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三菱商事の人財戦略!

皆さん、おはようございます!
家を建ててから30年余り経ちますと、いろいろ不具合が出て来るものです。
そんな時に急な補修に駆けつけてくれるハンディーマンが居てくれると助かります。
こちらが気付かなかった所まで全て完璧に直してしまい、彼のプロ意識には脱帽です。



三菱商事が2022年までの中期経営戦略を発表しました。
その中で注目を集めているのが、約20年ぶりに人事制度を刷新し、入社10年目程度の若手を子会社のトップや本社の課長級に抜擢しやすい仕組みを導入することです。年齢に拘わらず、最適な人財が事業を指揮できる様にすることが狙いとしてあります。


今まででしたら、子会社のトップや本社課長になる為には、早くても入社から20年程度かかっていたそうです。また、これにともない報酬についても、業務の難易度と成果に応じて増減させる制度も導入します。成果によっては給与を現在よりも5割以上増える仕組みになるようです。実力主義と適材適所を徹底する制度改革といえます。


一方、併せて組織改編も実施するとのことです。現在、エネルギーや生活産業など7つの事業別に分かれているグループをモビリティ、コンシューマ、複合都市開発など10に増やすそうです。その上で、事業部門横断で事業構想を立案する担当者を置き、今まで充分にとれていない「部門間の連携」を深めていくことに着目すべきです。


商社といえば、商事機能をはじめ様々な機能を駆使してビジネスを展開しています。最近の経済のグローバル化やIT革命といった大きな環境変化のもとでは、これまでに蓄積されてきた情報収集・分析機能や市場開拓機能、事業経営に関わるノウハウ、リスクマネジメント機能、物流機能、金融機能、に加え、デジタル化機能を高めて行く必要があります。


今回の三菱商事の戦略を見て行きますと、どの事業グループもデジタル技術を取り込み新たな事業への改編が避けて通れません。これからの産業は、既存の事業に情報技術を付加してイノベーションを興して行くことが鮮明となっていきます。エネルギー事業におけるスマートグリット化、モビリティにおけるCASE化など何れもデジタル化と言えます。


CASEとは、インターネットでつながるクルマ、自動運転、カーシェアリング、電気自動車の各々の頭文字をつないだ次世代自動車の総称です。情報技術が既存の製品と融合して最適な効果を発揮する為には、それを支えるインフラを整えて行く必要があります。今回の組織改編では、インフラを整備する事業グループの新設が目立ちます。


商社の屋台骨である資源事業や食品事業といった分野でも、産業の川上企業から川下企業までを掌握してバリューチェーン(=顧客に価値が届けられるまでに企業間で付加される価値のつながりのこと)を構築して行くことが、現在の商社事業の真骨頂となっていますが、そのバリューチェーンにおいても情報技術による連鎖が不可欠となっています。


それを実現する為に、事業部門横断的にデジタル戦略部と事業構想室を設置して、縦割りとなった既存事業を紡ぎながら、その間にある新規事業の可能性の芽を拾い上げて、将来の基幹事業として育成して行こうとする考え方が鮮明に現れていると思います。その為には、新しい事業を司る人財として若手を起用して行くことが背景にあるのでしょう。


これからの三菱商事に必要とする人財を整理してみますと、①新規事業経営者、②デジタル技術者、③事業構想立案者となります。共通するのは、程度の差こそありますがデジタルがキーワードとなっており、その上でマネジメント、エンジニア、プロデューサーといった能力を持つ人財に注力していることになります。


これからの社会が求める人財として頷けるものがあります。今までの産業界とは異なり、いま世の中にないコトを思い描き、それを事業に繋げて行く独創性と行動力が必要となります。今ある既存事業群でしたら、いかに効率性を追求して行くかという意味で、分析力と幅広い素早い対応力が求められたと思います。そこで必要なのは知識量でしょう。


しかし、これからの新規事業を創出する場面においては、まだ目に見えない事業を思い描きながらそれを実行に移して行くと言う意味では、抽象化力とそれを再統合して概念化する力、および自律性が求められます。そこで必要になるのが思索力とか創造力ということになります。知識は、例えば歴史的な年号を暗記せずとも、検索すれば済む話しです。


三菱商事の様に、新たな事業を創出する為に若手を登用する制度に改まりますと、新卒一括採用における採用の判断基準も大きく変わり行くと考えるのが自然でしょう。未だ若手を育成して行くという考え方かもしれませんが、何れ新卒と中途採用を分け隔てなく、事業に必要となる人財を通年採用で確保して行かざるを得なくなるのではないでしょうか。


今日もありがとうございます!
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