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GDPとROE!

皆さん、おはようございます!
暫く春の陽気が続きましたが、昨日から今朝にかけての天気は春の嵐とでも言うのでしょうか。まさか、この時季に雪景色を見ることになるとは考えても見ませんでした。
色づきはじめた桜が寒そうでしたが、今日からまた暖かくなるようですね。



GDP(=国内総生産)という世界各国の付加価値を計る指標をご存じだと思います。
この指標が必ずしも実体経済を現わしていないという指摘が増えているようです。
情報化社会において、シェアリングエコノミー(=共有経済)が拡大しているにも拘わらず、個人と個人が相対で取り引きをする経済は反映されていないことも一因です。


それ以外にも、里山や限界集落などでは、いまでも日常の生活の中で交換取引が多く為されています。また、地方における所得水準が都会に比べて低いと言われますが、地元で獲れた農産物の価格は、市場での価格に比べて相当に安い価格で取引をされていますので、一概に単純な金額比較だけで豊かさを測ることも出来ないと思います。


政策ではこのGDPを前提に論議され、世界各国を比較する経済指標として論じられることが多いと思います。統計指標の限界とでも申しましょうか、一つの指標で経済の実態を表現すること自体に無理がある様に思えます。本来、経済は国民の生活を豊かにする為にありますので、物量面から経済を語るのも限界がある様に思えます。


企業でもROE(=return on equity/自己資本利益率)で業績の良し悪しを捉えることが増えていると思います。特に最近、国内の企業のROEが10%を超え、欧米企業に近付いて来たことを好感する風潮が増えていると思います。しかし、ROEは企業の一側面を相対的に見ているだけで絶対的なものではありません。


ROEをどの様に算出するか既にご存知だと思いますが、損益計算書の純利益を貸借対照表の自己資本金額で除していますが、そもそも財務諸表は企業の経済実態を正しく表現しているのでしょうか。いまの会計基準は、どちらかと言いますとモノの売買を前提として組み立てられていますので、コトを消費する社会でのそれに限界があるようです。


歴史を遡りますと、財務諸表の原型は資金の収支計算にあります。今でもキャッシュフロー計算書が財務諸表の一つとして構成されていますが、企業の開始から終期までの損益計算書尻と収支計算書尻は一致することがそれを説明しています。その時代の企業は、継続性を前提としておらず、一事業単位ごとに収支計算をすれば間に合いました。


それが、経済の発展と企業の近代化により、信用取引が始まる様になり、また産業革命以降は生産設備を長期間活用して製品を生産する様になり、それまでの収支計算書では間尺に合わなくなったのですね。お金の出入りで計算した利益が業績利益としての実態を現わさなくなり考えられたのが損益計算書です。


費用は資金を支出した時ではなく原因が発生した時に計上し、売上はそれが実現した時に計上する。そして、売上とそれを獲得する為に費やした費用を対応させるという3つの原則に基づいて作成されます。これにより売掛金や買掛金概念、固定資産に対する減価償却という概念が定着することになりました。


一方の貸借対照表ですが、当初は財産目録として資産として価値の認められるものだけが時価で計上され、契約で確定している債務が負債として計上されていました。現在の貸借対照表はその様な毎期の損益計算書の経過勘定(=収支と損益のズレ)をも計上する箱となり、必ずしもその時点の財産の状態を現わすものでは無くなっています。


それが今日において、貸借対照表は企業のその時点の財政状態を表現する能力を持たせるべき(=時価主義)ではないかというのが世界の潮流となっています。企業の収益獲得の源泉となる財産の状況を表現するのが貸借対照表の役割と考えますと、現在の貸借対照表は必ずしも財産的な価値があるものだけが計上されている訳ではありません。


情報化社会においては、人間の持つアイディアや創造力といった知的財産が収益の源泉となる時代です。ところが現在の財務諸表では、無形資産の計上は出来る限り排除し、有償で取得した資産以外は計上できないことになっています。財務諸表は、今まで蓄積してきた技術的な論理がありますが時代のスピードに追い付いていない様にも思えます。


いま人財に関わる資産は損益計算書で人件費として計上されるのみで、貸借対照表に計上することは出来ません。これからの時代、企業の収益の源泉として資産計上すべきときが来るかもしれません。時代の変遷にともなって、その時々の状況を正しく表現できる様にGDP統計や会計制度も変えて行くべきなのでしょう。


今日もご覧いただきましてありがとうございます。
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