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銀行員の目利き力を問う!

皆さん、おはようございます!
サラリーマン時代は、自分の思い通りに階段を順風満帆に昇り詰めてきたと思います。独立してここまでは、山あり谷あり試行錯誤を繰り返しながら波乱万丈な人生を送ってきましたが、ようやく風をはらみながらフラットな状態で大空を舞う感覚が分かる様になりました。



目利き力を調べてみますと「器物・刀剣・書画などの真偽・良否について鑑定すること。また、その能力があることや、その能力を備えた人」となります。それは、その事物について深い見識を持っていることが前提となりますが、ただ単に学んだ形式知のみに頼り判断できるだけでなく、それを経験的に五感で身につけた暗黙知に依るところが大きいと思います。


この目利き力を金融庁がいう銀行員に求められる目利き力になぞらえて捉えてみますと「融資の審査において、顧客の技術力や販売力などの定性面の勘案を含め、顧客の事業価値を適切に見極めるための能力」を指します。ただ単に「過去」の業績である財務諸表から指標を分析したところで、財務安全性を除き事業の将来の可能性を目利きしたことになりません。


これまで銀行は、融資審査時にスコアリングといって、主に財務諸表の定量面に基づいて指数化し、そこに定性面を考慮して加減を加えるという手法をとってきました。いかにも機械的な判断に依ってきた訳ですが、それは銀行員の個人の能力差による判断のばらつきを防ぐ意味と、銀行業としてスケールメリットを追求する為に業務を標準化する意味があります。


融資審査に規則性を持たせてルール化しないと、銀行という組織の縮図の中で上席や審査部に説明できないという問題もあるでしょう。事業の将来の可能性なんて、それこそ見る人によって異なりますので、それを他者に説明し理解を得ることが難しいと思います。しかしだからといって、いつまでもスコアリングの様な方法に頼っていては目利き力は養えません。


私が、信用金庫で仕事をしていた時代は、未だ明確なスコアリング手法というものは用意されておらず、融資をして良いかどうか自らの判断(=目利き力)で決める余地が残されていました。先輩から良くいわれたことは、仮に自分の身銭をお客様に貸し出すとしたら、それが出来るのか否かの意思により融資をするのか否かを判断することを教えられてきました。


しかし、それでも銀行業の悪しき慣習である、不動産担保や経営者個人保証という変数をあたり前の様に考慮してのことであったと思います。それを度外視して、素の事業価値を適切に見極める能力を高めるためにはどうしたら良いのでしょう。事業を見極めるためには、経営者を見て、社員の意欲を見渡し、そして最後に事業そのものを吟味することが大切です。


それぞれを見極める意味と論点は別の機会に譲るとして、まずは事業を目利きする能力を高めるために、数多くの様々な事業を目利きする多くの機会を持つことでしょう。それにより経験値(=暗黙知)として客観的な事業を見る目が養われます。ただし、それでも事業を外から見ているだけでは限界があります。事業そのものを自ら経験することも必要でしょう。


それも、ただ漫然と事業会社で事業経験を積むだけでなく、事業を立上げ成功させるばかりでなく、事業に失敗する経験も不可欠です。出来ることなら事業を営む側として、銀行から資金調達する経験をしてみても良いでしょう。銀行として、行員にそんな息の長い経験を積ませることは出来ないと思いますが、その壁を如何にして打ち破るかが求められています。


今日もありがとうございます!
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専門人財を中堅・中小企業でシェア!

皆さん、おはようございます!
事業の目利き力は、自ら事業を営んだ経験のある方であれば、全ての方がそうであるとは言い切りませんが、それなりに身に付けることが出来ているものだと気付きました。それが事業を立ち上げた後に大企業にまで成長させたことのある創業経営者であればなおさらです。



サイバーセキュリティ人財を中堅・中小企業がシェアする動きが広がっているそうです。サプライチェーン(=供給網)を狙う攻撃が増える中、高額なセキュリティ予算を確保できない中堅・中小企業が協力して対応しています。年収が数千万円に上ることもある高度人財の隙間時間をシェアすることで、コストを10分の1程度にすることも可能となるでしょう。


サイバーセキュリティ―に留まらず、中堅・中小企業は産業構造の転換期を迎える中で、マーケティング、情報システム、ファイナンスといった、所謂バックオフィス全般において専門人財が大幅に不足していると言えるでしょう。大手企業でも不足するそれら人財を確保するためには、やはり年収が中堅・中小企業の予算を大幅に超える金額になってしまいます。


これからの企業規模に関係なく質が求められる時代に、大手企業であるか中堅・中小企業であるかに関係なく事業の再構築が求められる中で、いかに専門人財を確保できるかがこれからの企業の将来を決定づけてしまうと言えるでしょう。それを絵に描いた餅で終わらせることなく、現実のものとして成功に収めるには、経営者の資質も見逃せない点ではあります。


大手企業ならば、差し詰め経営企画室や経営戦略部といった社長のブレーン集団が、その会社の経営計画を描き出してくれます(=必ずしも緒に付いた独創性のある計画ではなく、飽くまでも机上プランという感じが否めません)が、中堅・中小企業の場合には経営者の潜在的な意志を引き出し、理念・ビジョン・事業計画にまで落とし込む参謀役も必要でしょう。


