誰にも聞けない経営財務戦略!

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原点に立ち返る!

皆さん、おはようございます!
現在とある企業の経営改善計画を作成してます。見立てた事実を定量情報と定性情報によって客観的事実として、その企業が生き延びられる道を表現していくことになります。企業として出来る手は全て打ってますので、実態に見合わない残るローンをどうするかでしょう。



課題に直面した時に、過去を振り返り原点に立ち戻ることの大切さを学んだのは、30代前半に経験した某大手流通グループでの会社再建業務に携わってからだと思います。途方もない数の子会社や事業を再建させて行くためには、その一つずつの事業についてビジネス面、財務面、法務面から過去を紐解いていくと、事業が駄目になった理由が浮かび上がります。


事業が上手くいかなくなるには、必ず過去を振り返れば原因があって、それが現在の結果となって現れているのです。一般的に大手企業ともなればビジネスマネジメントが行き届いており、新たな事業を開始する際にも入念な計画書が作成されますし、その後も毎年の予算時期に近づきますと年度計画書を作成するでしょう。そこでは必ず儲かることになっている。


ところが、いざ蓋を開けてみますと計画通りの実績が出ないという現象が多発してしまうものでしょう。中には、そもそも予算の見立てが甘くて、売上を安易にお手盛りすることは論外としても、それすらそもそもなぜその事業を始めたかまで遡ってみれば、当初、その事業が描いていた事業理念やビジョンと大きく逸脱していることが理解できることと思います。


大手企業にありがちなパターンとして、組織としての遠心力が働き、なんとなく事業を始めていることが多いのかもしれません。その時に真正面から事業と向き合う企業内起業家が居てくれさえすれば、体裁の好い事業計画に終始することなく、きちんと自分の事業に賭ける思いを事業理念として、ビジョンやビジネスモデルにまで落し込むことが出来るでしょう。


その思いがあるからこそ、なかなか思い通りにならない事業を市場環境などに合せながら研ぎ澄ませて行くことが出来るものなのです。事業を立ち上げある程度の軌道に乗れば人事異動になるというのが大手企業での世の常です。その事業の後を引き継ぐ後任者に、そんな初代起業者の事業に対する思いまで引継がれることはまずあり得ず、事業が迷走しだします。


渋沢栄一翁の「論語と算盤」ではありませんが、事業を行うということはただ単に数字面の帳尻を合わせてばかりいれば良いというものではなく、その事業を通して自分自身が社会にとって必要な何を実現しようとしているのかという哲学にも似た価値観を確立していることが不可欠なのですが、なぜか現在の企業内教育ではこの点が欠落してしまっている様です。


会社を建て直す際には、まずは経営者と向き合い、これらの点を十分に掘り下げて気付きを与えることです。人には誰しも現実に向き合い、それを理解し、思い描いている自分の姿と現実の姿とのギャップを乗り越え、成長していく力を持つものです。事業を行うことはある意味人生修業の様なものかもしれません。その肝が据わっていれば事業は上手く行きます。


そこが事業の1丁目1番地とするなら、後の事業を行う過程で試行錯誤しながらも、なかなか上手くいかない場合もあります。その様な時に人は自分で自分を客観的に俯瞰できなくなるものです。その時は、そもそもそれを行い始めた課題とも言うべき理由を振り返ってみると、意外に課題修正アプローチの方法に間違いがあることに気付く場合も多々ある様です。


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道徳銀行!

皆さん、おはようございます!
生産の4要素と言えば、ヒト、モノ、カネ、そして情報であることに疑う余地はないでしょう。これまでに傾注してきたことは、そのうちモノとしての不動産やカネのマネジメントであったと思います。最近では、ヒトの能力を最大限発揮することに興味があり深めてます。



近代銀行の祖といえる渋沢栄一翁が唱えたのが「道徳経済合一」という哲学であり、道徳銀行がその神髄です。収益は結果であり、顧客の悩みに応えれば収益は頂けるという考え方です。目先の利益に目がくらんで経営を傾けた1990年代の日本の銀行はこうした理念ををざなりにしていたのではないかと思います。悪戯に銀行同士を再編すれば良い訳ではない。


渋沢一が銀行制度の創設時に提唱したのが株式会社の金融機関である。株式会社である以上
、収益追求するのは当然ですが、地域のための金融機関に徹することが中長期的には銀行の成長に結びつくという渋沢の教訓を見失っている様に思えてなりません。そんな道徳銀行を地で体現する銀行があります。それはりそなホールディングス傘下の埼玉りそな銀行です。


2003年5月に実質国有化が決まり、りそな銀行はピーク時に最大3兆1280億円もの公的資金が入っていた経緯があります。それとタイミングを同じくし、埼玉りそな銀行が営業開始しています。傘下のあさひ銀行(=旧協和銀行と埼玉銀行が後に合併)と大和銀行を合併させる際に、わざわざ埼玉県だけを銀行分割という手法で切り出した経緯があります。


