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ソフトバンクG!

皆さん、おはようございます!
静かに呼吸を整え耳を澄ませば、様々なことを五感で感じ取ることができます。他者と接していても、本来の自分の持ち味が自然と湧き出て来るものかもしれません。これまでの忙しさに追いかけられていた自分からは、想像も出来ない位の変化に驚きが隠せないでいます。



ソフトバンクグループ(=SBG)が発表した2022年10~12月期連結決算(=国際会計基準)によると、最終損益が7834億円の赤字(=前年同期は290億円の黒字)となっている様です。人工知能(=AI)関連の新興企業に投資するビジョン・ファンドの苦戦が続いています。世界中から資金を集めてAI有望株に出資する群戦略が揺らいでます。


投資をほぼ停止する一方、保有株の売却などで資金を捻出し、負債返済や自社株買いによってSBG株価の暴落を防ぐ財務戦略を優先している状況にあります。SBGが最重要指標とする、保有資産価値から純利子負債を差し引いたNAV(=時価純資産)は2022年12月末で約13兆9000億円と、9月末の約16兆7000億円から大幅に減っています。


ビジョン・ファンドの投資先のうち、韓国の電子商取引(=EC)大手クーパンや、米シェアオフィス大手ウィーワークなどの上場済みの銘柄の株価下落が響いている上に、未上場の投資先でも評価損を計上しています。保有資産の中核を占めていた中国のEC大手アリババ集団株の一部を手放すなど、資産圧縮を進めざるを得ない状況にまで追い込まれています。


世界的な金利上昇が投資先であるハイテク株式の大幅な下落に繋がっています。SBGの財務面の大きな課題は、今後4年間に渡り控えている社債の償還にあります。日本でも金利上昇圧力が強まっており、SBGの経営にとって重荷となるものと考えられます。今期以降、毎年数千億~1兆円規模の社債が償還期を迎え、合計で約3兆5000億円にのぼります。


SBGは、財務規律を保つため今後2年間の社債償還資金を確保すべく、保有株式を売却し未使用の融資枠を温存させながら手元流動性(=2022年12月末時点で約3兆8000億円)を厚くする方針です。成長戦略が行き詰るなかでSBGが望みをつなぐのが、英半導体設計大手アームを2023年度中に新規株式公開して、資金を確保することにあります。


それにしましても、SBGの時代をリードする新興企業への投資を通じて緩やかな連合をつくる群戦略とはいかがなものでしょう。ビジョン・ファンドを通じた投資活動は停滞しており、投資先企業との相乗効果を探る動きも乏しいようです。長期的な成長戦略も見え難くなっており、このままではSBGの株価は低迷するばかりか、企業としての存続すら危うい。


そもそもSBGは事業会社と言えるのでしょうか。現在のSBGの中核である携帯通信事業を司るソフトバンクも、元々は英ボーダフォンの日本での事業を買収したものです。身の丈に合わない買収をファイナンステクニックを使って無理に行っている印象が否めない、孫正義氏流の事業とファイナンスのハイブリット経営には、限界があると思わざるを得ません。


買収した事業の株式公開による錬金術によりグループ株価を高め、更に株式投資に走る綱渡りでは、株価が暴落した時に取り返しのつかないことになると思います。必要なことは、事業戦略と財務戦略のバランスを保つことであり、事業なら事業としてのヒューマンキャピタル(=知的資本)の蓄積を図りながら、株価を高めていくことが王道ではないでしょうか。


今日もありがとうございます!
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