それら参謀役と専門人財による経営バックオフィス集団をパッケージで、しかも中堅・中小企業がシェアしながらコストを抑えながら活用できるとしたら如何でしょう。中堅・中小企業は事業運営に専念することが可能となりますし、それ以前にクオリティの高い人財によって一点に集中した光り輝くコア資源を活かしながら事業の将来展望が開けることでしょう。


最近知ったことですがフォトグラファー(=写真家)の世界にも、彼らを写真撮影に集中させるマネジメントを専門としてサポートする事業者が存在するようです。財務経理廻りの手続き代行から始まり、クライアントを斡旋する営業代行まで手掛けている他、フォトグラファーの人脈を広げるべく異業種交流会までをサービスとして提供してくれる存在なのです。


これからの事業は、大手企業の様にバリューチェーンやサプライチェーンといった機能を一社単独で全て自前主義で取り揃えることは効率的ではありません。それよりも自らのコア資源を専門特化し尖らせていくこと、そして事業を構成する不足する資源は他者に求め、アライアンス関係を築いていくことが強く求められる時代へと、ますます変化が速まってます。


その様な中で、経営マネジメントをサポートする機能の事業としての可能性が高まって来るものと考えられます。中堅・中小企業に拘わらず個人として起業を果たしたい潜在的な需要もあるものと思います。これ迄は、起業か勤めるしか選択肢がなかったわけですが、もっと社会として起業をするハードルを下げるシステムとして整えることも必要になるでしょう。


今日もありがとうござます!
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経営者保証のない融資基準!

皆さん、おはようございます!
サラリーマン時代は、社会に既にある職業に自分自身を当て嵌めようとしていたと思います
。それが現実的な選択だからですが、実際にはなかなかフィットするものではありません。現在は、自分の個性を生かし自分で新しい職業を創り出しているのであり楽しい限りです。



金融庁が2023年4月から金融機関に対して、経営者個人が信用保証を追う場合、具体的な説明をするよう義務付け、事実上制限する方針を打ち出しています。それと機を同じくして、中小企業庁は経営者保証をつけない融資を金融機関に促す仕組みとして、企業の稼ぐ力や有利子負債の返済能力など、具体的な数値基準を設けて判断材料を明確にする方針です。


これにより企業にとって融資を受けられる条件が分かり易くなるなど、事業再生やスタートアップの成長を阻んでいた融資慣行の見直しが進むことになります。経営者保証は個人保証とも呼ばれ、高度経済成長期に確立されてきた経緯があります。金融機関から受けた融資の返済が滞ったときに、会社が持っている資産と個人の財産を一体で支払う悪しき慣習です。


銀行にとって安心して融資できる面がある一方、経営者は銀行から資金を借りて起業することをためらったり、事業を拡大する意欲を失ったりすることが指摘されていました。私も経験がありますが、個人保証は相当の精神的重圧となります。諸外国では、日本の様な経営者個人から保証をとる慣例はなく、事業そのものを評価し融資することが一般化しています。


中小企業庁は、来年4月から経営者保証のない融資を促す基準を導入することとしています
。現在のガイドラインでは、経営者保証をつけない融資を受けるための条件として、①法人
・個人の分離、②財務基盤の強化、③経営の透明性確保という3つがあります。今般、新たな判断基準として、それぞれに具体的なチェック項目を設ける方向で検討が進んでいます。


例えば、財務基盤の強化では「EBITDA有利子負債倍率(=有利子負債がキャッシュフローの何倍あるかを示す)15倍以内」「減価償却前の経常利益が2期連続赤字でない」といった目安を設けることとしています。新たなルールは強制ではなく、金融機関が使うかどうかは任意となる模様です。金融庁でなく中小企業庁による参考指針に留まる見通しです。


本来は、金融機関毎に独自の判断基準を明確にし、自主的に経営者保証のない融資を行っていくべきです。そうでなくとも横並び意識の強い戦後護送船団方式に長く浸った金融機関にとって、中小企業庁が明示する基準は一つの参考指標となることでしょう。金融庁にとっても、これからの金融機関の独自性を重んじる経営の根幹に関る問題だけに目が離せません。


ただし、今般の中小企業庁による数値判断基準の明示は、財務数値という過去の結果に捉われていることに懸念を持たざるを得ません。本来の意味で事業性評価により経営者保証の有無を判断するなら「過去実績」ではなく、「将来見通し」を重視すべきであることは言うまでもありません。過去の財務数値から如何に未来を類推するかが事業の目利き力でしょう。


仮に過去の業績が著しく悪化し事業再生途上にあるような事業、また過去の実績が存在しないスタートアップ事業は、過去の財務数値によって事業を判断することは出来ないことに留意が必要です。その意味では、金融機関各行が中小企業庁が指し示す判断基準をどの様に捉え、経営者保証のない融資が意味するところを充分に咀嚼して独自性を出すべきでしょう。


今日もありがとうござます!
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