あさひ銀行の前身の一つである旧埼玉銀行は規模の拡大を追求してきていますが、地域の銀行として原点に立ち戻ることにしています。それから20年余りの期日が経過し、営業区域を県内に絞った結果、中小企業(=個人を含む)などへの融資残高が2004年3月期を境に増加に転じ、発足時から現在までに6割近くも増えていたとは正直に驚きを隠せません。


りそなグループの一員としてシステムなどを共有できるので、営業経費は地方銀行が3割近く増えたのに対して、埼玉りそな銀行は6%増に留めているそうです。金融庁も、2003年から始まった「リレーションシップバンキング(=地域密着型)金融政策」がそれを後押しする格好です。日本の国内生産の6割が地方が稼いでいることが意外に知られてません。


ここを梃入れしなければ日本経済全体の成長は叶わないでしょう。地銀再編などを通じ自らの経営体力を高めても、地域経済を牽引する企業の資金需要をいかに掘り起こし、支えて行くかが必要となります。最近、埼玉りそな銀行の親会社であるりそなホールディングスが、身軽となった財務基盤を背景に様々な施策を打ち出しているのでご紹介したいと思います。


一つは地域金融機関との資本提携。もう一つは銀行と親和性の高いビジネスの買収や出資です。これまでりそなは独自に開発したスマートフォンアプリや、顧客がまとまった資金の運用を一任するファンドラップを地方銀行に提供して緩やかなつながりを求めて来た経緯があります。今後は、顧客基盤の拡大を見据えた、地銀との資本提携にも意欲を示しています。


また、リース事業や証券事業など銀行を補完するビジネスの強化も視野に入れているといいます。やはり公的資金が入って20年の節目に、攻めの姿勢をとるのは巡り合わせかもしれません。地方銀行の再編はこれからでしょう。ただし、それは規模の経済を追求する目的だけではなく、飽くまでの地域経済の為、その地域で事業を営むお客様のものである筈です。


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企業価値議論!

皆さん、おはようございます!
損益分岐点売上高の算出は財務における基本かもしれません。ただし、それを求める公式に偏っているため、その売上高を超えないと利益が出ないことが理解できても、その算出プロセスを理解していない場合が多いです。そんな時、変動損益計算書を使用すると便利です。



株主の立場から企業の経営や財務戦略など、様々な注文をつけるアクティビズム。セブン&アイ・ホールディングス(=HD)の株主総会は、日本企業がいかにアクティビスト(=物言う株主)と向き合うべきかを示す一つの事例を示しています。セブン&アイHDによれば
、米有力ファンドのバリューアクト・キャピタルと初めて接触したのは2020年11月。


30回以上に渡る対話の中で問われたのは、百貨店やスーパー、コンビニエンスストアなどを複合的に経営することによる株主価値の毀損「コングロマリットディスカウント」だったそうです。確かに資本の論理によると、規模の経済を追求することが唯一企業価値を最大化させる方法であるという幻想に溺れてしまいがちですが、私は必ずしもそうは思いません。


短期的には企業価値を高めることが出来ても、いずれ市場が飽和してしまい、やがてそれまで築き上げた店舗網が重い足かせとなってしまうでしょう。まだ、緒に就いたばかりの市場であるなら理解できますが、市場が既に成熟している中では、現在の事業資源を縦横無尽に再構築して新たな業態を開発することが、急がば回れではありませんが近道だと思います。


セブン&アイHDの井阪社長は「食」を中心に据えたグループ競争力の向上を株主に訴えかけ、賛成率76%を獲得し再任を果たしています。メディアの取材を通じ「食」戦略を進めるためにはスーパーの人材や開発力が不可欠だと主張して功を奏した形です。それにしても執拗なアクティビストからの狙い撃ちに、よくぞ逃げず信念を貫き続けたものと思います。


一大流通企業グループの経営を担う責任者として、未だ見ることのできないグループ企業の将来を見据えて行くことは並大抵の精神力では出来ることではありません。付け焼刃の思いつき発想では、アクティビストから見抜かれてしまい論破されたことでしょう。どんなに大きな企業グループの経営者であっても、最後は一人の人間であることに変わりありません。


企業グループのビジョンを描き出していく以前に、人間個人として生きる信念を自分自身で十分に理解している必要があり、そこから得られた価値観を貫き通す程の熱い思いがなければなりません。ただし、大手企業の場合は経営戦略を経営者自らが考えなくとも、優秀なスタッフが支えてくれます。その点ではビジョンに魂が籠らなく成りがちな点が否めません。


その意味では「食」を中心に据えた競争力の向上とは言いましても、確かにセブンプレミアムというプライベートブランドパッケージの食材をセブンイレブンのみならず、イト―ヨーカ堂の食品売り場で販売していますが、それだけで競争力が向上するとは到底考えられません。食の分野ほど嗜好性の強い商品はありません。もっと多様化に応える必要があります。


そこまで食に拘るのであれば、セブンイレブンとイト―ヨーカ堂の食品事業を機能別に再編する、小売りから食品メーカーを創出しても良いでしょう。店舗運営については、商業デベロッパー視点を採り入れ、もっと店舗全体の付加価値が上げるような施策が必要ではないでしょうか。それを自ら考え抜いていくことこそが、経営者に求められていることでしょう。


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