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「人への投資」100社超連携!

皆さん、おはようございます!
これまで人生で2度ほど大きな谷間を経験したことがあります。それまで培った蓄積を全て投げ打ち素の自分に向き合ったとき。はじめた事業が上手くいかなくなり孤独の中で英断を迫られたとき。それら経験により得た自分自身を見つめる機会が強みなのかもしれません。



ソニーグループやキリンホールディングス、SOMPOホールディングスといった日本の主要企業が、社員の広い意味でのリスキング(=学び直し)で連携する協議会を8月に設立するそうです。経済産業省と金融庁が支援し、100社超の参加を目指しているそうです。社員が相互に兼業・副業する仕組みを設けたり、共同で学び直す「人への投資」の拡大です。


官民共同で設立するのは「人的資本経営コンソーシアム」です。人への投資は岸田文雄政権が掲げる経済政策「新しい資本主義」でも重視されていますが、具体策は手探り状態の企業が多いのが現実です。意欲的な企業が知見を持ち寄り、取り組みが遅れている企業の人財戦略に刺激を与えるような連携を目指します。急に人財戦略にスポットが当りはじめてます。


協議会参加企業は、リスキングの先進事例の共有や協力を検討する作業部会を設け、傘下企業間で相互に兼業人財を受け入れたり、リスキングのメニューを共同開発したりすることも視野に入れるそうです。デジタル技術などを集中的に学び直し、企業内でイノベーションを起したり、成長分野に転職したりしやすくする必要があるとの考えが根底にあるようです。


最も着目すべき点ですが兼業や副業を通じて獲得した多様な能力や経験は、本来の所属先企業にも新たな刺激やアイディアをもたらす可能性を秘めています。企業の採用活動でも人への投資は無視できない要素となっています。兼業・副業の容認などに着目して企業を選ぶ学生もおり、企業の「人への投資」開示の重要性は一段と高まっていくことになるでしょう。


先にパルコやブリジストンなど6社が、社員を相互に副業させる仕組みを導入することを発表していますが、これら企業も「人的資本経営コンソーシアム」に合流することになるのでしょう。また、外資系大手日用品メーカーなどでは、コンソーシアム企業相互に兼業・副業を行うに留めず、必要な人財そのものをプールし合い共用する検討がなされている位です。


急に人財投資へ産官連携で舵を切って来たことが否めませんが、これは世界的な潮流でありそれに迎合しているというよりも、大手企業をはじめとする日本の企業の閉塞感が深刻だからでしょう。今回の取り組みは一過性で終わることなく、働き方の大変革に向けた胎動が緒についたばかりと言うことができると思います。雇用流動化の流れは止まらないでしょう。


考えてもみれば産業革命以降に企業という文明の利器を発明し、ピラミッド型階層組織を前提とした業務の標準化と効率化により、規模の経済を追求してきた僅かながらの歴史がありますが、その背後には弊害も潜んでいたと言えるでしょう。これまでの社会は人間科学よりも物理科学を優先してきましたが、いよいよこれからは人間科学に焦点があたる時代です。


人間は個性的な暗黙知を拠り所として活動するものです。暗黙知を形式知化するためには言語という便利なツールを活用するのですが、言語というものは厳格に定義付けされている様でそれ以上に曖昧なものはありません。その意味では、本当の意味で暗黙知を形式知化する為には同じ企業文化を背景とした言語を拠り所としていては限界があるものと考えてます。


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SME丸山学校!

皆さん、おはようございます!
LINEやMessengerなどSNSの登場により、これまでのEmailとは異なる用途でコミュニケーションが出来るようになりとても便利だと思います。ただし、その目的に応じ上手く使い分けることを怠ると誤解を生じる場合があることに留意が必要でしょう。



ソニー・ミュージックエンタテイメント(=SME)の元社長である丸山茂雄さんは、同社社長を退いた後の1年半、取締役として力を注いだのが「丸山学校」という、新たなレーベルを立ち上げられるような人財を社内で育てるための社内起業家育成です。エピック・ソニーやソニー・コンピュータエンタテイメント(=SCE)の実質的な創業者でもあります。


大企業となったSMEの中では、社員も自分が担当する「部分」のことは分かっていても、会社の「全体」を知る機会が少ない弊害が生じており、丸山学校ではアーティストとの契約や著作権の管理、経理、財務などを一通り教えていたそうです。選抜した中堅社員を対象に週1回朝から晩まで各部門の専門家を先生に仕立て、丸山氏自身も授業を行ったそうです。


もちろん校長である丸山氏は、ベンチャー企業の話しをされたそうです。カリキュラムは1年で、2何間で50人ほどが卒業しているとのことです。こうすることにより、急に新しい企画を思いついた時に会社のどこに駆け込めば良いかが分かり、そんなノウハウを授けるのが重要だと考えていたそうです。企業という生態系の一面を良く物語っていると思います。


