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鎚起銅器の玉川堂!

皆さん、おはようございます!
早いもので、今日から11月ですね。今年もあと2ヶ月で終わると考えますと驚きます。
私の生業稼業も丸二年が経過し、ようやく落ち着きはじめ色々と試行錯誤し始めてます。
スキルを切り売りするだけではなく、自身がなにを思い描くか哲学的な思考も必要です。



一枚の銅板から鎚(=つち。モノを打ちたたく工具)で叩き出して作った器を「鎚起銅器(=ついきどうき)」というそうです。この製法で作ったやかんは1個50万円もしますが、実際に見てみますと味のある柔らかさと燻銀の輝きを放っています。緑茶や紅茶の愛好家たちが、次々と買い求めるのも頷ける様な気がします。


この鎚起銅器を製造するのは、1816年創業の玉川堂(=ぎょくせんどう)といい、新潟の燕市に本社工場を構えています。燕市は昔から銀食器の名産地として有名でしたが、バブル経済崩壊後は需要が大幅に減少し、この玉川堂も企業や公共機関など大口顧客向け需要が激減し、社員の半分をリストラした経緯があるそうです。


そんな玉川堂ですが、本社工場の見学者数が2012年から2017年の5年間の間に7倍近い約6千人に急増しているそうです。特に2012年当時はほとんど見かけなかった外国人が2017年に約400人も訪れています。政府の地方創生の掛け声はさほど聞こえなくなって来ていますが、勢いを失っていた伝統工芸に再生の兆が見え始めています。


玉川堂によれば、ユーザーのお客様と直接関係を深めたいと考えたのが変革の始まりだとしています。東京都内の有力百貨店で開催した実演販売で手応えを感じはじめ、来店するお客様との会話を通じて新たな商品開発のイメージが湧いたそうです。お客様へは、詳しい製品工程や製品の特徴、使い方などを伝えることが出来たことが良かったようです。


その後、玉川堂は流通経路の大改革を実施し、地元問屋との取引を打ち切り、百貨店など小売店への売り込みを強化し、2014年には東京の青山へ、2017年には東京の銀座(=GINZA SIX)に直営店を開店しています。この直営店を訪れた国内外のお客様が、次は新潟の本社工場まで足を伸ばし、固定客になるという流れが出来たようです。


同社の年商はこの15年間で約4億円へと倍増し、販売先はネット通販や訪日客を追い風に世界へと広がり、アジアや欧米に留まらず、最近ではロシアでの売上も伸びているそうです。伝統工芸品の製造元は多くが地方の中小零細企業が多いようですが、この玉川堂の様に地方初ブランディングに成功した例が増えているようです。


いまの消費者は、大量生産品に慣らされてしまい、本物の手づくりの温もりのある製品を手にした時に、感動を覚えるのではないでしょうか。いまの社会は、この100年足らずの間に工業化を推し進め、規模の経済という効果を存分に享受して、あらゆる製品を大量生産し価格を低減することにより暮しを豊かにしてきたと言えます。


企業の規模も遥かに巨大化し、一つの製品を作るまでにも様々な働き手が「分業」により関わることにより、出来上った製品の作り手の温もりが感じられないと誰しもが思っているでしょう。どの企業にも創業当時の伝統がありますが、それもあまりにもの急激な企業規模の拡大によりメディアを通じたブランディングとして表現しているに過ぎません。


生活者が本当に求めているのは、つくり手の顔の見える職人技としての完成度の高い製品だと思います。そこまで行きますとアート作品といっても良い位でしょう。良い製品というものは、お客様の国籍に関わらず、感じ伝わるものではないでしょうか。工業製品に満足のいかないお客様がクラフト(=手づくり)に向かい始めている様に思います。


今の世の中、あまりにも工業製品により埋め尽くされてしまっており、生活者からすると他に選択肢がないから工業製品を手にして欲求を満たしていると考えられます。代替選好とでもいうのでしょうか。本物が欲しいのに、それが漠然としていて見えないからストレスを顕在化させずに我慢をしているとも言うことが出来ると思います。


それが通信販売やインバウンドなどボーダレス化が進み、国境を越えて本物の製品が生活者の目に触れる様になっていることも、伝統工芸品に関わらずクラフトが注目されて来ている理由だと思います。これは、もちろん国内においても言えることでしょう。手づくりの製品を作ることは中小零細企業の生業だから出来ることです。


いまの社会の枠組みの中に、生活者が埋没してしまっているが故に、人間として本来生理的に我慢ならないが他に選択肢がないために受け入れてしまっていることって結構、沢山あるように思えます。それが消費者本来の潜在的な需要であり、それを提供する為にイノベーションが必要でしょう。大手企業と生業の均衡のとれた生活者主体社会が必要です。


今日もありがとうございます!
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