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手段としてのM&A!

皆さん、おはようございます!
今までに上場企業から、赤字を抱える中小企業まで30件余りのM&Aを手掛けてきました。M&Aがいまだ日本に定着する前の黎明期から試行錯誤してきて思いますのは、それはやはり事業を創るための手段だということです。



年々M&Aが増加していますが、最近はそれ自体が経営戦略の目的と化している様に見えてなりません。本来は、既存事業の強化、または改編という事業戦略上の目的があって、それを達成する為に必要な事業資源を取り込む為にM&Aが行われるのがあるべき姿だと思います。既存事業と補完性の高い新規事業を立ち上げる為であっても良いと思います。


最近のM&Aを見ていますと、企業または事業を買収することにより単純に売上や利益を増やすことが付加価値だと思っている風潮があるように見受けます。確かに買収する企業の売上や利益は増えますが、一方で売却する企業の売上や利益は減っていますので、経済全体で見ますと付加価値を生んでいることにはなりません。


今年行われた武田薬品工業によるアイルランド製薬会社シャイアーの7兆円の買収は、買収金額が巨額で世界的にも注目を集めましたが、社会に対して新たな付加価値を生まない形のM&Aであることは明らかです。成長性が鈍化しつつある武田薬品工業の単純な規模の嵩上げにしかならないでしょう。


一方、RIZAPの様にこの2年間に約80社もの不採算企業を買収していたことについては、それらの事業が本業のジム事業から大幅に掛け離れた事業群であることからも戦略性を全く感じられないばかりか、負ののれん償却益を意図的に計上する目的であったことから、穿った見方をすれば少々、ヤンチャを遣り過ぎたということが出来るでしょう。


その他にも数々のM&Aが行われて来ていますが、それらのうち成功と言えるM&Aは10%にも満たないのではないかと思います。その意味では、未だM&Aが日本の企業文化に定着しているとは言えないでしょう。一つには、経営が明確な戦略観を持たずに、資本の論理ばかりに気を取られていることにあると思います。


いま企業に求められているものは、情報技術の進展を背景としたイノベーションです。
消費者ニーズも個性化が進み、いままで顕在化してこなかった新たな欲求が時代の変化とともに生まれつつあります。いまの社会システムは、必ずしもそれら欲求を満たしているとは言えず、消費者は他に選択肢が無いからそれに甘んじているとも言えます。


例えば、企業は未だ資本の論理を背景に規模の経済を追求することが最良のビジネスモデルであると思いこんでいますが、消費者から見ますとマスマーケットを前提とした大量生産品よりも、カスタマイズされた商品に関心を持っています。最近ではAI(=人工知能)やIoT(=モノがインターネットに繋がる)がそれを可能としつつあります。


そうであれば、大手企業も情報技術をもっと積極的に採り入れて、いままで完成させてきたビジネスのあり方を大きく改編していくべき時期に来ているのではないでしょうか。
その情報技術という機能を事業に組み込む為には、ゼロから企業内に積み上げるよりも、M&Aを行った方が手っ取り早いと言えるかもしれません。


むしろM&Aまで行わず、資本業務提携というアライアンス手法の方がこれからの時代には合っていると言えるかもしれません。トヨタ自動車とソフトバンクグループによるCASE(=つながるクルマ、自動運転車、カーシェアリング、電気自動車)における提携関係は良い例だと思います。


クルマを販売する時代から、モビリティとしてサービスを提供する時代へ変容して参りますと、いままで自動車産業が築き上げてきた販売チャネルや研究開発といったビジネスモデルは時代遅れとなり使いものにならなくなってきてしまいます。その時に事業構造改革の一環としてM&Aやアライアンスという手段を活用すれば良いと思います。


M&Aを頻繁に活用する大手企業の中には、グループ内事業の財務採算性を指標として事業を売却したり買収したりする判断軸としているところを良く見かけます。企業価値を高めて行かなければならない上場企業にとって、それも大切かもしれませんが、それ以上に大切なのは事業のイノベーションにより付加価値を高めていくことです。


事業とは、様々な事業資源、要素の集積だということが出来ます。イノベーションを起こす新たなビジネスモデルを構築する為には、既存事業のビジネスモデルを充分に分析し、それら事業資源、要素を抽象化する視点が不可欠です。その上で、自らが目指す事業のあるべき姿を補完する為の手段として広義のM&Aを活用すべきでしょう。


今日もありがとうございます!
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