより事業、企業、社会が変革されて行きます。


従来型の教育制度では、正しい一つの答えを導き出す横並びの人財しか輩出出来ませんが、これからの教育は個性的で今までにないアイディアを生み出す力が不可欠です。
その意味で、教育界におけるアクティブラーニングの取り組みは、やっと閉鎖的と言われて来た教育界にも新たな兆しが見えてきたものと思います。


少子高齢化、生産年齢人口が減少して行く中で、日本という国が競争力を維持して行く為には、個々人が個性を磨き、互いに協働しながら連携関係を深めて行く必要があります。
社会を構成するのは私たちですが、その社会を支えるのも私達であることを忘れてはいけません。時代が変われば、従来の仕組みを変革して行かなければならないと思います。


今日もありがとうございます!
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KDDIとソフトバンク!

皆さん、おはようございます!
最近の動向を見ていますと、一部の企業にようやく将来に向けたビジョンを描こうとする会社が出て来たように思います。やはり当面の切り口としては「IT事業×既存事業」による、今までにない新たなサービスの提供ということになるのでしょう。



KDDIが、子供が就業体験できるキッザニアの運営会社を買収しました。携帯電話など通信事業を本業とする同社にとって全く異業種となるキッザニアの買収はどの様な意味を持つのでしょうか。現在、キッザニアでは東京と兵庫の2ヶ所で施設を運営していますが、今後、離れた場所からVRなどで就業体験できるサービスの検討をするそうです。


KDDIは、今年に入り語学学校のイーオンホールディングス、大和證券グループ本社と資産運用業の新会社を設立したり、食べログを運営するカカクコムを傘下に納めています。何れにも共通しているのは、携帯端末や通信ネットワークというインフラに対して、それらを媒体としたコンテンツサービスを拡充していることです。


今後、人口減少が本格化し、かつ来年秋に楽天が携帯事業に本格参入するなかで、ユーザーが減少することが予測されます。充実したコンテンツサービスを拡充させ、少しでも携帯電話の利便性を高めたいというのが狙いだと思います。また、自社の減少が予想される売上を維持する為にコンテンツ事業により補いたいという思惑もあるでしょう。


確かに、これらの多様なコンテンツサービスを自社で取り揃えるには、ノウハウも経験もありませんので、M&Aに頼る方が時間を買うという意味で手っ取り早いのかもしれません。しかし、何れのコンテンツ事業も競争が厳しく、本当に携帯通信会社として自社で取り組むべき事業であるかは少々疑問が残ります。


今後、IoT(インターネット・オブ・シングス:全てのモノがインターネットで繋がること)により家電製品のみならず、物流合理化のため商品にICタグが装着される様になりますと、通信回線の使用量が飛躍的に増加することが予測されます。また、IoTにより増える情報量をAIにより解析して社会の仕組みを自動化する流れがあります。


その様に来るべき将来像を描いたときに、やはりAI技術やIoT技術に経営資源を集中すべきではないかと思います。コンテンツサービスは、ライフスタイルの多様化に従って今後、枚挙にいとまがなく多様な事業が出現して参りますので、企業買収をしていたら切りがありません。それこそ、事業提携で足る話しではないかと思います。


一方、同じ携帯通信事業を中核に持つソフトバンクグループは、先日発表されましたトヨタ自動車との自動運転やコネクテットカー(=通信で繋がるクルマ)の取り組みに見る様に、クルマをも情報端末と見立て、AI技術やIoT技術の取り込みに経営資源を集中しています。英半導体設計会社、アームホールディングスの買収にも意味が出て来ます。


IoTが社会に広まるということは、様々な所で半導体が使用されることになります。
携帯通信会社が通信事業の根っこの部分から押さえ様というのですから、構想力が素晴らしいと思います。当初、アームホールディングスを買収した時には、携帯通信事業者に半導体というハードウエアの経営は出来ないと思ったものです。


しかしながら、その後の10兆円と言われるソフトバンク・ビジョン・ファンドを立ち上げ、世界各国のライドシェア、AI、自動運転を営む企業の買収を次々と行い、孫社長の情報化社会における構想が次々と明らかにされて行くことになったことは既にご存知の通りです。これからの社会の情報インフラを押さえるスケールの大きな夢のある話しです。


KDDIとソフトバンクという同業2社の将来事業構想の違いは非常に対照的だと思います。ソフトバンクは孫正義という創業者がいるからこそ出来る大胆な構想であるのに対して、KDDIは国際電信電話と第二電電、日本移動通信が経営統合して出来た会社であることを考えますと、その差は明らかとなってしまいます。


日本の多くの企業がKDDIのような企業体質なのではないでしょうか。
ピラミッド型の階層構造を持つ組織の中で、社内のコンセンサスを得ながら意思決定をしていくのは大変だと思います。それでも、コンテンツ事業を矢継ぎ早に買収している姿を見ますと、他の国内企業に比べて柔軟な会社と言えるかもしれません。


時代の過渡期にあって、日本の企業はもっと柔軟に将来に対する構想を描いて行かないと日本の社会が人口減少が著しくなる中で、経済が衰退するだけとなってしまいます。
その意味で、ソフトバンクのトヨタ自動車という耐久消費財を生産販売する企業との連携がどの様な方向に向かうのか、あらゆる意味で目が離せないと思います。


今日もありがとうございます!
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財務テクニックとアート感覚!

