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Cafe'の機能

皆さん、こんにちは!


今日も雨が降らずに天気が持っていますね。
最近、Cafe'本にハマってまして、読むだけではなく実際に見て体感せねばと、
恵比寿、豊洲のCafe'に出かけたのですが、何と両方とも貸切で入れず。。
考えてみれば結婚式シーズンでもありますね。


読んでいる本の中で、これは名作!という本に出会いました。
「Cafe'から時代は創られる」という本なのですが、
著者は京都のCafe'で働いたり、
自らフランスに留学してまでCafe'の持つ機能を掘り下げて研究されています。


フランスのCafe'が興隆した19世紀に遡り、
何故に、まだ世に名前が出る前の著名な小説家や画家たちはCafe'に入り浸り、
天才的な芸術作品を世に送り出すことが出来たのか、Cafe'の持つ機能に焦点を当てインスピレーションやアイディアを生じさせる空間がどの様なものかを説いています。


読み終えてみて、私も学生時代心理学を学んでいたのですが、
ここまで創造力に関する心理メカニズムを理解されているとは、
単なるCafe'史ではなく、学術論文としても通用するものとして、
正直に衝撃を受けた位です。


Cafe'の機能を超えた創造力に関する学術書としては、ポランニーの暗黙知という書籍が有名ですが、どちらかというと創造力とは何ぞやという概念説明に終始していますが、
この著書ではCafe'空間という環境機能が創造する時のメンタルに与える影響を捉えて、
実際に芸術家が書かれた文献を通して検証をなされています。


芸術家を夢見る若者たちがフランスに集まる訳ですが、未だ海のものとも山のものとも分からない卵たちを受容する社会ではない現実があり、各国から集まって来た卵たちは様々なCafe'を回遊するようになり、やがて自らの心地よいCafe'に落ち着くようになる。


芸術家や芸術家を夢見る卵たちとのコミュニティを通して、やがて自らの芸風や社会との距離感を理解する様になる。その意味において、Cafe'は店主がコンセプト等を押しつけたり過剰サービスをするることがない、来店者の存在を認める、気ままな自由が認められる空間である。Cafe'の個性は、その店をこよなく愛する常連客によって醸し出される。


一方で、その様な常連客が気ままに会話を楽しむCafe'の環境が、創作活動に耽る人間にとり雑音でしかないはずの数々の会話に神経を集中する訳ではないが、肩肘張らない自分の呼吸が聞こえる位の自然体で物思いに耽っていると、無意識のうちに夥しい数の言葉の幾つかが琴線に触れ、溢れるばかりのインスピレーションが湧いてくるというのです。


音だけではなく、そこには視覚や嗅覚といった無意識の刺激もあると思います。芸術家というのは、元来、社会の体制に対して甘んじず、絶えず事実を様々な角度から客観視して普遍化する方々であることからも、誰に諂う訳でもなく居られるCafe'は居心地が良いという側面もあるようです。


商品の持つ機能を重視し、大量生産を前提とする社会の中では、誰にでも分かり易い尺度でその商品が評価されるので、人々にとってその側面からは評価に大きな偏りはありません。しかし、その商品の使い方や使うことの意味性にまで掘り下げて行きますと、個々人の個性がありますので、必ずしも同じ尺度では測れなくなります。


芸術家というのは、その意味で大衆に受け止められたモノの見方をしてはいけないもので、絶えず客観的に自らの個性で見えた見方を世に伝えて行くという意味では、非常に奥の深い哲学を行う必要があり、絶えず自らを大勢に巻き込まれないよう、独自の思想を貫き通さなければならないという意味では、大変に精神的な負担が大きいと思います。


芸術家とまで行かなくても、今の社会や商品への消費者の購買動向を見ていますと、
自分だけのもの探し→自分にとって意味あるもの→自分だけのものには価値がある、という新たな流れが次第に大きくなってきています。消費者が自らの暮らしの意味を見つめ出している。逆にいえば、今の機能性一辺倒の没個性に飽きがきていると言えます。


私は、その様な芽生えを非常に嬉しく思います。
機能性一辺倒で成熟した、標準化社会の仕組みから、もう一つの価値の多様性を認める個性社会の受容。ある一つの社会の仕組みに長く身を置くと、そこから離脱することに人間は(特に日本人は)ストレスを感じるものですが、そのストレスも極限なのでしょう。


豊洲は10年振りに行きましたが、タワーマンションが乱立していて驚きました。30年後の街の姿を考えると恐ろしい限りですが、それ以前に、欧米の個性を認める社会では、一棟に何百戸もある非常に機能性の高いマンションには、余程の選択肢がない他は誰も住もうとは思わないでしょうね。未だに建設途上であることには驚きを隠せません。


私は、経営財務の特に商品や事業の価値を考えることが専門です。
今までの財務会計の世界でしたら原価積上げがもっとも公正妥当な価値ということになるのですが、これからの時代は作り手ではなく、使い手の主観的な価値の方が重視される様になるのではないでしょうか。


この消費者の使い手側の価値こそ、自ら見い出している創造力を拠り所とするものだと思います。芸術を仕事としていなくても誰しもがMy Cafe'は落ち着き、楽しいと思います。
これからの企業経営は供給サイドの価値を洗脳するのではなく、
消費者がその使い方を考える自由に裏付けられた楽しさをも考慮に入れるべきでしょう。


企業に勤める人は、労働者である以前に、暮らしを楽しむ生活者であるべきでしょう!

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