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企業成長の意味!

皆さん、おはようございます!
経済や企業は成長し続けるものだという前提で捉えられることが多いと思います。
この地球の資源、市場というものは有限であり、未来永劫拡大することはありません。
世界的企業買収は、その限界に突き当たった現象であると言えるのではないでしょうか。



最近、日本企業が欧米企業と比べて相対的に小粒化しているという論調があります。
世界的な企業の大規模化が進んでいる中で、日本の企業はそれについていけないでいる。
日本企業は再編などによる新陳代謝が鈍く「成長の差」を生んでいるとするものです。
これからのご時世、果たして企業規模を拡大するだけが真理であるのでしょうか。


2000年末に1100億円だった日本の上場企業1社あたりの時価総額は、2017年末に1870億円にまで増えています。これに対して米国は3015億円から7953億円に伸ばし、日米格差は2.8倍から4.3倍に広がっています。一方、中国は550億円から2970億円と、日中格差が0.5倍から1.6倍に広がっているそうです。


米国ではアマゾン・ドット・コムやグーグルの親会社アルファベット、中国ではアリババ集団やテンセントなど若いネット企業が急成長していることが大きな要因としてあげられます。一方、日本企業の新陳代謝が国際的に見て鈍いことも指摘されています。上場廃止により上場全企業が入れ替わるまでにどの位の期間が掛るかという指標があります。


平均寿命(=上場維持年数の平均値)は、米ニューヨーク証券取引所の上場企業で15年、英ロンドン市場は9年、これに対する日本市場の上場企業は89年と極端に長寿企業が多いそうです。見方を変えれば英米は上場廃止企業数が増えていると言えます。特に米ニューヨーク証券取引所への上場企業数は2016年より減少が続いているそうです。


欧米証券市場での上場廃止数が増えている理由として、M&Aにより競争力の一段の強化を狙った大型再編や独自の強みを持つ小型企業の買収が増えていることが挙げられています。例えば2017年にはダウ・ケミカルとデュポンが統合し、世界最大の化学メーカーダウ・デュポンが誕生しています。


果たしてM&Aによる企業規模の拡大が企業成長として受け止められて良いのかという問題があると思います。企業再編が行われるのは、企業独自の成長が踊り場を迎えている一方、上場会社として株価上昇を維持して行くためには、毎年の利益を前年よりも増やして行く必要があるからです。


売上を伸ばす(=純増)ことなしに利益を増やすためには、コスト削減しか選択肢がありません。しかも一社単独でコスト削減しようにも限界があります。そこで採られるのが競合関係にある企業同士を統合することにより、重複する本社機能、支店、工場などを集約して更なるコスト削減を図ろうとする方法です。


企業再編は、確かに生産性を高めることには繋がりますが、必ずしも変革により新たな事業や商品の創出に繋がるものではありません。また、独占禁止法との絡みもありますので、再編により各業界毎に世界的な企業を1社だけに集約することも出来ません。企業再編により規模の拡大を目指しても、いつかは限界に達してしまいます。


資本の論理により企業規模を拡大して行くことは、一見合理性を伴なっているように見えますが、それ自体は必ずしも企業のイノベーションに通じるものではないことを理解しておく必要が必要があると思います。また、これからの時代、企業として量を追求するよりも、「質」が問われるようになりつつあります。


このことは、小粒になった日本企業の優位性を説明するものではありません。
しかし、巨大化する欧米企業に比較して量的な生産性が劣勢であることに着目する以前に、いまだ相対的に小粒な組織体制のうちに量を求める経営から質を求める経営に転換して行くチャンスであるとも言えるのではないでしょうか。


確かに米アマゾンアマゾン・ドット・コム、アルファベット、中国のアリババ集団など若いネット企業が生まれてこないことは残念ですが、生活の中に情報技術が活用され出すのはこれからが本番だと思います。こういったIT系企業の育成のためにも、日本の縦割りとなった規制を緩和していくなど社会の枠組みを柔軟にしていく必要があるでしょう。


これからの時代は、資本の論理で規模や量を追い求める時代ではないと思います。
もっと企業の哲学や理念に裏打ちされた一社会市民として、事業を通して社会の課題を解決して行く質を求める経営が重視されつつあります。今だからこそ日本ならではの審美眼をもった持続可能な社会へと転換してべきでしょう。


今日もありがとうございます!
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