皆さん、おはようございます!
最近、事業会社などでもM&Aサポートする事業に参入する企業が増えています。
そんな事業立ち上げを仰せつかった元同僚と久しぶりにお会いしました。
彼もM&A業界の中で20数年選手、M&A業界の萌芽期を支えたベテランなんですね。



資本コストという言葉をお聞きになられたことがありますでしょうか?
企業が借入金や資本金を調達する際に、その見返りに資金の出し手から要求されるコストのことです。借入金であれば、契約書に金利が記載されますが、資本金は契約を結ぶわけではありませんので、資本金に対するコストが目に触れることはありません。


株主に対する配当も資本金に対するコストではありますが、それはコストの一部であり全体を示している訳ではありません。資本金に対するコストとは、投資家がその企業に投資する際に許容するリスクを勘案して、それに見合う期待収益を要求するものです。投資に際しては必ずリスクを伴うものであり、リスクと期待収益が均衡します。


投資家からしますと、企業に資金を貸付けるよりも出資をする方が手元に資金が戻って来るリスクが高いため、高い利回りを要求します。また、企業によって事業リスクの程度が異なるため、求める期待収益も異なってきます。それを最も安全で元本割れリスクが少ないといわれる国債の利回りとの比較均衡の中で投資家が決定して行きます。


今年、金融庁と東京証券取引所が策定した上場会社のコーポレートガバナンス・コード(=企業統治指針)において、この資本コストを意識した事業戦略を各企業に求めています。背景には、世界の経営者は資本コストの意味を全員が理解していますが、日本の経営者はまだまだ理解していないことにあるようです。


確かに、この資本コストを上回る利益を企業が出していれば、それに応じて企業価値が高まることになります。それは、事業を営むにあたって資本を効率良く使用することを意味します。資本を効率良く使用すると言いますと、直ぐに事業効率を高めることのみを連想しがちですが、必ずしもM&Aやスケールメリットの追求だけではないと思います。


いまの時代に必要なのは、事業の付加価値を高めること、すなわち社会動向に合わせて一度確立した事業を改編して新たな事業へと生まれ変わらせることが必要でしょう。
モノを製造し販売する企業であれば、単に製造販売するだけではなく、販売した後の使用価値を高める為に必要なサービスを提供することなどが考えられます。


なかなか新たな事業の方向が見い出せない中で、資本コスト概念ばかりがクローズアップされてしまいますと、事業コストの削減にばかり目が行きがちとなってしまいます。
投資家が求めているのも、その様な内向きな財務テクニックにより企業の利益を増やすのではなく、将来に対する魅力的な事業構想により社会を豊かにすることだと思います。


いまの社会は技術ばかりが研ぎ澄まされておりますが、その技術を駆使して豊かな社会をを創造・表現しようとする人間活動が洗練されていないように見受けます。この創造・表現しようとする人間活動のことを芸術感覚やアート感覚と置き換えることが出来ると思います。本来、技術と芸術は対を為すものですが、そのバランスを欠いていると言えます。


芸術やアートは、それを描く人の社会に対する感情や感覚を表現することにあります。
そこには人間としての全人格的な考えや哲学が投影されているものでしょう。それを表現する為に技法や技術といったテクニックが必要となります。それが技法や技術ばかりが目的化してしまっており、肝心の何を描くかなおざりとなってしまっています。


いま各地で中小企業の新規事業立ち上げの支援をさせて頂いております。既に事業を営んでおり、その中から派生的に事業を創りだそうとしている企業、ゼロから新たにスタートする企業など様々です。皆さん、それぞれにご自身の社会に対する思いをお持ちです。
事業を通じた社会に対する自己表現だということが出来ます。


事業という芸術作品を完成させるためには、様々な技術を持つ人々の支援が不可欠です。
こと資金調達の局面では、大手企業が資本を市場から調達する様に、思う様に金融機関から借入が出来ないのが現実です。金融機関も従来の担保主義による貸付から、事業そのものを評価する様になってきていますが、実績を伴なわない構想だけでは限界があります。


新たに事業を営まれようとする側も、最初から多額の資本を必要とする事業を構想するのではなく、事業を小さく産んで少しづつ大きくしていく視点も必要かと思います。
そんなスタートアップ企業とは異なる新規事業に資本が還流する市場が必要であることも
忘れてはならないでしょう。


今日もありがとうございます!
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