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RIZAPの財務テクニック!

皆さん、おはようございます!
会計規定は、形式的にそれに従えば良いというものではなく、それを充分に理解した上で自らの企業としての姿勢を表現していくツールでもあります。真実を追求する為のものであれば、時として会計規定を独自に解釈することも許されると思います。



RIZAPグループの2019年3月期業績の大幅下方修正により、幅広く赤字企業を安い値段で買収し、負ののれん償却益でそれら企業の赤字を誤魔化していたことが明らかになりました。そして、今般は無償同然で買い取った買収企業に対する債権を借入金を使い回収したように見せかけて債権取立益を計上していたことが明るみになりました。


会計とは、本来、企業の業績や財産状況を債権者、株主をはじめとする利害関係者の投資判断に役立つ財務情報を正しく、分かり易く記載して報告することにあります。もし、企業が虚偽や分かり難く報告してしまえば、株式市場(=上場会社の場合)が混乱するばかりか、信用経済が成立しなくなってしまうからです。


その意味で、企業が行う会計のルールは、企業会計原則およびそれを解釈する指針として概念フレームワークで定められています。特に企業会計原則は、会社法や金融商品取引法にも規定されており、法律の一種として組み込まれています。ただし、全ての経済事象の会計処理方法の細目を網羅し切れているとは言い切れません。


法の盲点を突いた会計処理を行ったという意味では、RIZAPグループの行った二つの会計処理は利害関係者を欺く意図を持っていたということが出来るため、完全に悪意があったといえます。株式を公開する企業として、ガバナンスに問題があると思えますし、企業として恥ずべき行為でしょう。


会計基準は、企業実態を財務諸表により相対的に正しく表現する為に、予め複数用意された会計処理方法から選択して適用できる様な仕組みとなっています。例えば、減価償却方法について、定率法と定額法を選択できる様になっています。企業は、その選択肢から一番適した方法を選ぶという意味ではその会計基準の意味を理解している必要があります。


いい方を変えますと、企業の経済行為をより良く表現する為に、会計基準というカルタを使用して物語りを書いていく様なものです。上場企業であれば、会計監査法人がその物語りについて、文法を逸脱していないか確認をする仕組みとなっています。ただし、監査法人は企業から報酬を貰うため、余り強く企業に具申出来ないという課題があります。


今般の負ののれんは、被買収会社の業績が赤字などの理由で取得価額が限りなく0円に近いにも拘わらず、被買収会社の貸借対照表の純資産(=自己資本)がプラスである場合に発生します。例えば、過去に蓄積した累積利益が多く簿価純資産が5億円であるにもかかわらず、買収価額は事業構造的に赤字である為に1円ということもあり得ます。


そうしますと、5億円と1円との差額を負ののれん(=単なる貸借差額)として計上するとともに、当期に利益として一括計上することを会計基準は企業に求めています。本来であれば、被買収企業の資産を時価評価して限りなく1円となるまで評価減するか、取得価額の裏付けとなった将来損失と負ののれん償却益を対応させるべきだと思います。


この部分については、企業会計基準の中でもあまり議論がなされていないところですので、今回のRIZAPの件を踏まえて、明確な規定が制定されることになると思います。
また、もう一方の債権取立益の計上は、被買収会社に対する回収見込みのない債権をその親会社から1円で買い取った(=債権額を1億円とする)とします。


その後、その被買収会社が銀行などから借入をして買収会社に1億円を返済すれば、約1億円の債権取立益が生じることになります。ところが、その被買収会社は銀行へ1億円を返済しなければならないので、結局、買収会社から1億円を借りて、その資金で銀行へ返済することになります。


ここで、買収会社は1億円の債権取立益を計上していながら、再度、1億円を貸し付けています。実際には1億円の貸付に対して回収見込みは無い訳ですから、明らかな粉飾決算に該当すると思います。ここまで来ると、財務テクニックの度も越して、単なる数字遊びとしか言いようがありません。


財務数値というものは、利害関係者に対する報告を目的とするのみならず、経営者にとって会社の管理に資するものでなければいけません。会計ルールを拠り所として、どの様な財務諸表を作成するかは、その会社の品位に繋がるものでもあります。会社の都合で会計基準を盾にいい様に解釈することなく、公明正大に取り組むべきでしょう。


今日もありがとうございます!
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