誰にも聞けない経営財務戦略!

ビジネスの未来を財務と心で読み解くブログです!

CREATE LIFE!
より良い暮らしを創造しよう!

http://crelife.co.jp

トヨタのモビリティ社会!

皆さん、おはようございます!
企業というものは、どれだけ成長し仮に売上高が30兆円に達しようとも未来永劫、安泰ということはないのかもしれません。数字の桁の多寡に関係なく、一時の経営判断の誤りが取り返しのつかない致命傷になることは、企業の規模に関わらず付き纏う問題です。



6月も中旬になり、上場企業の株主総会の開催が本格化しはじめています。
13日にはトヨタ自動車が愛知県豊田市の本社で株主総会を開き、その席上で豊田章男社長は「将来のモビリティー社会を株主の皆さまと、切り開いて行きたい」と語っています。巨艦トヨタ自動車が今後のビジョンを明確に示し、清々しさを感じます。


売上高は日本企業で初めて30兆円を超え、本業での好調さが続いています。そのトヨタ自動車が、現状に甘んじることなく今後進むべき道を明らかにしていくことは、並大抵の精神力では出来ない決意の表れなのでしょう。世界の自動車産業の間では、未だ業界再編が燻っていますが、本業で右往左往する以前に次なる一手が不可欠だと思います。


自動車産業全体では、業界の垣根を超えてインターネットにつながるクルマ、自動運転、カーシェアリング、電動化といったCASEの分野で技術革新が急速に進んでいます。
その先に見えるものは、単なる乗用車製造ではなく、次世代移動サービスMaaS(=モビリティ・アズ・ア・サービス)という大きなマーケットです。


MaaSは、クルマに留まることのない全ての移動手段をインターネットにつないで、生活者がシームレスに手軽に移動できるサービスです。その中でも要となるのがCASE
であることは言うまでもないと思います。電気で走るタクシーの様なクルマが、インターネットに繋がれて自由自在に無人走行している姿を思い浮かべることが出来ます。


その様な社会を実現するために、トヨタ自動車ではその技術開発のスピードに着いて行くために自前主義に拘ることなく、業界の垣根を超えて世界中のCASE技術を持つ企業との連携を矢継ぎ早に進めています。ライドシェアの領域では、米ウーバー、中国の滴滴出行、東南アジアのグラブなどへ出資を行い、確固たる地位を築き始めています。


これらライドシェアサービスを行っているスタートアップ企業たちは、単にライドシェアというサービス提供に留まらず、自らライドシェアに必要なCASE技術の研究開発を進めているので侮れません。米ウーバーは、トヨタ自動車とともに自動運転技術を日本へ展開する方法を検討していることを表明しています。


それに留まることなく、トヨタ自動車が出資する米ウーバーは2020年代にヘリコプターの様な空飛ぶタクシーを米国に続き豪州でも実証実験を行うことを明らかにしています。トヨタ自動車が地上を走る自動運転車ばかりではなく、空飛ぶタクシーを創る時代がやって来るのかもしれません。


トヨタ自動車は、既にカーティベーターという日本の空飛ぶタクシーのスタートアップ企業への支援も行っています。余談ですが、自動運転の空飛ぶタクシーが現実のものとなるのであれば、空飛ぶバスを運行している日本航空や全日空といったエアラインも、本業に留まることなく積極的に空飛ぶタクシーに関わって行くべきだと思います。


夢物語のようなことが、いま現実として動き始めており、そこにトヨタ自動車が積極的に関わっていることに注目すべきだと思います。会社の規模が巨艦だからこそ、明日に対する危機意識が強く、先手を打っているのでしょう。目先の本業に目を奪われることなく、自由な発想で未来を描いて行くことが、いまの時代には必要なんだと思います。


しかし、そんなトヨタ自動車でも36万人もの社員を擁する巨艦組織一丸となって将来に対する危機意識を持つまでには至っていないようです。2019年夏の一時金(=賞与)について、管理職で平均4~5%、若手社員などの組合員平均で1割減額するセンセーショナルな方針を打ち出しています。


足元の業績は堅調ですが、自動運転や電動化など分野の技術開発競争の激化を受けて、危機意識を共有することが狙いとしてある様です。社員の方にとっては寝耳に水な話しで反発する声も聞こえてきそうですが、経営サイドの現状に対する危機意識は相当なものだと理解することが出来ると思います。


その様な意識がトヨタ自動車を将来のあるべき姿を描き、そこに向けて実現していく原動力として突き動かしているのでしょう。現状と将来の夢という大きくかい離した現実の中で、思い悩みもがき苦しむ中から、現実の一歩として明日が遣って来るのでしょう。いまの産業界を見ていますと、まだまだ将来に対する破天荒な夢が足りないようです。


今日もありがとうございます!
http://crelife.co.jp



*お知らせ* amazonより電子書籍を出版しています。
企業経営においてM&Aという手法がすっかり定着しています。しかしながら、これからの時代を見据えますと必ずしもM&Aに固執する必要もありません。そんなM&Aの問題を電車の中で気軽に読める内容に纏めています。

「電車」で「サクッ!」M&A学習
「電車」で「サクッ!」M&A学習
2019-02-25
Kindle本
×

非ログインユーザーとして返信する