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今と未来を考える経営!

皆さん、おはようございます!
これからの時代、まだまだ業界再編による企業の合従連衡が進んで行く雲行きです。
同業者同士の規模の経済を追求する覇権をかけたM&Aが大方を占めていますが、異業者同士によるビジネスモデルを転換するM&Aへの取り組みも必要でしょう。



自動車産業のCASE(=つながるクルマ、自動運転、カーシェアリング、電動の頭文字を繋げた造語)への取り組みが鮮明になっています。それにともない、自動車部品メーカーのグローバルな事業再編が動きはじめています。部品メーカーとしてもCASEへの対応を図るべく、系列を越えた合従連衡への取り組みが不可欠のようです。


日産の子会社であったカルソニックカンセイは、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズの自動車部品部門であるマニエッティ・マレリを約8千億円で買収します。
もともと両社は、日産およびフィアットに対する部品の供給をしていますので、今後のCASE対応に向けて規模の拡大を図る目的だと思います。


一方、日立製作所は子会社であるクラリオンを仏大手自動車部品メーカーであるフォルシアに約8百億円で売却します。フォルシアは、クラリオンのカーナビや自動運転技術を次世代のパーツとして組み込む計画です。自動車は1台3万点の部品で構成されていますが、CASEがにより半減することが部品メーカーの危機感に繋がっている様です。


日立製作所は、いままで半導体など非中核事業の再編に留まっていましたが、今回のクラリオンの売却は中核部門の再編に踏み切る形となっています。なぜ、パナソニックの様に異業種からCASEへの取り組みをしないのでしょう。その背景には、業績が伸び悩むクラリオンを売却することで売上高営業利益率10%を達成する目論みがあるようです。


同社としては、米ゼネラル・エレクトリック(=GE)や独シーメンスといった海外の競合企業に負けない収益力を得るには10%台の営業利益率が必要だと考えています。
クラリオンの主力事業であるカーナビは市場が急速に製品の差別化が図り難くなっており、営業利益率が4%程度に留まっていることを理由として挙げています。


仏フォルシアは、クラリオンの持つカーナビや自動運転技術を次世代自動車に必要な技術として捉えています。日立製作所としては自動車関連事業という中核部門であるにも関わらず、現状の営業利益率が10%に満たないという理由だけで同社を売却する様にも見えます。ITソルーションカンパニーを目指す中にクルマは必要ないのでしょうか。


企業が事業再編を行う場合、何らかの判断基準が必要なのは言うまでもありません。企業は確かに既存事業の効率性を追求して、結果として財務内容を良くして行かなければなりませんが、それだけでは将来的な成長が見込めなくなってしまいます。時代の過渡期においては、イノベーションが必要であることは誰しもが思うことです。


日立製作所では、クラリオンを売却する一方、台湾のエレベーター事業を営む永大機電工業を完全子会社化して成長が見込まれるアジア市場を取り込み、中国市場でのトップメーカーになることを目論んでいるとのことです。確かにアジア諸国では、まだまだ新築オフィスビルの建築ラッシュが続くと思われます。


オフィスビルもやがてIoT化が進んで行きますので、そこに向けた布石であるのなら理解できます。しかしながら、どうも営業利益率を確保する為の判断であるように思えてなりません。エレベーター自体は、技術的には成熟しており、今後、イノベーティブなエレベーターが創出されるとは思えません。


企業の経営を考える時、「今の事業」と「未来の事業」を同時に考えて行く必要があります。目の前の判断基準により課題の解決に専念しても、新時代には対応できません。未来へ向けた準備も同時に進めることが不可欠です。今の事業を考える為には分析思考で課題を掘り下げていくことが多いと思いますが、未来を考える為には創造力が不可欠です。


分析力と創造力は、全く異なる物事の捉え方です。現代は、分析思考による管理型社会だということが出来ます。しかし、これからは創造力による参画型社会という側面も持ち合わせる必要があります。分析力と創造力のバランスを取ることが大切だと思います。個人で両面を持てれば良いのですが、組織として均衡を保てれば良いでしょう。


これからの経営者には、分析力と創造力の両面を持った経営が必要になると思います。営業利益率の妥当性の分析をするのと同時に、その対象となる事業の将来的なポテンシャルを見抜く目が必要でしょう。「将来期待される営業利益率」をどの様にストーリーとして描けるかが必要な時代なんだと思います。


今日もありがとうございます!
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