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小売業の行くへ!

皆さん、おはようございます!
「アマゾンエフェクト」、最近よく耳にする言葉です。小売業界を震撼とさせている米アマゾンは、創業当初こそ書籍のネット通信販売というように捉えられていました。しかし、いまとなっては次時代の小売業を制する企業として恐れられるまでになっています。



米アマゾンの躍進の陰で、米国の2つの名門百貨店が混迷を極めています。
一つは「メーシーズ」。2018年の年末商戦で売上が予想を下回り、株価が市場で18%も急落しています。ネット販売部門への投資や店頭での値引き進めた結果、利益が大幅に減少したことが原因です。


もう一つは「シアーズ」。100年以上の歴史を持つ、米小売業界を代表する存在であったシアーズが、2018年10月に経営破綻しています。米アマゾンやディスカウントストアなどに顧客を奪われて業績が低迷し、現在、米連邦破産法11条の適用を受けて再生を模索している最中にあります。


余談ですが、このシアーズ、現在、経営破綻時の経営責任者(=CEO)が50億ドルでの買収を提案しているそうですが、日本でしたら経営破綻をさせたCEOが企業を買い取るなんて考えられません。文化や法律の違いなのでしょうが、米国の企業と経営者個人とは一線を画している考え方は日本にも導入すべきだと思います。


さて、メーシーズとシアーズ両社に共通しているのは、米アマゾンに対抗するため①商品の値引き合戦、②ネット販売投資、③物流コストの高まりで体力を消耗している点が挙げられると思います。米アマゾンはご存知の通りネット通販会社であるため、実(=リアル)店舗を持たないため、その分、商品の販売価格を低く抑えることができます。


それに対抗しようと、リアル店舗を持ついづれの小売業もネット通販への取り組みで投資が嵩み、それがまた事業の固定費を高めてしまうという悪循環に陥っています。更には、米アマゾンのネット通販による宅配物流数量が急激に増え、米国でも物流コストが高まっており、それもまた小売業にボディブローのように効いてしまっています。


伝統的な小売業の中でも勝ち組の代表格である世界最大の「ウォルマート」でさえ利益率の低下に直面しているそうです。ネット通販企業の買収をしたり、その為の財源を捻出するために海外子会社の売却や店舗のスクラップアンドビルドを進める状況にあります。日本では「西友」の売却が取り沙汰されていることは記憶に新しいと思います。


日本にとっても他人事ではなく、「イオン」や「ユニクロ(=ファーストリテイリング)」は情報化投資に数千億円から1兆円を費やすまでに至っています。更には、日本固有の問題として生産労働人口の減少による人手不足から物流コストが米国以上に高まっていることを指摘しない訳にはいきません。


ファーストリテイリングの柳井会長兼社長は、米アマゾンの存在にあからさまに危機感を抱いています。日本で製造小売業(=SPA=Speciality store retailer of Private Apparel)を成功させ、日本の小売業を追い落としたファーストリテイリングが、今度は追われる立場となっています。


米アマゾンの本当の怖さは、いまはコモデティ商品を扱うネット販売業者の立場ですが、情報技術、特にAIの進展により、生産までを取り込みカスタムメードの商品を提供することが出来る様になると、一気にSPAをも凌駕してしまうところにあります。
これは夢物語ではなく、現実の問題として受け止める必要があると思います。


では、米アマゾンだた一人だけが勝ち組みになるかというと、流石の米アマゾンでもあらゆるジャンルの商品についてSPAを実現して行くことは現実的ではないと思います。
アパレルならアパレルの流行を踏まえた商品開発というノウハウが必要になります。そこまで、米アマゾンが事業資源として手中に納めるには限界があるでしょう。


きっと米アマゾンは、ネット販売網、物流網、オンデマンド生産といったインフラを提供する会社となり、各々のメーカーや小売業者を自らのプラットフォームに載せる様になるのではと思います。個々の企業が情報通信投資に兆単位の費用を費やすよりも、パートナーシップを結び相互乗り入れをすることで、社会全体の無駄を省くことも出来ます。


また、市場の原理として、米アマゾン一社のみでなく競争すべき相手が現れることにより、健全な成長が促がされるのではないでしょうか。ただし、その競争すべき相手が未だ出現していないところに問題があります。これからの時代、社会のあらゆるものがネットワーク化されて行くと思います。全くの異業種から対抗馬が現れるかもしれません。


今日もありがとうございます!
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