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ANAの社会貢献債!

皆さん、おはようございます!
生きたお金の使い方が必要な時代だと思います。お金と言いますと、その無機質な数字の羅列が故に、ついつい損得勘定のみで判断しがちになります。もちろん、経済を成り立たせる為にはそれも必要ですが、それだけでは社会が成り立たないことを理解すべきです。



一昔前までは、お金の使い方にも人情や信頼といった、相手の顔がハッキリと見えていたのだと思います。それがいつの間にか、高度経済成長やバブル経済を経て、金融経済が金融工学の力を借りて高度化するにつれ、私たちの生活から乖離してお金だけが独り歩きをするようになってしまっています。


少しでも利回りの高い投資を求めて、国境を越えて自由に動き回るお金は、実体経済における実需から乖離しはじめて、マネーゲームの様相を呈している現在の姿は、バブルと言われても仕方がないと思います。いつからお金は、利益を追求することを目的とした効率性至上主義の道具と化してしまったのでしょう。


お金というものは、それを使う人の人間性によって、生かすことも出来れば、殺すことも出来るものだと思います。いまの時代に必要なのは、社会貢献と両立するお金の使い方だと思います。実体経済において、企業が事業を通して社会の課題を解決することを期待されているのと同じ様に、お金もまた私欲に塗れることのない社会性が望まれています。


全日本空輸の親会社であるANAホールディングスは、社会的な課題の解決につながる事業に資金使途を限定した社会貢献債(=ソーシャルボンド)を国内の事業会社では初めて50億円発行します。社会貢献債の償還期限は7年で、利率などの諸条件は今後、詰めて5月に発行するそうです。


ANAホールディングスでは、調達した資金を全国の空港のカウンターや搭乗ゲートを車いすでも利用可能にするための施設改修投資に充てるそうです。来年開催予定の東京五輪・パラリンピックを控え、車いすでも利用できるユニバーサルデザイン(=年齢や身体能力に関わらずすべての人に適合するデザイン)化に調達する資金を使います。


ANAホールディングスにすれば、50億円という資金は自己資金でも賄うことが可能なのでしょうが、敢えて社会貢献債として一石を投じることは、いま世界の金融界で注目されはじめているESG投資(=環境environment、社会social、企業統治governanceに配慮している企業を重視・選別して行う投資)に配慮してのことでしょう。


未だ企業にとってCSR(=企業の社会的責任。企業は,利益追求,法令遵守だけでなく,あらゆるステークホルダーの多様な要求に対し適切な対応をとる義務があることを示す。)のニュアンスから抜けきらないESG投資ですが、情報技術革新により新たな社会の枠組みが求められる今だからこそ、事業としてそれを捉えて行く必要があります。


今後、新たな事業や商品を創出していく上で、企業は単に短期的な利益を追求することなく、長期的な視点で社会の抱える課題を事業を通して解決して行く視点が不可欠だと思います。長期的な視点で先行投資を行っていきますと、直ぐに金融市場やマスコミが短期的に採算性が悪化することを煽ってしまいますが疑問を抱かざるを得ません。


未だ金融経済が短期的な視点で効率性至上主義の利益追求を目的としていることを端的に表しているものだと思います。この行き過ぎた金融経済の視点を変えて行かなければ、社会は良くならないと思います。渋沢栄一の論語と算盤ではありませんが、私たちは「論語で人格を磨くこと」 と 「資本主義で利益を追求すること」 の両立が大切です。


お金の使い方にも、それを使う人の人間性が非常に良く現れると思います。いつまでも私利私欲に走らない、社会の為に生きたお金の使い方が求められています。企業は、調達した資金を事業資源に投資していく訳ですが、その事業資源の付加価値を高める為には、社会性をキーワードとした無形の資産を創出して行く必要があります。


また、金融市場は、その様な長期的な視点で事業を営んでいる企業を見い出し、適切に資金を投下して行く必要があります。この様な資金循環サイクルが出来て初めて持続可能な社会を創ることが可能になります。その為には、日々生活する私たち一人一人が、自ら社会を担っていることを忘れずにいる必要があります。


今は未だマクロ的に浮利を追い求め、猛威をふるうことのある金融経済も、少しずつ変わりはじめています。所詮、それは個々の人間の経済活動に起因することに過ぎません。
生きたお金の使い方。時代の過渡期にあって、理想と現実の狭間で落胆することもありますが、企業財務を司る立場として、より良い社会の創造に貢献して行きたいと思います。


今日もありがとうございます!
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