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地域航空会社!

皆さん、おはようございます!
調布飛行場をご存知でしょうか。東京都が運営する小さな飛行場で、ここから伊豆諸島を結ぶ航空路線があります。新中央航空という航空会社名で、マイクロバスの様な19人乗りの小型プロペラ旅客機4機が忙しそうに離発着を繰り返しています。



日本の空には、大手キャリアと呼ばれる日本航空、全日本空輸、LCCと呼ばれるピーチ航空、バニラエアライン、ジェットスター航空など以外にも、離島路線などを結ぶ地域航空会社があることが意外に知られていません。その地域航空会社が将来的な経営統合をも見据えて共同運航、機体整備、パイロット訓練などで事業連携を始めます。


大手キャリアやLCCは、国内線のみならず国際線にも就航しているため、海外の航空会社との競争が厳しく、海外でも通用する効率的な経営を目指さなければなりません。
そうすると数百人乗りの大型機で飛ばせる路線に就航することになりますので、自ずと数十人乗りで地域間を飛ぶ生活路線は採算効率が悪く、自ずと参入できません。


そこで地域毎に離島路線などを飛ばす地域航空会社が必要になる訳で、地元行政、地域企業などが協力して会社を設立しています。路線の赤字を補てんする為、行政より補助金を貰いながら、路線を維持していると言えます。今回の話しは、地域路線を飛ばす航空会社が各々独自経営を行っていては効率が悪いので、互いに手を取り合うというものです。


熊本空港と天草地域を結ぶ天草エアライン、長崎空港と五島列島を結ぶオリエンタルエアブリッジをはじめ、鹿児島と奄美諸島および大阪と中国地域を結ぶ日本航空系列の日本エアコミューター、北海道内を結ぶ同北海道エアシステム、そして全国の地方路線を結ぶ全日本空輸子会社のANAウイングスの5社が今般事業を連携することとなっています。


ANAウイングス以外は、全て小型のプロペラ機のみを活用しています。もともと需要が少ない路線ですが、生活の足として欠かせない為、小型プロペラ機を飛ばすことを前提として地域に飛行場を設置していますので、ジェット機が離着陸できるような滑走路の長さを持ちません。


現在は使用している飛行機の機種も区々ですので、まずはこの機材を統一すれば機体整備やパイロット訓練を共通化、機材を共用化することも考えられるため、大幅な経費削減に繋がると考えられています。また、搭乗者数を強化する為にコードシェア便(=共同運航)などは直ぐにでも始める計画を持っている様です。


そもそも地域航空会社の事業連携の話しは、国土航空省有識者会議において地域航空網の維持策を検討する中で、合併や持ち株会社の設立による経営統合を模索すべきだとする報告に沿った形で実現しています。公共輸送機関として、事業採算性のみで簡単に廃止できないが、一方で赤字垂れ流しのままでは事業存続が危ぶまれます。


そこで考えられたのが日本航空や全日本空輸といった企業グループの垣根を越えた共同事業化の流れです。第三セクターの地域航空会社であっても、やはり安全性を維持していく為には大手キャリアの技術協力がなくてはなりません。その意味では、仮に地域航空会社への資本関係がなくとも、系列が出来てしまうのが航空業界の慣習となっています。


今回の地域航空会社連携の話しには、大手キャリアのローカル線を飛ばす子会社も含まれています。日本航空や全日本空輸にとってみましても、不採算路線をグループ会社から切り離すことに繋がっていく為、メリットが大きいと思います。まずは九州の地域航空3社が、経営統合ではなくLLP(=有限責任事業組合)方式で始めるそうです。


この様に考えてみますと、各地域毎に地域航空会社各社が持て余し気味の飛行機を飛ばすよりも、機材を共用する方がコストメリットが大きい様に思います。飛行機は固定資産なので毎日目一杯飛んでくれた方が単位あたりの機材コストは安くなっていきます。その為には、少なくとも九州の3社で事業連携することは不可欠でしょう。


ちょうど、LCCの元祖である米サウスウエスト航空の様に、地域航空のLCC版の様なイメージの航空会社があっても良いと思います。高速路線バスにでも乗る様に、気軽に乗れるような利便性を追求してみても面白いと思います。その為には、必要最低限の会社としての規模が不可欠です。


安全性を高めていく為にも、航空業界とは一定のスケールメリットが働く産業であるということができるでしょう。もっと早く、その様な連携体制をとるべきでしたが、地元行政との兼ね合いもあり、各県を跨いだ取り組みを自主的に行うことが難しかったものと思います。これから航空業界も大きく変わって行くのでしょう。


今日もありがとうございます!
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