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みずほ銀行のオンライン融資!

皆さん、おはようございます!
2016年より中小企業への融資に関して、担保や保証にばかり依存するのではなく、その企業の事業性を評価するように金融庁から問題提起されています。それから3年が経過し、銀行の意識も変わりつつある様に見えますが、構造的な問題を孕んでいるようです。



インターネットで手続が出来る中小企業向けのオンライン融資が広がりを見せています。
IT(=情報技術)を武器に異業種やネット銀行が先行していましたが、メガバンクで初めてみずほ銀行が参入を発表しています。既にアマゾン、楽天、リクルート、オリックス系アルトア、ジャパンネット銀行、住信SBIネット銀行などが参入しています。


会計ソフトや電子商取引(=EC)の履歴、SNSに集まる口コミ評判といった生のデータを幅広く集め経営実態を把握し、成長企業かどうかをシステムで目利きする仕組みです。決算情報だけでは分からない企業の将来性を見極め、無担保での融資を増やす動きが加速するものと期待されています。


こうした企業向けオンライン融資は、ジャパンネット銀行が2015年1月にヤフーへの出店業者向けに始めたのが最初です。みずほ銀行では、約80万社の中小企業が預金口座を持っていますが、その内融資にまで至っていた企業は1割程度に留まっていたようです。まずは口座がある企業を対象に、将来的には口座のない企業にも広げる計画です。


銀行界は、2000年代半ばより、決算書に基づく売上高や経常利益を点数化するスコアリングモデルを導入していますが、データが過去の決算期の実績に限られた為、貸し倒れが相次いだ痛い経験を持ちます。本来は、将来の企業成長などの定性的な情報は、経営者との面談により補うのですが、この目利き力は銀行員の資質によりバラつきがあります。


銀行の組織体質として、この目利き力も標準化して行きたいのでしょうが、オンライン融資で会計ソフトや電子商取式の履歴を関連性を持たせて隈なく分析したところで、将来の企業の安定性を読み取れるのは、向こう数カ月が良いところです。その様な事情もあり、オンライン融資の貸出期間を1年以内としているところが殆どです。


その様な仕組みのオンライン融資ですので、融資審査に掛る時間は即日から数日とアナログの審査期間が2週間かかるのに比べて、非常に短くなっています。但し、貸出金利が14%前後と消費者金融並みの金利ですから、オンライン融資の仕組みとしてカードローンの派生形と捉えると分かり易いと思います。貸倒れを充分に吸収できる金利です。


金融機関は、高い信用力や充分な担保・保証がある企業に優先して融資をしますが、事業の価値は高くとも信用力が低い企業には融資を渋る日本型金融排除が2016年頃より社会問題となっています。金融庁も事業の将来性などを評価(=事業性評価)して、無担保の短期継続資金を継続的に提供することを求めています。


本来、銀行員が融資候補先企業に暫くの期間張り付いて事業を具に見ていればその企業の経営状態が見えてくるものです。いまの銀行では、営業担当者一人が50先以上もの企業を担当していますから、とてもそんなことをしている時間がありません。これもマンパワーに頼る銀行業が効率性を求め過ぎてしまった結果だと思います。


その結果、何が銀行に起きたかと言うと、昔の様な事業の目利き力が失われ、貸倒率を増やさない様にする為に、要は融資をしても貸倒れが起きない安全な先ばかりに営業に行く結果となっています。みずほ銀行のオンライン融資は、時代を先取りする面もありますが、本来営業担当が訪問しなければならないお客様までも対象にしている様に思います。


どの様な商売も、その事業領域における専門性を極めることにより目利き力を高め、その目利き力を源泉として事業リスクを低減して行くものです。そこが商売としての利益の源泉となるものです。銀行業は、やはり融資業務が本来の主要事業であり、事業に対する目利き力を高めて行かなければ、本業で稼ぐことが難しくなってしまいます。


事業に対する目利き力を高めて行くことが出来れば、その技術を応用してM&A支援や経営コンサルティングといった新たな事業機会を得ることも出来ると思います。事業に対する高い目利き力を確立した銀行は、例えば目利き力の弱い銀行から事業評価業務を代行してみても面白いと思います。その技術を活用すれば様々な可能性が見い出せるでしょう。


情報技術を活用したオンライン業務により銀行業務を効率化させていくことも時代の流れかもしれませんが、だからこそ人間の目利き力を大切にしていく必要があります。銀行にとっての最大の技術は融資の際に行われる事業を評価する目利き力ですので、その技術をいかに若い銀行員に伝承させて行くかを重く受け止めるべきでしょう。


今日もありがとうございます!
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