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インフレ会計!

皆さん、おはようございます!
最近、ヒューマンキャピタル(=人的資本)を注視してます。学生時代に組織行動論を学んでいたこともあり、その延長で産業カウンセラーの資格までも取得しました。自らの専門であるコーポレートファイナンスと交叉する領域として実務家としての見識を深めたいです。



世界的にみてインフレに敏感になりはじめています。物価上昇による景気への影響が多大だからです。そうではなくとも資源高も相まって物価上昇圧力が高まっているからです。そんな状況を背景に、会計のテーマから一般的に余り知られていない面白い会計基準を取り上げてみたいと思います。それはインフレ会計といって超インフレ時のみ認められた基準です。


超インフレ国に進出する企業が財務諸表を修正するインフレ会計を適用する企業が相次いでいるようです。海外現地の急激な物価上昇を受けて、子会社の資産などを上方修正する会計ルールの適用が必要になったためです。ダイドーグループホールディングスはトルコ子会社で同会計を適用し、2023年1月期に最終赤字となる見込みであることを発表してます。


現行の企業会計では、貨幣価値が一定という前提の下、取得時の価額を取得原価として資産を測定するルールとなっています。しかし、新興国などでの超インフレ下では貨幣の購買力が失われ、取得時期のタイミングの異なる取引などを金額で期間比較することが出来なくなります。これを避けるために国際的に用意されている会計ルールがインフレ会計なのです。


超インフレは為替変動を通じても影響を受けますが、それだけでは財務諸表に適切に反映できない難点があります。具体的には期末時点の資産価格を基に期中の取引などを遡って評価替えすることになります。適用目安は3年間の累積インフレ率が100%、すなわち物価が3年間で2倍になる状況です。トルコの累積インフレ率が100%を超えてしまってます。


非貨幣性項目は原則すべて物価変動の影響を反映させ簿価修正することが必要です。機械設備などの有形固定資産は取得時の価格を直近物価をもとに修正するため、減価償却が大きくなります。売上高も期末時点の物価によって再計算することから膨らむ一方で原価も増えることになります。現預金や売掛金などの貨幣性項目は修正せずに据え置くことになります。


ダイドー子会社の損益赤字化は、あくまで会計基準変更による形式的な影響であり、トルコでの事業実態そのものが悪くなっている訳ではない見かけ上の業績変動ということが出来るでしょう。歴史的原価主義を貫く企業会計でも、物価の大幅な変動時ばかりはその経営成績や財政状態に係る情報の真実性開示に矛盾が生じてしまうためインフレ会計を認めてます。


私は会計理論の盲点であり、ある意味で時価評価を認めているのではとも思えてしまいます
。そもそも期間3年間の累積インフレ率100%に限定していますが、仮に期間4年間であったとしても真実な経営成績や財政状態を歪めるものと思います。真実とはなにを持って真実かということになりますが、会計上の真実は絶対的なものでなく相対的なものなのです。


例えば旧財閥系ディベロッパーの長年蓄積された土地の含み益に依存した業績について、期間利益と見做されていますが、これぞ正しく江戸時代から百数十年にも渡り累積したインフレによるものであると思えてなりません。少なくとも土地は資産のように減耗しない経済資本ですから、本来はその時々に時価評価して資本金を修正すべきものではないでしょうか。


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多摩信金と商工中金の連携!

皆さん、おはようございます!
堺屋太一氏の「知価革命」という本を35年ぶりに読み返しています。元通産官僚の出身で経済企画庁長官まで務めた経済評論家です。大局的に経済動向を俯瞰し、ロジカルにこれからの経済の行方を描き出すその裏には、人間の心理を読み抜いた奥深さがあると思います。



古巣の多摩信用金庫と商工組合中央金庫は、中小企業の事業再生・経営改善支援で業務協力契約を結んでいます。新型コロナウイルス禍で打撃を受けた取引先の経営改善・事業再生計画の策定を支援し、必要な資金を協調融資したり、過剰債務の解消を手伝ったりする目的です。産業経済の過渡期を迎え、中小企業の事業再構築が迫られる中で必要な動きでしょう。


具体的には、多摩信用金庫の店舗網や人財と商工中金の金融スキームや全国での企業再生ノウハウを相互補完する狙いです。コロナ禍に加えて資源高が長引くと、中小企業の経営は厳しくなることが想定されます。貸出債権を返済順位の低い劣後ローンに転換(=DDS)したり、株式に転換(=DES)する金融手法も活用しながら事業再生を支援する計画です。


これら商工中金の金融スキーム以外に必要な企業再生ノウハウがどれだけのものか不透明な部分もあります。多摩信用金庫としては融資による資金支援のみならず、商工中金の多様な再生手法も活用し、取引先の将来を見据えた支援に取り組みたいのでしょう。地域金融機関は全般的に取引先と密着した営業力を持ちますが、企業再生等のノウハウが不足してます。


