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麻布台ヒルズ!

皆さん、おはようございます!
人間力という言葉を使うのは初めてかもしれません。私のイメージは寡黙でありながらも、そこに居るだけで存在感のある人物だと思います。多くを語らなくとも様々な紆余曲折の実体験を通じて全てを知り尽くしている、嘘をついても見透かしてしまう様な人物でしょう。



森ビルが「麻布台ヒルズ」を開業しました。約330メートルと高さ日本一のビル「森JPタワー」を中心に、住宅や商業施設、ホテルなどが入る複数のビルで構成される巨大複合施設が出現したことになります。六本木ヒルズをはじめ複数の「ヒルズ」が港区六本木から虎ノ門にかけてつながる形となり、同地域における森ビルの存在感が際立つ格好になります。


麻布台ヒルズは旧郵政省本庁舎ビル跡地など8.1ヘクタールの敷地に出来上がった街区です。森ビルは1989年に街づくり協議会を立ち上げ、地権者約300人もの方々と用地買収交渉を行ってきた経緯があります。国家戦略特区における都市再生プロジェクトとして2017年に都市計画決定され、2018年に再開発組合が立ち上がり翌年に着工してます。


これだけの一等地に超高層ビルを群雄させるには、泥臭い用地買収交渉のみならず、政界にも太いパイプを持ってこそ初めて可能となる開発力だと思います。しかし、正直にこの麻布台ヒルズが34年もの月日を経て実現した産物であることには驚かされます。林業における樹木だって34年もの月日が経てば伐採した丸太を適正な価格で販売できる年月でしょう。


私がセゾングループのディベロッパーに入社したのが1990年であり、その時には既に事業化に向けた準備が進行していたことになります。そして地道に用地買収を行っていた2000年には、彗星の如く現れたこのディベロッパーが流れ星のように、その輝きを失ってこの世から消え去っていることを考えますと、森ビルのそこ力らには脅かされるばかりです。


しかも同じ非公開会社でありながら、これだけのヒルズを開発する資金をどの様に捻出したのか、コーポレートファイナンスを専門とする立場として、他人事ながらとても気になります。森ビルの2023年3月末時点の有利子負債は1兆6020億円と、10年前の7446億円から2倍以上に膨らんだ格好です。貸手である銀行も勇気のいる決断だと思います。


自己資本比率は25.8%と大手不動産各社の中で低い水準にあります。一方の業績の方は2024年3月期の連結営業利益ベースで755億円の見通しで、10年で1.7倍に拡大する見込みです。この連結営業利益の水準は決して高いとは言えないでしょう。ヒルズの1施設当りの投資額が巨額であり、リスク分散が図れているポートフォリオとは言えません。


元々、森ビルの創業者は学校の師範であり都内の一等地に不動産を所有する資産家であったとはいえ、最近のヒルズは全て借入金に頼って用地買収により街区に超高層ビルを開発しています。それは既存ビルから産み出されるキャッシュフローだけでは賄えないほどの巨額の投資となっていますので、その不足資金を銀行からの借入金に頼ってると言えるでしょう。


確かにこれだけブランド力のある超高層ビルであるなら、同じ場所に有り来たりのオフィスビルを開発するより高い賃料収入が期待でき、建物の陳腐化による家賃の目減りも少ないかもしれません。その分、単位当たりの建築費も高くなることに留意が必要です。これだけの大事業を行うには、リスクでは言い表せない果てしないロマンがないと出来ないでしょう。


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イトーヨーカ堂の店舗立ち退き!

皆さん、おはようございます!
自分が何処へ向って行くのか考えることは大切ですが、その答えは向こうからやって来るという方が正しいと思います。それは頭で判断するのではなく、五感によって感じながら直感で捉えることです。そうやって感じ続けていないと、やって来ていることに気付けません。



セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂が都内の一等地の店舗から立ち退くを決定したそうです。建物と敷地を所有する地元不動産会社との訴訟で敗訴が続き、最高裁で勝てる可能性が低いと判断。後継店舗として競合他社のイオンリテールが出店する見通しだといいます。なんとも無様な負け戦の様相ですがイトーヨーカ堂はどうしたのでしょう。


対象店舗はイトーヨーカ堂上板橋店です。東武東上線上板橋駅から徒歩2分程の好立地に位置する、衣料品なども扱う4階建ての総合スーパーです。地元不動産会社の小宮恒産と賃貸借契約を結び、1971年に営業を開始しています。築年数にして52年も経過していますから、本来は建て替えの時期なんでしょうが老朽化を理由に減額交渉でもしたのでしょう。


イトーヨーカ堂はスーパーの売上高減少に伴う業績悪化を受け、2000年以降に複数回、賃料減額を小宮恒産に要請してきた経緯があります。23年間にも渡る賃料減額交渉とは恐れ入ります。当初、小宮恒産は賃料減額に応じてたと言いますから、当然にイトーヨーカ堂側にも売上を高めるためにどれだけ営業努力を行ってきたのかが問われるものと思います。


