誰にも聞けない経営財務戦略!

ビジネスの未来を財務と心で読み解くブログです!

CREATE LIFE!
より良い暮らしを創造しよう!

http://crelife.co.jp

地域金融の行方!

皆さん、おはようございます!
備えあれば憂いなし。全くその通りだと思うことが続いています。もう少し余裕を持って備えていればよいのですが、それでも事が起きる前の第六感とでもいうのでしょうか、予め準備をしておけば、いざという時に落ち着いて対処することで、最悪の状況を回避できます。



銀行が企業倒産の増加への備えを厚くしている様です。融資の焦げ付きに備える貸倒引当金の残高が2022年末に4兆円規模となり、9年ぶりの高水準となっています。新型コロナウイルス禍で経営不振に陥った企業の一部が、政府の支援縮小などで今後破綻に追い込まれかかねないと見てる為です。いよいよゼロゼロ融資の漬けが顕在化する時が近づいてます。


日銀による民間金融機関の資産・負債によると、2022年11月の銀行の貸倒引当金残高は4兆452億円だったそうです。銀行の貸倒引当金はリーマンショック後の2009年に約6兆円まで膨らんでいますが、その後は倒産の減少に伴ない、徐々に縮小していた経緯があります。引当金を積み増す動きは、企業の経営悪化への警戒感が強まっているからです。


コロナ禍で実質無利子・無担保融資(=ゼロゼロ融資)を受けた企業の多くは、元金の返済が免除される期間を3年程度に定めており、こうした企業の返済が今春から本格化することが予測されています。ただし、多くのゼロゼロ融資を行ったのは政府系金融機関であり、その融資残高約60兆円をも含めますと、この4兆円という引当金額は氷山の一角でしょう。


これから中小企業を中心に起こることは、この思いゼロゼロ融資の返済が行えなくなった企業の経営破綻であると言えるでしょう。そこへの対処策として考え得るのは、コロナ禍で突然売上が消失し固定費捻出のために投入されたゼロゼロ融資残高の返済期間をもう少し経常的な利益から返済できる程度に引き延ばし、毎年の返済負担を減らしていくことでしょう。


それから、アフターコロナにより変化した生活意識や様式に合致させるべく、これまでのビジネスモデルを変革(=事業再構築)していくことも不可欠だと思います。中小経営者というものは、資金繰りなど財務のことに気を取られると経営に集中できなくなるものです。だからこそ中小経営者の財務面と伴走支援をするべく経営力再構築型伴走支援が不可欠です。


コンコルディア・ファイナンシャルグループの中核金融機関である横浜銀行は、同じ神奈川県を地盤とする神奈川銀行を買収することで同県内の地方銀行を1行体制とします。確かに規模の経済を追い求めることも1つの戦略かもしれません。横浜銀行は、貸倒引当金を前年同期から71億円積み増して769億円としており、決して楽な引当損失ではありません。


この様な地域金融機関は、地域の中小企業と相互補完し合うことを忘れ、自己の経済合理性に従って活路を見い出そうとしているために、ゼロゼロ融資の返済が行えなくなった中小企業に対して伴走支援を行うというより、毅然とした態度で返済を迫って来るでしょう。それでは自らの手で地域経済を閉塞させていく様なものですが自らの論理が勝ってしまいます。


これからの地域金融は横浜銀行の様な銀行と、数は少ないかもしれませんが中小経営者にどこまでも伴走支援し地域のエコシステムを再興しようとする金融機関に二極化すると思います。どちらの極が本来の銀行でありバンカーであるかといえば、後者であることはあたり前です。資本の論理が必ずしも利己と結びつくのでなく、利他と結び付くことも不可欠です。


今日もありがとうございます!
https://crelife.co.jp

大手の社長交代劇!

皆さん、おはようございます!
週末の土曜日にブログをお休みしています。前日の金曜日にお客様との新年会でお酒を飲み過ぎてしまい、かろうじてその日の内にタクシーで帰宅することが出来ましたが、その夜は久し振りの泥酔状態で目覚めた朝は二日酔いではなかったものの集中力に欠いていました。



トヨタ、ソニーグループ、そしてパルコなど、株式上場する大手企業の社長交代劇が相次いでいます。それら企業に共通していることは、順送りの社長人事ではなく、先行き不透明な経営環境の中で起死回生の大幅な事業構造改革に向けた、奇想天外な破竹な社長人事であることが読みとれます。図体が大きくなり過ぎた企業グループの事業再構築が命題なのです。


新しい社長年齢を見ましても、トヨタが53歳、ソニーグループが58歳、パルコがやはり53歳と年功社長人事を度外視した若手の起用が目立ちます。私よりも若い年齢の社長が目立ちますが、これだけ時代のスピードが早まる中で若い方々の感性とエネルギーがなければ大手企業グループの経営を路頭に迷わせてしまいますので、とても好感を持てと思います。


大手企業の社長人事で若手を起用して注目を浴びた企業としてユニクロを運営するファーストリテイリングがあります。創業社長の柳井氏の肝入りで30歳代の玉塚氏を社長に据えたことは、これまた私と同じ世代であったため自分事の様に受け止めたのが20年前であったと思います。経営を張れる人財を積極的に中途採用していたのも今は懐かしい思い出です。


