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百貨店業界を考える!

皆さん、おはようございます!
先日の大雪と打って変わり、穏やかな澄みわたるような大空が広がっています。自分自身の気持ちも、いつもこの澄みわたる大空のように溌剌としていたいものです。その為には、ただあくせくと忙しくしているのではなく、もっと心の余裕をもって楽しむことも大切です。



今年1月31日に、都内にある2つの百貨店が半世紀の歴史に幕を下ろしています。立川にある高島屋と渋谷の東急百貨店本店です。東急百貨店本店の跡地には、商業施設やホテルを複合した高層ビルが建設される予定です。旧そごうが経営破綻した2000年以降、全国で100店以上の百貨店が閉店していますが、本当に百貨店の時代は終わったのでしょうか。


ある都心の百貨店で来店客が滞在した平均時間が15分間/人だったそうです。まるでコンビニでの買い物の様な様相ですが、電子商取引(=EC)で品定めした商品を店頭で購入する目的買いが増えてることが理由です。いつでも、どこでも買い物ができるECが生活に広がり、巨大売り場を抱える百貨店の役割が大きく揺らいでいると言われて久しいでしょう。


池袋本店2階にビッグカメラが入店することの是非が取り沙汰されているそごう・西武の売却額は2000億円超とされていますが、その金額の大半が池袋店の不動産の価値だと囁かれています。駅前や繁華街の好立地が多い百貨店にとり、所有不動産が残された競争力のひとつであることを物語っています。結局は東急百貨店本店も同様のことが言えるでしょう。


J・フロントリテイリングに至っては脱・百貨店が経営目標として掲げられており、2030年までに営業利益に占める不動産や金融の割合を4割に高めていく計画です。東京は銀座のグループ店舗「ギンザシックス」では、売り場全てを入居テナントにより占められており
、安定した賃貸収入で稼ぐ、百貨店業というより不動産業に近い収益構造となっています。


百貨店における商品の目利き力や接客技術に裏付けられた「のれん」の価値が薄れてきていることが否めません。それは業界各社がバブル経済を背景にこぞって多店舗展開を目指したことと因縁があります。コンビニやスーパーマーケットといった業態と同じ様にチェーンストアオペレーションを志向し、規模の経済と標準化を追求し始めたことに理由があります。


そのことで、百貨店事業を支える人財までがピラミッド型階層組織の歯車化してしまったことが、商品の目利き力や接客術のレベルを低下させることになり、顧客から見て百貨店に行って非日常のワクワクする期待感を奪ってしまったものと考えます。また、人財側もマニュアル化(=形式知)されたノウハウを身に付けることにより暗黙知が奪われたのでしょう。


品揃えと接客力が評価され2022年度に過去最高の売上を見込む百貨店もあります。三越伊勢丹ホールディングスの伊勢丹新宿本店です。顧客の深層心理に深く入り込み、商品を提案する運営が功を奏したと言えるでしょう。その姿勢は、顧客の好みを細かく把握した江戸時代の呉服店に通じるでしょう。百貨店のルーツが呉服店であることが忘れられています。


人工知能(=AI)が商品を進めるデジタル時代であるからこそ、驚きや夢のある商品と出会える「リアル」の体験が不可欠です。それは百貨店業態に留まらず、あらゆる業績不振に陥っている企業の再興に向けた大切なキーワードになると思います。ヒューマンタッチな人的資本を生かし抜くこと、すなわち暗黙知を信ずる感性を持つことが必要な時代でしょう。


今日もありがとうございます!
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