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松本の林業!

皆さん、おはようございます!
豊かな暮らしを手にした私たちの社会は、この地球に存在する自然資源をふんだんに活用することによりそれを実現しています。精神的な豊かさを求める時代に変わりつつある中で、私たち人類もまた自然界に抱かれていることを知らなければなりません。



いま、月に1度仕事で松本市へ訪問させて頂いています。
市内にある一次産業である木材生産を営む会社の経営管理体制の整備が主な目的ですが、この林業会社の社長のビジョンが明確なことと、20数名の役職員が個性的であり、新たな近代的林業会社としての可能性を秘めていることに魅力を感じています。


この林業会社は、山林に植生している樹木を伐採することを主な生業としていますが、理念として掲げているのは荒廃した山林を再生させるという大きな構想を持っています。
単に樹木を伐採することに留まらず、山の恵みを最大限生かした森林セラピーやトレッキングなどの体験ツアー、クラフト用木材の即売なども行っています。


それが出来るのも、役職員が単に木を伐採することだけでなく、ブッシュクラフトの様に創造力豊かに山林の素材を活かした生きる知恵を持っているからです。そんな彼らが目指すところは、山林という資源を相手に、事業を通じて分断されてしまった自然循環メカニズムを再生して行くところにあります。


日本の林業産出額は、1980年に市場規模1兆円をピークに下降を辿り、現在は同4千億円程度で推移しています。戦後に植林された樹木が約70年経過して、伐採時期を迎えていますが、木材の相場価格がピークの1/4程度に下落しており、国からの補助金なくしては樹木の伐採ができず日本の山林が荒廃しつつあることが問題となっています。


木材の相場価格が下がっている理由は、いろいろありますが主に海外から大量に輸入木材が輸入されていることにあります。高度経済成長下、積極的に住宅建設が進められましたが、日本の林業界は業界再編が遅れたため、その木材需要に対して必要な供給体制を整備できなかったことが、国内林業産出額が低迷している原因です。


今年は豪雨による土砂災害が多く見られましたが、これは山林の適切な間伐による手入れが行き届いておらず、山に降った雨が痛んだ樹木ごと下流に押し流しているからです。
本来、自然植生ならば起き得ない事故ですが、いまの山林の大方は人工林であるが為に起こるべくして起きていると言えるでしょう。


そんな山林の植生を自然体系に事業を通して少しずつ戻すと言いましても、林業会社自体の経営基盤を強固にしていかなければなりませんし、低迷している木材相場(=丸太価格)に頼ることなく木材の付加価値を高めて山林に資本を還流させていく必要があります。その為には、山林が消費者と直接つながっていくことが大切です。


日本の木材流通体制は近代化されることなく、現在に至っていることに問題があります。
山林で木を伐採してから、消費者の手元に木が届くまでの間に中小個人の製材所、加工場、複数の流通業者、工務店などが介在しており非常に複雑となっています。最近では事業者の高齢化が否めず、廃業が増加しているという課題も抱えています。


この様な木材業界の仕組みは、普段、消費者の目に触れることがないと思います。消費者としても加工された木材を目にすることはあっても、その木材の産地がどこであるかまで気に留めることはないと思います。ただし、最近は自然素材が見直されていますので、自宅に無垢の木材を利用したいという消費者も増えているのではないでしょうか。


本来、日本建築は無垢の木材を多用した、その地域の気候に合った造りとなっています。
最近では工業化住宅が一般化されてしまいましたので、その様な日本建築の良さに触れる機会が少なくなってしまっています。それでも、木に囲まれた生活は何かほっとさせるものがあるのではないでしょうか。


これからの民間の林業会社は、今までの森林組合の様に計画的に樹木を伐採するだけではなく、消費者が気が付いていない潜在的な木に対するニーズに応えていくことにより、新たな産業を醸成していくことが出来るのではないかと思います。最初はニッチな市場かもしれませんが、私たち消費者の目は確実に樹木に向いて行くと思います。


松本は、アルプスに囲まれた北欧にも似た自然と共生するコンパクトな街です。街と山が人々により繋がり、自然界の資源が循環するサイクルに抱かれてこそ、私たちは安心して暮らすことが出来ます。自然の恵みをいただき、それを余すことなく活用し、そしてまた自然界に還元していく持続可能な社会が大切なのでしょう。


今日もありがとうございます!
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