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行政における財務上の課題

皆さん、おはようごいざいます!
今日は7月も最終日ですね。「夏」もあと1ヶ月、毎日が早すぎて気が付けば年賀状が発売される季節になりそうで怖いですね。日々、悔いを残さず、その日に為すべきことはその日のうちに終わらせようと思います。


最近、林業者や製材業者との関わり合いが増え、
それに伴い地域行政との関わりも増えています。
以前、不動産開発業務に携わっていた時には都市開発系の部署との許認可に関するやり取りが多かったのですが、今はどちらかといいますと補助金関係の話しが多いです。


補助金も、産業の置かれた事情からやむを得ない部分もあるのですが、出来る事なら民間事業者として、それを充にせずに自助努力で事業採算を合わせて行くべきですが、突発的な災害が生じて、急きょ山林に路網(=山林の樹木を搬出する為の道路です)を作らなければならないとか、地域産業振興の為に機械を購入しなければならない事情もあります。


ただし、それが余りにも頻繁に行われるようになりますと、民間事業者も補助金というお金の力には負かされてしまう部分もあり、無意識のうちに事業意欲が損なわれて行くこともあり得ると思います。行政サイドも地域振興というビジョンの下、民間事業者とは一線を画していることを建前としつつ、自らの方針に従わせたいという意識が働きます。


官民連携することは素晴らしいことであると思いますが、民間への補助事業や委託事業になりますと、兎角、それが許諾されるのに必要な条件が付与されてしまい、
その条件が満たされるまで事業が開始されず、
伸び伸びとなってしまうことが往々にしてあります。


民間事業者からすれば、なかなか自助努力だけで事業開始に漕ぎ着けず、
そこにたどり着くまでに経費負担の掛かる為すべきことが増えたりして、
労力の問題もあり、なかなか事業計画を建て難くなり、
結果的に徒労で終わることもないとは言えません。


また、いざ事業が始まると公的資金が継ぎ込まれるため、初期の計画通り地域振興に繋がっているかどうか民間事業者を牽制する必要も出てきますので、補助事業や委託事業を受ける事が本当に企業の為になるのかどうか充分に検討すべきだと思います。仮に受けるにしても、企業にとってココ一発の時に限るべきというのが私の考えです。


最近、経済誌のオンライン版に
「自治体が3セクで失敗を繰り返す3つの理由」なるものが掲載されていました。
実に3セクの40%は赤字で、残りの60%も行政から補てん金を受けているので実質赤字だと言われています。


これら3セクに共通しているのは、①総花的なバラ色の事業計画を組んでいること。
そして②地元での合意と行政の制度制約に縛られることが多くマーケットを無視せざるを得ないこと。最後に③計画書を作成するのは外注先で資金調達は役所任せで、失敗しても救済して貰えるという民間事業者には考えられない甘さがあることです。


私も、全く持って同じことを考えていた折でしたので、的を得ているなと思います。何れにも共通しているのは「計画の甘さ」です。外部アドバイザーを使うにしても、3セクという事業主体のトップに自ら責任を持って計画を立案するという気概がなければいけません。アドバイザーは実務的な支援をする立場であり、方針はトップが決めなければいけません。


きちんとトップが納得した事業計画がなければ、事業開始後の拠り所をどこに求めるのでしょう。事業実績と対比すべききちんとした事業計画があってはじめて、事業の課題や問題点が浮き彫りになり、その解決に向けた対策が打つことが出来る様になります。PDCAのPがなければDも、Cも、Aもありません。基本的な課題です。


どうしてこの様なことになるのか私なりに考えてみました。
多くの第3セクターというのは行政主導で設立され、運営されています。その行政である地方公共団体の会計、すなわち一般会計とか普通会計といわれる会計制度は「単式簿記、現金主義会計」だからだと思います。


単式簿記現金主義会計を簡単にご説明しますと、歳入と歳出という現金の収支計算書しかなく、また年度予算で収支管理をしている為、貸借対照表も損益計算書も持っていません。と言うことは、ある公共事業投資で建物を購入しても、単年度で支出して完結してしまいますので、良く期以降にその建物が儲かっているのか、損しているのか把握しようもありません。


それ以前に、貸借対照表がないのですから、管理する台帳はあっても財産として建物を管理していることにはなりません。この様な財務管理体制をとっているので、第3セクターで損益会計を導入していたとしても、行政側がその様になっていなければ上手く運営することは難しいでしょう。


どうして行政が単式簿記、現金主義会計を採っているのか、歴史を紐解いてみたくなります。複式簿記、損益主義会計の売上部分に相当するのが歳入である税収だからそぐわないと言われれば分からないこともありませんが、それは形式上売上を歳入と読み替え、複式簿記のシステムを利用すれば良いだけの話しです。


もう一つ、単式簿記、現金主義会計から派生する課題と思いますのが、予算主義です。
一度、貰った予算は使用する当てがなくとも、無理やり毎年貰い続けるという慣習ですね。民間事業でしたら、予算計上しても費わなくて済むなら費用が減る訳ですから費やさないですよね。


予算を議会承認を得なければいけないとはいっても、余りにも現実離れしていると思いませんか。今後、人口減少、少子高齢化が顕著になるのに、もっと機動的な行政施策を打てないと世の中の動きの速さについていけなくなります。そうでなくとも、新たな予算計上するのが大変なのは当たり前で、費やさなくとも済む予算は減らせば良いのではないでしょうか。


総務省が地方公共団体への努力義務として2018年までに新しい公会計制度の導入を促しています。これまでの会計制度に複式簿記・発生主義会計を導入し、貸借対照表と損益計算書も作成するというものです。ただし、努力義務で何処まで実効性があるのか、いささか疑問でもあります。


会計制度を変更するだけではなく、小さな効率の良い行政府を目指し、
時代の流れよりも早いビジョン、施策を打って頂くことに期待するを望むばかりです。








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