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資本の論理と人間の論理!

皆さん、おはようございます!
若い頃にはあまり習慣となっていなかった読書ですが、最近は月に6冊くらいを読みこなしています。当然に自分の関心テーマの本を手に取る訳ですが、共感できる本に出合ったときの満足感は格別です。先人の知見に触れながら、自分とは異なる切り口を与えてくれます。



スーパーマーケットの西友と、西友のPB(=プライベートブランド)商品から派生した無印良品を運営する良品計画が、皮肉にも2021年度からそれぞれ異なる対極の方向へ、第二の創業期、第三の創業期を踏み出すそうです。20年余り前にセゾングループで仕事をしていた私にとりましても、とても身近で感慨深い現実であると受け止めざるを得ません。


西友はバブル経済崩壊以降の2000年代に経営不振からウォルマートの傘下に入り、EDLP(=毎日が安売り)を標榜したディスカウントストア路線に転換した経緯があります。
国内流通業各社からは黒船の来訪に戦々恐々と受け止められていましたが、実際には日本人の木目細かい消費嗜好に受け入れられず、その後も西友の業績不振が続いてしまいます。


その間にダイエーをはじめとする流通各社の買収によるボリュームディスカウントの追求を窺いますが、同業者からの信頼も得られず抜本的な梃入れに至ることがありませんでした。
そして去年、米ウォルマート本社による西友売却の話しがスクープされ、紆余曲折がありながら米投資ファンドが65%、楽天が20%の株式を取得するという発表が為されました。


今後西友は、投資ファンドという資本の論理の下、ネットと実店舗の融合を進め、AI(=人工知能)を活用したデジタル小売りという第三の創業を目指していきます。一方の良品計画は、2020年に迎えた創業40周年を期に、従来の小売業のあり方を反省し第二の創業を目指すことを打ち出しています。親子企業が同じタイミングで新たな創業を目指します。


大量生産大量消費という経済合理性の追求により軽視された生産者、地域、環境の再生と企業成長の両立を目指し、フードロスを削減するために店舗に量り売りコーナーを設けたり、地域住民のための相談所設置やチェーン店一括仕入れを見直し個店仕入を増やすなど、地域に土着したコミュニティに脱皮すべく、人間の論理を重視する経営に舵を切るそうです。


全国にある2千超の地元スーパーや赤字経営の多い道の駅に隣接する形で、地域密着型の無印良品を出店していけば、まだまだ企業成長していく余地もあると目論んでいるようです。
この親子企業が真逆の発想により新たなスタートを切ることについて、いまという時代を風刺する現実として受け止めざるを得ません。行き過ぎた資本の論理をどうしていくべきか。


西友がネットと実店舗の融合を目指していくことは、流通業界としては自然の流れだと思います。今までの店舗運営を継承しているのみでは成長に覚束ず、時代を先取りしていくことも必要でしょう。しかし、それは新自由主義という考えを背景としたものであるのではないでしょうか。必要なことは私たち生活者のために事業が存在し得るという現実があります。


これに対し良品計画が進んで行こうとする方向は、一市民企業として社会の問題、私たちが邁進してきた過ちを事業をとおして是正していくべく、舵を大きく切っています。技術進歩も必要かもしれませんが、それ以前の問題として私たち人間が人間らしく生きていくことも考えるべきでしょう。このことは、全ての事業者に投掛けられているテーマだと思います。


今日もありがとうございます!
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