その玉塚氏も確か社長就任3年程度で電撃的な社長辞任劇に繋がり柳井氏が社長の座にカムバックしたことも未だ記憶に新しいと思います。こうやって自分の人生を振り返ってみましても、30歳代はまだまだそれまで習得してきたノウハウやスキルをアウトプットしながら
自らの経験を積み上げてる段階で、組織の人心を掌握するには力不足な年代だと思います。


柳井氏の様な創業社長や豊田氏の様に創業家という威光を身に纏っていなければ、なかなか組織で働く人々が付いてくるものではないでしょう。セコム現社長である尾関氏も、創業者である故飯田氏の長女の婿であることからも窺えます。20年前なら私自身も30歳代、40歳代であっても斬新な考えで社長を務めながら企業を変革していけると思ったものです。


しかし、今では30歳代、40歳代の社長はまだまだ人間的な成長の過程にあり早過ぎると思います。どんなに早くても50歳代半ば以降ではないでしょうか。トヨタやパルコの53歳というのも、若いエネルギーに期待をかけたギリギリ社長になれる年齢ではないかと思います。社長になる条件として、自らの志や意志が熟すほどの人生哲学を持つことでしょう。


最近、企業の存在意義を再定義するパーパース経営が注目されています。それは企業がただ単にマーケットに受け入れられる商品を提供するだけでは足りず、企業として事業を通して社会の課題をどの様に解決して行こうとしているのかを明確にすることです。大手企業として、それを考えるには経営者自身の人生哲学が色濃く反映されている必要があるでしょう。


それが出来る若手世代は、大手企業の中で育った人財ならどんなに早くとも50歳代になり
、一定の事業責任を担うポジションに身を置かないと身に付かないと思います。創業社長の様に若いうちから仕事のノウハウやスキル習得と同時に、人生哲学を反芻してきた経験を持つなら別です。もっと若い経営者を育成するなら、早いうちから事業を学ばせるべきです。


今日もありがとうございます!
https://crelife.co.jp

事業成長担保権!

皆さん、おはようございます!
前向きな気力、精神力に反して、やはり体力が急激に落ちていると感じることが増えて来ました。特に足や腰の衰えが否めません。お酒にもめっきり弱くなりましたしね。お陰さまで周囲から歳の割りに若く見えると言われる機会が増えましたが、複雑な気持ちになります。



企業が技術力や将来キャッシュフローなど事業の成長性を担保に融資を受けることが出来るようになります。金融庁が金融審議会に新制度案を示し、専用の信託免許を創設し認可を与えた金融機関を通じ解禁する方針です。株式会社や合同会社といった法人が利用できるようになります。不動産を持たないスタートアップ企業を支援することが狙いにあるようです。


金融庁は早ければ通常国会の提出を目指し、遅くとも2023年中の提出へ準備を進めています。民法の特例法として新法制定を目指してます。順調に進めば数年内に実現する見通しです。この新しい担保制度は「事業成長担保権」と呼ばれるそうです。法人の総財産に担保権を設定し、不動産を持たなくても銀行融資を受ける道を開くことに意味があるでしょう。


これまでは不動産を代表とする有形資産をそれぞれ個別に担保設定できるようになっています。裁判の判例を通じて対象資産が材料や機械などに広がってきましたが、今回の試みは将来の事業価値まで担保権を設定する包括的な制度を導入することになります。これにより、不動産に依存した金融機関の融資慣行が転機を迎える機会となる可能性に期待されてます。


法人の総財産は動産や債権、契約上の地位、技術など知的財産権、のれん、将来キャッシュフローなどが対象となります。不動産担保に依存した融資は不動産を持たないが技術力やアイディアを持つ企業の資金調達の手段を狭めていた経緯があります。新たな担保制度ができれば、不動産など有形資産を持たない企業も融資を受けられる可能性が高まると思います。


今回の法制化の特徴は、担保権を設定できる金融機関の参入ハードルを低くしようとしていることです。負担を軽くするため、法令上最低限求める事務内容も定型化する方向です。契約内容に関する説明を義務付け、財産価値が意図的に毀損される場合に限って公平忠実義務や善管注意義務等を事業成長担保権を設定しようとする企業に課すことが想定されてます。


例えば、多数の金融機関が共同で融資するシンジケートローンの場合、専用の信託免許を持つ金融機関が参加すれば債権回収会社やファンドなど免許を持たない資金の出し手も参加できるようになる見込みです。また、担保を提供する法人側の心理的な負担も軽くする見込みで、粉飾や使い込みがなければ金融機関が経営者保証の権利を使う事が制限される様です。


この事業成長担保権が浸透するかは、その担保権の経済価値をいかに評価するかに掛っていると思います。不動産の様に公示価格や路線価などがない事業としての固有性が強い経済価値を算定する為にはそれをする人の恣意性が入ってしまう事が拭い去れません。それを行うのが金融機関ということになります。これこそ正しくバンカーとしての目利き力でしょう。


万が一、事業継続性に問題が生じた場合には、金融機関が経営改革の受け皿となる場面も想定されるでしょう。今回の事業成長担保権の法制化により、直ぐに金融機関の対応が変わるとは思えませんが、本来、融資に際する担保というものは事業を評価した際の次善策であることを忘れてはなりません。担保があれば必要ない資金まで融資する考えは可笑しいです。


今日もありがとうございます!
https://crelife.co.jp