この点に関して、小宮恒産側もイトーヨーカ堂が店舗を建て替えるなど収益改善に向けた抜本的な改善策を提示していないことを指摘しています。一般的にスーパーマーケットなどの建物賃貸借期間は20年だと考えられます。その契約期間が満了した後の契約更新に際して
、イトーヨーカ堂と小宮恒産は度重なる交渉を続けてきたものと考えるのが自然でしょう。


建物が老朽化すれば売上減少することは理解できます。そうでなくとも周辺には競合他社が店舗を新設しているでしょうから市場のパイの奪い合いどころか、パイを奪われ続けてきたのでしょう。それにも拘わらず、抜本的な対策を打たずに賃料減額のみによって業績を維持しようとしてきたイトーヨーカ堂の方に無理があり、経営姿勢が問われるものと思います。


業を煮やした小宮恒産は2021年末で契約終了をイトーヨーカ堂を通知しています。イトーヨーカ堂が任意で退去しない状況を背景に、建物明渡請求を2021年に東京地方裁判所うに提訴していますが、一般的にも当然の流れでしょう。一審の東京地裁での判決は貸主である小宮恒産側が勝訴するばかりか、東京高裁での二審も小宮恒産の勝訴となっています。


イトーヨーカ堂としては、最高裁に上告しても勝てる見込みがないことから、最終的に退店する方針を固めたようです。それにしても不思議なのは、なぜイトーヨーカ堂側は東京高裁で敗訴判決を貰うまで深追いしたのでしょう。当然に代理人弁護士が就いている筈ですから勝てない訴訟であることは店舗管理担当役員ばかりか経営陣に伝わっていたことでしょう。


私にも経験がありますが、大手企業になりますと稚拙な判断とプライドが入り混じって弁護士に任せておけば良いという無責任さが働くものです。その時の経験から言えることは、経営者が無責任な期待を持って弁護士に全面委任するなら経営者はいらない、ということです
。最近のイトーヨーカ堂グループはどうも無責任な官僚体制が蔓延っている様に思えます。


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JALとANAの地上業務シェアリング!

皆さん、おはようございます!
ふと、高校時代に年末年始のアルバイトでJALの旅客機の機内清掃を行っていたことを思い出しました。趣味が高じたアルバイトでしたが、仕事というよりも毎日が楽しかったことが思い返されます。片道2時間余りの通勤時間がかかるにも関わらずそれすら楽しかった。



宿敵の日本航空(=JAL)と全日本空輸(=ANA)が、2024年4月より空港の地上業務を担う「グランドハンドリング」の一部作業で社内資格を相互に承認する仕組みを導入するそうです。対象業務は両社の委託先が同じグランドハンドリング事業者で、飛行機の移動や手荷物の搭降載・搬送などの「ランプハンドリング」業務の資格を相互に承認します。


2社が個別に設けている資格が実質的に共通化されれば作業員が両社の作業に従事でき、要員の確保がより容易になると考えられます。深刻化する人手不足の影響が競合する2社間で
、雪解け水の如くグランドハンドリング業務といったところで協力関係を持つことは良いことです。グランドハンドリング業務に従事する人は全国に1万1600人もいるそうです。


JALかANAのどちらかの資格を取得すれば両社の作業が可能になるため、資格取得に向けた訓練時間を大幅に短縮することも見込めます。従来は同じ作業内容でも、それぞれ別の資格を取得するための訓練が必要で、両社の作業に従事できる作業員の要請に時間がかかっていたそうです。レギュレーションという形式より経済合理性を優先するということです。


JALとANAが業務委託をしているグランドハンドリング会社が同じ仙台空港や鹿児島空港など国内10空港で働くスタッフが対象になるそうです。地方空港を中心にグランドハンドリング人材の不足が深刻で、空港により外国航空会社の就航受け入れまでが難しくなるという問題も起きているそうです。人手不足問題はますます深刻化することが考えられます。


考えても見ましたら、業界の尾である両社がいがみ合ってれば、その付けは利用者に回って来ることになりますので、もっと様々な業務で両社が手を組むべきでしょう。旅客機整備用のパーツも両社間で貸し借りすることにより各社で保管在庫を減らす取り組みをしているという話も聞きます。それなら両社が共同で機体を整備する会社を設立しても良さそうです。


安全運航という航空会社にとって経営の根幹である技術まで共有してしまったら、会社を隔てる壁が無くなってしまいます。でも、よくよく考えてみれば、利用者からみて両者を隔てるものは赤いか青いかというサービス精神に裏付けられたブランドの違いしかないようにも見えます。使用している機材もボーイング社製かエアーバス社製しかなく差がありません。


厳密にいえば同一メーカー同一機種を両社が使用していますが、例えばコクピット(=操縦室)で使用されている計器類は、両社で異なるメーカーのものを使用している場合もありますので、パイロットが両社を相乗りしてどの旅客機でも操縦できるという訳ではありません
。運輸省航空局の厳しい規制もありますでしょうし、事故でも起こされては困るでしょう。


それでも、その様な異なる計器類やパーツは一部であり、多くのパーツは共通化されています。その事実に視点を充てれば両社で手を携えて経済合理性を追求する可能性はまだまだあるものと思います。この手の話は、航空会社固有の問題ではなく、巷に溢れていると思います。必要なことは、供給者の論理に立つか需要者の論理に立つかという違いに過ぎません。


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