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三井物産のシェアリングタクシー!

皆さん、おはようございます!
情報技術革新の下、自動車業界ではカーシェアリングやライドシェアリングなど、クルマの概念をモビリティ(=移動手段)と捉え直し、新たなビジネスの可能性を模索しています。情報技術は、ものづくり社会からサービス社会へと変化させています。



総合商社の三井物産は、函館のベンチャー企業、未来シェア社と協力して、タクシーによるライドシェアリング(=乗用車の相乗り需要をマッチングさせるサービス)を始めるそうです。なぜ、総合商社がライドシェアリングに参入するのか、という素朴な疑問を持たれた方も多いものと思います。


総合商社は、事業領域が多種多様に及び,業務内容が単なる商品の仲介にとどまらず,事業開発,物流、金融などの様々な機能を持ちます。最近では、小売業界の川上(=メーカー)から川下(=小売)までのバリューチェーン(=お客様に商品が届けられるまでに企業間で付加される価値のつながりをいう)を構築したりもしています。


最近でこそ、米アマゾンエフェクトに注目が集まり、総合商社も情報武装して行かなければ、これからの時代を担うことができないという焦りがあります。これだけ自動車業界においてCASE(=つながるクルマ、自動運転車、カーシェアリング、電気自動車)やMaasが取り沙汰されている中で、モバイルにも関わって行きたいところでしょう。


どこの総合商社も「生活産業」領域に注力しており、その意味ではもっと早いタイミングでライドシェアリングなどの事業に関わっても良いぐらいだと思います。トヨタ自動車ですらCASEやMaaSに関わる世界のスタートアップ企業との積極的なアライアンス(=事業提携)を進めている位ですから。


今般の三井物産によるライドシェアリング事業は、日本では未だ自家用車を利用した相乗りが認められていないため、タクシーを利用した相乗りサービスです。既にタクシーを利用した相乗りサービスを事業化している企業がありますが、前日までの予約なくして必要な時にいつでも依頼できるところに目新しさがあるようです。


また、乗車場所や降車場所が異なる複数の乗客を相乗りさせる為に、AI(=人口知能)を活用して効率の良い最短ルートを算出する仕組みとなっています。このタクシーによるライドシェアリングのサービスを5年以内に全国100ヶ所の自治体に広げる計画で、まずは熊本県荒尾市で行政や地場タクシー会社と連携して事業化試験を行います。


地方都市は人口減少が著しく、バス会社の採算が悪化しており、地元自治体が交通機関に補助金を交付して交通網を維持している現実があります。交通機関としては、利用率の低い路線からの撤退が喫緊の課題となっています。そこで三井物産は、その様な地域に対して小回りの利くタクシーを活用して公共交通網を維持することを目論んでいます。


社会の課題を事業で解決する意義の高い取り組みだと思いますが、総合商社が取り組むにしては事業規模が小さい様にも思えます。きっと、今は規制で認められない自家用車によるライドシェアリング事業を見据えているのではないでしょうか。既に事業化している事業主体と協業せずに自前主義で事業を立ち上げる所にも三井物産の社風が垣間見れます。


どの様な事業展開を行っていくのか楽しみだと思います。このタクシーによるライドシェアリングビジネスを契機に本格的にMaaSへの参入を目指して頂ければと思います。
情報技術革新によるモノの「サービス化」は、クルマに限っての話しではありません。旅客機のエンジンを製造するGEでは、エンジンを製造販売している訳ではありません。


航空会社にエンジンの状況を遠隔管理するシステムを含めて使用して貰うことにより月々の報酬を得ています。飛行中にエンジンに不具合があれば、その旅客機の目的地に先廻りしてパーツ交換のための手配を整えているそうです。クルマのサブスプリクション(=製品やサービスなどの一定期間の利用に対して代金を支払う方式)も同様の考え方です。


これは、あらゆるメーカーが製品を製造するだけに留まらず、その後のアフターサービスを事業の主軸に据えてお客様との継続的な関係を創っていく時代に移行していることを意味します。お客様はドリルを購入したいのではなく、壁に穴を開けたいから止むを得ずドリスを購入する訳です。穴を開けてくれるサービスがあれば、それが選ばれるでしょう。


その根底にあるものは、製品としてのモノをシェア(=共有)するという考え方です。無駄に資源を費やすことなく、複数のお客様の間でシェア出来れば「社会コスト」も安く済ませます。それを可能にするのは、やはり情報技術だと思います。三井物産が本格的にシェアリングエコノミーに参入するのであれば、情報技術をも持つ必要があるでしょう。


今日もありがとうございます!
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