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パーソナル経済!

情報化社会は、いままでの規模の経済を凌駕し、パーソナル経済へと転換させるものだと思います。スケールメリットを追求し、需要者のニーズに対して最大公約数的な商品を提供してきましたが、これは供給者の論理です。需要者のニーズは千差万別であり、その一つひとつのニーズに応えていくことを可能とするのがパーソナル経済だと思います。



いままでの経済では、ヒト(=労働)、モノ(=資源)、カネ(=資本)という経営資源の三要素を活用して、とにかくスケールメリットを追求することにより商品単位あたりのコストを低く抑え、安く大量にモノを提供していくことが経営のスタンダードとなっていました。そして今日では、この三要素に情報(=知識)が付け加わっています。


情報は、単に情報機器を駆使して効率良くモノを作るのみならず、知識という側面に焦点を当てれば、新たな独創的なアイディアや考え方を創出し、それまでの旧態依然としたモノ作りの方法を見直したり、新たな多様な商品を生み出したりする源泉となります。その意味では、未だ私たちはこの情報という新たな資源を使いこなしていないと言えます。


更に、いま起きていることは、この知識としての情報を得るためのコストが限りなくゼロに等しくなっていることです。情報端末が普及していない時代には、この情報を得るために費やす時間的、金銭的なコストが計り知れなかったことを考えれば良く分かると思います。そして、人間は情報に触れることにより、また新たな知識を生み出す存在です。


知識が簡単に普及する時代に大切なのは、独創性とコミュニケーションの二つです。独創性とは新たな知識を生み出す力であり、その生み出された知識を具現化して新たな商品の創出につなげるためには、それを人に伝えて行かなければなりません。現在の企業の枠組みにおいては、このプロセスが未だ確立されているとは言い難いと言えます。


また、これからの時代は、この人間の独創性を拠り所として新たな商品を創出するプロセスは企業だけに認められたものではなく、規模の大小に関わらず個人や小企業であっても創出できるものであると言えます。むしろ、いまの大企業は、新たな知識を創出することよりも、自らの組織を維持するための無意味な議論に明け暮れていると言えそうです。


商品をお客様に提供することを目的とする事業者は、お客様のニーズが多様化するなら、その多様化するニーズに応えて行かなければならない宿命にあります。それにも関わらず、大手企業ほど個々のお客様のニーズに応える以前に、最大公約数的なニーズにしか応えられない自らの論理を押しつけることに終始していると言えるでしょう。


情報化社会においては、いかに個々人の多様なニーズに近付き、それに応えて行けるかが問われます。極端な話し、情報技術を活用すれば、一人のお客様のニーズに対して、一人の供給者が応えていく様な1人単位の市場を成立させることも可能です。アマゾンのロングテールや電子出版などが良い例でしょう。


出版不況といわれる中で、いままでの出版事業でしたら、書店から大量の売れ残った本を返品されることを前提に本の製作コストを考えていく必要がありました。単価を一定の金額に抑える為には相当の部数を発行する必要がありますが、それがまた返品としてコストに跳ね返ってきてしまうのです。


ところが電子出版でしたら、製作コストが紙の本の4分の1で済みますので、販売2千部で採算がとれると言われています。これなら取り扱える書籍の幅を広げることができます。米国ではこの様な独立系出版社の出版点数が過去5年間で2.6倍の100万点に達しているのに対して、大手出版社は約20万点に留まっているそうです。


また、金融の世界でも、証券会社や銀行などが株式や投信を販売し販売手数料を稼ぐために、必ずしもお客様が必要としていない短期銘柄を無理やり押し込んだりすることは良く聞く話しです。成績に追われる営業担当者は3年毎に転勤していきますので、どうしても短期的に手数料を稼ぐ供給者の論理が蔓延ってしまいます。


その様な状況の中で、多くの大手金融機関のエース級の若手営業マンが会社に愛想をつかせて独立系金融アドバイザー(=IFA)事業を立ち上げています。IFA事業とは、お客様の立場で資産運用コンサルティングを行う仕事であり、途中でお客様の担当を変えることなく未来永劫、一人のお客様のために仕える立場です。


いまの産業は、お客様のニーズの最低限を満たしていれば良いという前提の上に成り立っています。それは、企業主体の経済政策をとってきたが為に行われて来たことであり、情報技術革新により需要者のニーズが多様化していなかったことにもあります。これからの細やかな需要に応える新たな経済は、人間主体のパーソナル経済と言えるでしょう。


今日もありがとうございます!
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