丸山氏の日本のスタートアップ創出の持論は、社内起業というスタイルで増やしていくことが望ましいとしています。現状、多くの大手企業がCVCという手法によりファンドをつくり外部のスタートアップ企業に出資ていますが、その実はかなりおっかなびっくり手探りで行っているのが正直なところだと指摘されています。横並び意識も働いていると思います。


それより能力や人柄がよくわかる自社社員の創意工夫に賭ける方が合理的だとしています。社員から企画を募り、これはというものを別会社として独立させ、資金も出す。うまく行きそうなら発案者の社員にも株を持たせる。企画募集は継続的に、粘り強く実施するのが大事だと見ています。サラリーマンとして創業業者気分を味わった方ならではのコメントです。


もちろんソニーのブランドや資本力があってこそ、仕事が成立していたのは紛れもない事実であり、そこをわきまえながら子会社、孫会社をどんどん創って繁栄することを日本の産業界はもっと真剣に考えるべきだとしています。大手企業となった企業も、新たな事業を創出しながら事業を継続させて行くことが社会的な使命であることは紛れもない事実でしょう。


現在の大手企業からイノベーションにより新しいスタートアップが生まれて来ないのは、丸山氏の指摘のある通り企業内の業務機能が細分化され専門特化されており全体を客観的に俯瞰できる人財が育っていないことが挙げられます。また、大手企業には創業以来蓄積されてきた企業文化があり、それに洗脳されないと一人前として認めない悪しき慣習もあります。


その様な状況を打開していく為には、生産性や効率性といった規模の経済を追求する常識の中にも、無駄や遊びの部分を残しておかなければいけないと思います。新たな事業を創出するためのアイディアはピラミッド型階層組織の中からは生まれません。企業を形づくっている垣根を度外視して自分の気持ちの趣くまま自律的に行動できる人財育成が必要でしょう。


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3000人を配置転換するJAL!

皆さん、おはようございます!
いまの若い方々は、とても優秀だと思います。専門知識の吸収力にも優れ、何よりも与えられた課題に対し十二分な解答を導き出してきます。ただし、それが何の為の解答かといいますと、少しでも高い給料を得るためでなく、糧を得るためである事を忘れてはなりません。



日本航空(=JAL)は、グループ全体の従業員数約3万5400人の内9割に当たる約3万1300人がJALブランドを中心とした航空輸送事業で働いていることについて、その3000人を主力航空事業から格安航空会社やマイレージ事業など非航空分野に配置転換する方針を打ち出しています。コロナ禍によりビジネス需要低迷が長期化するとの判断です。


JALが非航空事業を軸に人員構成を見直すのは初めてのことであり、約3000人のうち約6割を空港販売やネット通販、保険事業などを手掛けるJALUXという商事部門を司る子会社に、約4割を2020年に運航を開始したジップエア・トーキョーなどのLCC事業に移す計画です。いち早く需要が回復すると見込まれている観光需要に対応する狙いです。


JALは2022年度に国内線でコロナ前の9割まで需要回復を見込む一方、国際線は5割弱に留まると見ています。ドル箱であったビジネス客はオンライン会議などの普及で出張が減り、コロナ前の水準には容易には戻らないとの見方が為されています。一方で、LCCの主要な顧客である観光客は、コロナ禍後の回復が比較的早いと推測しているとのことです。


同業のANAホールディングスもANAブランドの航空事業の従業員を減らすことにしています。2025年度末までに2020年度末比9000人減の約2万9000人にすることを既に発表しています。定年退職や採用抑制による自然減でスリム化する他、今年度から国内観光事業を営むANAあきんどなどグループ会社に転籍できる制度も始めたところです。


コロナ禍による需要変化にあわせ、航空会社に拘わらず旅行事業などを営む業界でも人財の再配置や新規採用などで事業構造転換に乗り出す動きが広がっています。大手旅行会社のJTBは総合職とは別にIT(=情報技術)関連の人財をデジタル総合職として継続的に採用することにしています。それは旅行以外の事業を強化することを狙いとしているからです。


また、同業の日本旅行でも、2025年度までの中期経営計画を見直し、非旅行業分野の強化を1つの柱として旅行代理店業から顧客と地域のソリューション企業への転換を目指します。社員数は2022年度に2019年度比で3割減らし、100億円規模の経費削減を行う計画です。JR東日本でも業務の兼務制度を導入し、柔軟な人財の運用を目指してます。


こうやって航空業界や広い意味での旅行業界の動向をつぶさに俯瞰してみますと、JALの対応は遅きに逸している様にも見えます。東京五輪・パラリンピック開催を背景としたインバウンド需要の高まりを前提にして、国際線の機材計画や人財計画を立て実行に移してきたと思いますが、需要が急減した今日においてもそのまま体制が維持されてきたのでしょう。


また、旅行需要にシフトするとは言っても、全ての航空会社や旅行会社が限られたパイに傾注することになりますので、そう簡単に業績を回復させることは難しいのではないでしょうか。また、社外で経験を積んだ出向社員を非航空事業で活用するとしても、2~3年の業務経験がそれら非航空事業でどの程度活かせるか未知数だということも忘れてはなりません。


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