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中小企業の経営者保証融資!

皆さん、おはようございます!
日本経済の基盤を支えているのは中小企業であると言われています。その中小企業を支えるはずの金融機関が中小企業の後継者難による廃業問題でも岐路に立たされています。
そろそろ金融機関のビジネスモデルも新たな枠組みへと変えていく必要があるでしょう。



中小企業は、金融機関からの借入について、その返済を経営者が個人で保証する、いわゆる個人保証がなければ融資が受けられないことは良く知られたところです。大手企業に比べて財務基盤も収益力も見劣りする中小企業にとって、それだけの理由で経営者個人にまで保証債務を負わされるのは不合理と感じている方も多いでしょう。


本来、お客様である中小企業と金融機関は対等の関係であるはずですが、資金を借りる立場の弱さに付け込まれている様にも見えます。中小企業が事業リスクを取っているのであれば、金融機関も中小企業の事業性を充分に評価した上で、融資リスクを取るのが筋だとも言えます。


金融機関が中小企業への融資に際して経営者から個人保証を取る言い訳として、大手企業は自社の会計について会計監査法人による第三者のお墨付きを貰っているが、中小企業の財務諸表は信憑性が乏しいというものがあります。しかし、本来、融資に際しての事業性評価というものは、そこも含めた評価であると言うことが出来ます。


正直なところ、金融機関が経営者の個人保証を取るのは、金融機関にとっての経済合理性だと思います。将来起るかもしれない貸倒れリスクに対して、予め個人保証を取ることにより保全しておきたいという考え方が見え隠れします。これは日本ならではの固有の慣行であり、海外では見られない制度ということが出来ます。


また、中小企業の経営者が自らの事業に自信を持っているなら、個人保証が出来て然るべきである。または、個人保証する位の腹が据わっていなければ、融資など出来る訳がないという話しも聞こえて来ます。確かにその通りではあるのですが、経営者の自らの事業に対する責任と、実際に個人保証を取るか否かは別問題であると思います。


いまこの金融機関による中小企業経営者に対する個人保証を求めることについて、事業承継に際して後継者が事業を引き継ぐのをためらうという問題が顕在化しています。後継者を見つけることすらままならない中小企業が、ようやく後継者を見つけても、債務への個人保証を敬遠して事業承継が暗礁に乗り上げる事例が増えています。


その様な中、中小企業庁などは個人保証をつけない融資の環境作りに乗り出しています。事業承継にあたって個人保証を外せる条件を具体的に示す方針です。例えば、業務効率化計画など事業性の評価を重視する方針を盛り込む他、金融機関と融資の協議をする際に弁護士など専門家を国から派遣する制度も検討する予定です。


個人保証には中小企業でも金利を抑えられるという信用補完の機能があると言われています。逆に言えば、マイナス金利の影響で利ざやが縮小する銀行も、個人保証を必要最小限に留めることにより中小企業の事業に対して適正な金利を収受できる融資モデルに転換できる可能性があると言えます。


事業承継がうまく進まなければ、中小企業が持つ有力な技術などが失われかねません。中小企業との取り引きが多い地方銀行にとっては、融資の焦げ付きを防ぐことばかりに目を奪われているうちに、取引先が失われて行くという現実の問題に直結しているとも言えます。銀行のビジネスモデルが自らの首を絞める形になっていると言えます。


この問題は、先日、本ブログでもご紹介した金融庁による金融機関の貸出債権査定評価とも大きく関わって来るものです。金融庁がそれまでの融資先に対する財務内容による画一的な査定から方針を180度転換して、金融機関の裁量で融資先企業の将来の事業性評価により貸倒引当金を積むようになります。


金融機関がお客様である融資先の中小企業の将来の事業性を如何に評価するかが大切です。個人保証を含めた担保設定状況にのみ依存して貸出債権の実質価値を評価するに留まっていると、いつまでも新たな融資が行われずに金融機関の資金供給機能としての目的が果たせなくなり社会的な損失となってしまいます。


個人保証がない融資について、それだけ貸出リスクが高まるのであれば、それに見合う金利を収受すれば良いだけだと思います。その様な検討も行わずに、画一的な過去の慣行を押しつけてばかりいずに、金融機関も新たなビジネスモデルに転換すべきだと考えます。
お客様のニーズが変われば、それにあわせて商品設計も変えていくのが事業です。


今日もありがとうございます!
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