多摩信用金庫と商工中金は2004年に業務協力、2019年にシンジケートローン(=協調融資)業務で協力し合う契約を結んできた経緯があります。謂わば、新たな収益基盤が欲しいホールセールバンクとしての商工中金と堅固な営業基盤を持つがノウハウ不足のリテールバンクとしての多摩信用金庫の相互に補完し合う関係が見出されたということでしょう。


いまでも多摩信用金庫の方々とはお付き合いがありますが、私が勤めていた時とは異なり非常にサラリーマンチックな優等生集団に変わっているという印象があります。当時はリテールバンクということでどぶ板営業を地で行くような泥臭い仕事であったことが思い返されます。金融機関としての基本的な技術は持ち得ていますが営業力に負うところが大きいです。


最近では、金融機関として非常に組織立った運営が為されており、多摩地区に根を張る大手企業の一員としてのプライドも見え隠れするようになっています。その様な企業意識も手伝って商工中金との提携の運びになったのでしょう。しかし、本当に問われるのは多摩信用金庫の営業基盤である多摩地区の中小企業に対しどれだけ付加価値を提供できるかでしょう。


仮に商工中金が持つとされる金融スキームや企業再生ノウハウを実際に活用しようとしても
、多摩信用金庫の職員がそのノウハウをキャッチアップ出来なければ意味がありません。商工中金の職員と一緒に同行営業を行うにしても、再生に必要な取引先の事業を見極める暗黙知でもある目利き力は、商工中金が負うことは出来ず多摩信用金庫の職員の能力如何です。


そもそも中小企業というものは、本業以外の経営管理や財務、人事、法務といった俗にいうバックオフィスというコストの掛る機能を持ち得ません。そこを手軽に安価で提供することが出来れば、中小経営者は事業運営に専念することが可能となります。そのプロセスの中に再生に必要な事業を見極めるエッセンスが散りばめられていることを忘れてはなりません。


今日もありがとうございます!
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中小企業の事業再構築!

皆さん、おはようございます!
最近は中小企業でもジョブディスクリプション(=職務定義書)を作成しようとする動きがあります。企業理念、ビジョン、事業目標を確立する様になりますと、そこで働く人々の業務目標も明確にして成長を促すのと同時に、業績に応じて報いていく必要があるからです。



日本経済の風潮を一言でいい表しますと、企業の規模に拘わらずこれまでの旧態依然とした「事業」を続けるのは限界に来ており、「変革」する必要に迫られているということでしょう。大手企業であれば有能な人財が揃っていることから自助努力で変わっていかなければならないのですが、未だ日本型雇用の弊害が残っており人財が能力を発揮できないでいます。


だから、これまでのメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に変える企業が増えているのであり、マネジメント層には年功序列的な人事を廃し、20代の若手にも能力があればマネジメント職に就かせる大胆な動きが見て取れます。これもヒューマンキャピタル(=人的資本
)を重視した経営の一環であると見ることが出来るでしょう。副業制度の導入も同じです。


それに対して、中小企業は人財不足が否めません。自らの本業である日々の現業を成り立たせるために必要最低限の人材を確保するのがやっとです。そんな中小企業も産業構造の大きな転換期に、自らの事業の構造を変えていかなければ生き残ることすら難しくなる現実があります。中小企業が存続できなければ、日本の経済が成り立たなくなることを意味します。


高度経済成長期を支えた日本の中小経営者は引退の時期を迎えており、なり手のいない後継者問題を背景に廃業を余儀なくされています。一方、慢性的な赤字を抱える業績不振の中小企業も多く存在しており、今般のコロナ禍の影響下において政府系金融機関による緊急融資で束の間の小康状態を保っていますが、その返済問題が間もなく顕在化してくるでしょう。


問題は中小企業から大手企業へ流失した労働人口が再び中小企業に戻すことが出来るかです
。確かにコロナ禍の影響や大手企業における副業制度解禁が増えることによって直近では中小個人の事業主体が増加している統計もあるようです。一方、中小企業の人財不足を補うかのように、事業承継や事業再構築を手掛ける専門企業も増えつつあることが見て取れます。


金融行政緩和により、金融機関が事業承継や事業再構築のため、中小企業を一時的に直接子会社化することも可能になっています。地域金融機関の中小企業向け融資で培ってきた事業に対する目利き力を活用することも期待されるところでしょう。ただし、それら中小企業を支援する専門事業者にも台所事情があるせいか、いま一つ凄身に欠けている様に思います。


中小企業の事業承継や事業再構築を行うためには、費用対効果との兼ね合いもありますが、中小企業の懐にどこまで飛びこめるかが必要なのです。多分にそこで働く役職員の人間模様が色濃く反映される事業を上っ面だけで見ていても始まりません。一方、どの様な事業にも磨かれた技術やノウハウといった糧を得るために必要な資源を持っている事実があります。


そこに焦点をあて見出して行く目利き力が中小企業を支援する事業者に求められます。古き良きものは残し、時代に合わせ変えるべきところは変えていけば事業を蘇らせることが出来るでしょう。その為には自らもまた日々勉強しながら成長しなければなりません。まだまだ中小企業に対する支援事業は緒に就いたばかりで、これからが真価を発揮する時でしょう。


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