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社会資本としての土地!

皆さん、おはようございます!
東京五輪開催を控えて、新しい建物の建設需要がピークを迎えているようです。
それにともない土地の価格もバブル景気時の様相を呈しており、間もなく需給バランスも調整局面を迎えるでしょう。



土地の活用方法といえば、オフィス、商業施設、マンション、戸建住宅の用地として利用されるのが、いままでの一般的な捉え方であったと思います。ところが、最近ではシェアリングエコノミー(=共有経済)の考え方が随分と浸透し、シェアオフィス、シェアハウスなど、その用途が広がって来ています。


また、日本では海外に比べて、土地上にある建物を長きに渡り活用しようとする考え方が少なく、実際に使用する期間が耐用年数よりも短いということが往々にしてありました。
ところが、人口減少下の建物供給過多により、空き家や空き室が急増しており、街のスラム化を避けるためにも、リノベーションを行い再利用しようという機運もみられます。


人々はこの土地という大地の上で、そのロケーションにあわせて様々な営みをしてきました。商売の資源として、暮しの拠点として土地を使用してきたことにより、その地域ごとに異なる趣きを醸し出しています。長い歴史の中に生きづいたその趣きが、また人々を魅了し、そこに人々を集わせるプラットフォームのような役割りを果たしています。


最近では、その様な歴史的文化的な側面を持つ街並みをいとも容易く、再開発という名の経済合理性に基づき高層建築物に建て替えてしまい、時代の断裂が起きていることを危惧します。人間の精神構造というものは、環境との相互作用の中で時間の流れとともに少しずつ変化を受用していくものでしょう。


人間の営みの歩調にあわせて、街並みも少しずつ変わり行くことが理想的だと思います。
時代の変化にあわせて、人々の営みが変われば、それとともに街並みも変わり行くものです。それでこそ、本来の土地の価値が見い出せるものと思います。経済的価値と社会的価値の相互作用により規定されるものでしょう。


ところが、土地も不動産証券化など金融商品化することにより、経済合理性ばかりを追求するようになっており、歴史性という社会的な価値を忘れさせてしまっているものと思います。これから、人口が減少して行く中で、どの様に街並みを維持して行くか、私たちが真剣に向き合わなければならないテーマだと思います。


経済合理性のみを追求するのなら、土地単位あたりの収益を最大化するために、建設する建物の規模を最大限大きくすべきことになります。しかし、時代の流れとともに人々の行動パターンや生活様式は変化して行きますので、その大きな建物をいつまで使用し切れるかは分かりません。


最近、百貨店が郊外、地方店舗からの撤退が相次いでいます。その地域の目抜き通りに立地する巨大な建物が空き家となることを想像して見て下さい。いま都心で建設されている高層建築物もいつまで入居者を満たし使いきれる保証はありません。そうでなくとも、高層建築物の建設ラッシュでお互いのビルが競合し合っています。


土地というものは、会計上、企業の貸借対照表に取得したときの価額(=取得原価)で固定資産として記録されます。他の資産との違いは、土地は使用し続けても未来永劫価値が無くなることはないので、償却を行わないところです。この点から、他の資産とは異なり資本性があると言われる所以です。


資本性が認められるのであれば、取得原価ではなく時価で評価替えをすべきとも考えられます。もちろん、その時の時価は経済的価値と社会的価値に依拠した価値です。取得原価のまま貸借対照表に計上しているから、土地を所有する企業はその付加価値を高めようとするインセンティブが働かなくなっているのも課題の一つだと思います。


企業が事業活動を行う上で必要な資源三要素(=ひと、もの、かね)に第四の要素として土地を含めても良いと思います。土地がなければ企業は事業活動を行えませんし、それ以前の問題として、人が存在する場所は必ずこの土地という大地の上にあると言えます。
それにどの様な価値を見い出すかは、人間と土地の相互作用の結果だと思います。


土地は有限です。その殆どが私有財産として企業若しくは個人が所有しています。
この希少な財産をどの様に社会的に意義あるものとして活用して行くかも私たちが決めて行かなければなりません。私有ではあっても公共的な色彩を強く持つのが土地の特性でしょう。共生社会においては人間の想像力と創造力が大切であると言われる所以です。


今日もありがとうございます!
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