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財務テクニックとアート感覚!

皆さん、おはようございます!
最近、事業会社などでもM&Aサポートする事業に参入する企業が増えています。
そんな事業立ち上げを仰せつかった元同僚と久しぶりにお会いしました。
彼もM&A業界の中で20数年選手、M&A業界の萌芽期を支えたベテランなんですね。



資本コストという言葉をお聞きになられたことがありますでしょうか?
企業が借入金や資本金を調達する際に、その見返りに資金の出し手から要求されるコストのことです。借入金であれば、契約書に金利が記載されますが、資本金は契約を結ぶわけではありませんので、資本金に対するコストが目に触れることはありません。


株主に対する配当も資本金に対するコストではありますが、それはコストの一部であり全体を示している訳ではありません。資本金に対するコストとは、投資家がその企業に投資する際に許容するリスクを勘案して、それに見合う期待収益を要求するものです。投資に際しては必ずリスクを伴うものであり、リスクと期待収益が均衡します。


投資家からしますと、企業に資金を貸付けるよりも出資をする方が手元に資金が戻って来るリスクが高いため、高い利回りを要求します。また、企業によって事業リスクの程度が異なるため、求める期待収益も異なってきます。それを最も安全で元本割れリスクが少ないといわれる国債の利回りとの比較均衡の中で投資家が決定して行きます。


今年、金融庁と東京証券取引所が策定した上場会社のコーポレートガバナンス・コード(=企業統治指針)において、この資本コストを意識した事業戦略を各企業に求めています。背景には、世界の経営者は資本コストの意味を全員が理解していますが、日本の経営者はまだまだ理解していないことにあるようです。


確かに、この資本コストを上回る利益を企業が出していれば、それに応じて企業価値が高まることになります。それは、事業を営むにあたって資本を効率良く使用することを意味します。資本を効率良く使用すると言いますと、直ぐに事業効率を高めることのみを連想しがちですが、必ずしもM&Aやスケールメリットの追求だけではないと思います。


いまの時代に必要なのは、事業の付加価値を高めること、すなわち社会動向に合わせて一度確立した事業を改編して新たな事業へと生まれ変わらせることが必要でしょう。
モノを製造し販売する企業であれば、単に製造販売するだけではなく、販売した後の使用価値を高める為に必要なサービスを提供することなどが考えられます。


なかなか新たな事業の方向が見い出せない中で、資本コスト概念ばかりがクローズアップされてしまいますと、事業コストの削減にばかり目が行きがちとなってしまいます。
投資家が求めているのも、その様な内向きな財務テクニックにより企業の利益を増やすのではなく、将来に対する魅力的な事業構想により社会を豊かにすることだと思います。


いまの社会は技術ばかりが研ぎ澄まされておりますが、その技術を駆使して豊かな社会をを創造・表現しようとする人間活動が洗練されていないように見受けます。この創造・表現しようとする人間活動のことを芸術感覚やアート感覚と置き換えることが出来ると思います。本来、技術と芸術は対を為すものですが、そのバランスを欠いていると言えます。


芸術やアートは、それを描く人の社会に対する感情や感覚を表現することにあります。
そこには人間としての全人格的な考えや哲学が投影されているものでしょう。それを表現する為に技法や技術といったテクニックが必要となります。それが技法や技術ばかりが目的化してしまっており、肝心の何を描くかなおざりとなってしまっています。


いま各地で中小企業の新規事業立ち上げの支援をさせて頂いております。既に事業を営んでおり、その中から派生的に事業を創りだそうとしている企業、ゼロから新たにスタートする企業など様々です。皆さん、それぞれにご自身の社会に対する思いをお持ちです。
事業を通じた社会に対する自己表現だということが出来ます。


事業という芸術作品を完成させるためには、様々な技術を持つ人々の支援が不可欠です。
こと資金調達の局面では、大手企業が資本を市場から調達する様に、思う様に金融機関から借入が出来ないのが現実です。金融機関も従来の担保主義による貸付から、事業そのものを評価する様になってきていますが、実績を伴なわない構想だけでは限界があります。


新たに事業を営まれようとする側も、最初から多額の資本を必要とする事業を構想するのではなく、事業を小さく産んで少しづつ大きくしていく視点も必要かと思います。
そんなスタートアップ企業とは異なる新規事業に資本が還流する市場が必要であることも
忘れてはならないでしょう。


今日もありがとうございます!
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