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2つのM&Aマジック!

皆さん、おはようございます!
日本の経済はカネ余り現象なのか、M&A戦略が経営の常套手段の様に使われています。
時間を買うという意味では効果的ですが、M&A自体が目的化してはいけません。
今の時代に必要な相互補完効果は、新たな事業を創り出す為の資源であるべきです。



武田薬品工業によるアイルランド大手製薬会社シャイアーの買収劇はまだ記憶に新しいと思います。日本で買収としては最高額となる約7兆円もの高額な金額であったからです。
それにも増して驚かされるのが、この買収における財務や法律といった外部アドバイザーに対する報酬が1100億円にも昇ることです。


M&Aに関わるこれら報酬は、買収価額の一定料率で課されますので、数値面だけを見れば決して法外な料率を迫られている訳ではありませんが、金額が大きいと思います。
この報酬額と同額のM&Aがあったとしても、決して小さい取引とは言えない案件だと思います。それだけ、今回の買収が巨大であったことを物語っているのでしょう。


なぜ武田薬品工業は、そこまでしてシャイアーの買収を急ぐ必要があったのでしょうか。
建て前としては、シャイアーが強みとする希少疾患、血液製剤と武田薬品の重要研究分野と位置づけている消化器、中枢神経、癌関連の分野が重なっておらず相互補完性があることと、両社を合わせることにより強固な財務基盤を築くことが出来るというものでした。


その実は、武田薬品の持つ主力制約の特許期限切れが到来しているにも拘わらず、研究開発分野での新薬の芽が出ていないことに対する焦りではないかと思います。それから、グローバル企業を目指す武田薬品にとって、このシャイアーを買収することにより売上高が世界の製薬企業トップテン入り出来るという名実が欲しかったからでしょうか。


いまやどの製薬会社も情報技術革新やバイオ技術の進展により新薬の治験が通り難くなっているという話しを聞きます。一昔前に比べ新薬による効果測定が厳格になっているなかで保険財政逼迫問題があり、なかなか新薬の承認が下り難くなっていることにあります。
製薬の世界にも服薬者個人にカスタマイズした製薬へと移り変わろうとしています。


その様な製薬業界の中で武田薬品が目指すべき姿は本当に規模の拡大を優先させる必要があったのでしょうか。確かに売上で約2兆円、従業員で約2万人を擁する組織を維持していく危機感はあると思います。そうであれば、様々なバイオ新薬を開発するスタートアップと連携しながら組織を活性化させて行く独自路線もあったのではないかと思います。


もう一つのM&Aの話題がフィットネスジムを経営するRIZAPです。積極的なM&Aで多角化を進めて来た同社ですが、今期の連結最終損益が159億円の黒字予想から70億円の大幅な赤字予想になったことから、今後は新規のM&Aの凍結と不採算部門からの撤退を余儀なくされているようです。


カルビー再建で知られ、RIZAP瀬戸社長より三顧の礼で迎い入れられた松本COO(=最高執行責任者)は、その職から外れ「構造改革担当」としての職務に専念するようです。何か重大なお家事情があったと受け止めるのが一般的ではないでしょうか。就任当時の記者会見では、二人三脚で経営を安定化させるという発言が印象的でした。


RIZAPはアンビシャス市場(=札幌証券取引所)に株式を公開して以来、そこで得た資金を原資にフィットネスジム事業とは異なるアパレルや生活雑貨といった企業の買収に充ててきた経緯があります。傍から見ていても、それらの買収企業は本業とは事業上の相互補完効果が無いように見えます。


しかし、創業者である若き瀬戸社長はダイエットと同様に生活者にとって自己実現に関わる事業として積極果敢に買収を推し進め、新たな感性を持つニューウエーブとして市場から称賛されていたと記憶しています。そのRIZAPの経営の行き詰まりのからくりが買収時に発生する「負ののれん」による利益の嵩上げにあったようです。


一般的に企業買収時に被買収企業の純資産額よりも高い買収額により行われると「正ののれん」が発生します。これは買収後に資産計上され一定期間以内に均等償却する必要があります。負ののれんとは、これとは逆に被買収企業の純資産額よりも低い価額で買収した時に発生するものであり、買収時に一括して利益として計上することになります。


RIZAPでは、この一時的な利益を捻出する為に買収を繰り返してきたと言えます。しかも、当然のことながら何れの事業も赤字であり、その建て直しが頓挫している訳です。
武田薬品もそうですが、企業財務を目的化しており、本来あるべき事業が従属してしまっているところに問題があると思います。事業はやはり量より質を追求する時代でしょう。


今日もありがとうございます!
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