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方法としてのコーポレートファイナンス!

皆さん、おはようございます!
36年余り企業の財務を預る仕事に携わってきた立場として、これまでの企業財務や財務会計のあり方に意見することは非常に心苦しくもありますが、そろそろそれらの学問が目的として論理構成してきたことを見直して、社会をより良くしていく必要がある様に感じます。



これまでも、何度となくブログで取り上げさせて頂きましたが、現代社会の一番の弊害はお金としての「資本」を手段としてではなく目的化してしまっているところにあると考えており、その思いが強くこそなれ弱まることはありません。この地球上の人々が、交換および保存手段である資本そのものから幸福を感ずることはなく、飽くまでその使用価値からです。


資本を増やし続けたところで、それを使用して商品やサービスを購入することによって、初めて個人的に満足感を享受(=使用価値)できるものであるからです。使用価値とは、物が様々な人々のニーズを満たすことができる有用性を指します。資本蓄積した所で、それを費やしモノやコトの消費することが目的なら、余剰資本獲得を目的とするのは行き過ぎです。


なぜ現代社会の価値観の潮流が資本蓄積としての多寡に偏重し過ぎてしまっているかと言いますと、それは経済主体の一つである企業セクターの占める割合が質量的にも一番大きいため、それを前提とした社会の枠組みを創り上げてしまい、それが固定化してしまっているからでしょう。その企業セクターの価値思想の核心が広義のコーポレートファイナンスです。


コーポレートファイナンスとは、企業価値(≒株価時価総額)を最大化することを目的として、資金調達し、事業に投資し、調達元に利殖を持って資金の返済や還元をしていく活動のことです。また企業の財務活動のうち、事業に必要な資金を市場から調達する活動ということもあります。ここで株価時価総額最大化という目的自体に問題があると受け止めてます。


株価時価総額を毎年増やしていく為には、年々増える企業固有の資本コスト(=加重平均資本コスト=有利子負債コストと株主資本に課せられる株主から要求されるコストの加重平均
)を上回る利益を出していくことが必要になりますが、その利益が資本に組み入れられれば当然にその翌年以降の資本コストに跳ね返り、更に資本コストが高まることを意味します。


それは企業は存続する限り金銭的に成長し続けなければいけない矛盾を孕んでいます。コーポレートファイナンス理論上そうであっても、企業目的は株価時価総額を追求することではない筈です。バブル経済崩壊以前の日本企業でしたら、株主だけでないお客様、従業員、取引先といった企業を取り巻く多くの利害関係者にとっての利益追求が目的となってました。


それがこの20年余りの間に、上場企業がこぞって企業は株主の為だけにあるとする欧米流の価値観に染まってから社会が息苦しくなってます。グローバル市場の中で、日本だけが異なる価値観を主張した所で蚊帳の外に置かれるだけだったでしょう。しかし、その結果として、人間の幸福よりも金銭的多寡だけに価値を見出す社会の風潮は明らかに間違ってます。


このことは日本固有の問題でなく、世界的問題にまで高まりつつあると言えるでしょう。世界的に見て上場企業は、市場から融資や資本調達する必要がないほど資金余剰となっています。それにも拘わらず、その資本が社会幸福に資する使われ方が為されず、マネーゲームに費やされている現在の資本市場は明らかに可笑しく、行き過ぎた投機は何れ是正されます。


今日もありがとうございます!
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