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情報化時代の経済!

皆さん、おはようございます!
厳しい残暑も終わり、いよいよ秋本番を感じさせる気候となってきました。
窓を開ければ、爽やかな秋風が家の中まで吹き込んできます。
松本でのチカラ仕事で全身筋肉痛の身体が癒されます。



範囲の経済という言葉をご存知でしょうか。よく、規模の経済に対比して使われることが多いです。規模の経済は多くの方が理解されている様に、売上規模の拡大を追求することにより、売上単位あたりの固定費が薄まって行き、利益が多く出て来ます。近代工業が目指してきたのは、マスマーケットを対象とした規模の経済による経済合理性でした。


これに対して、範囲の経済とは、共通の生産設備や顧客に基づいて製品の種類を増やすことによって収益を増大させることをいいます。規模の経済が少品種大量生産を目指していたのに対して、範囲の経済は多品種少量生産を目指していると言えます。お客様の好みに合わせて多品種を共通の生産設備により作りだすという考え方です。


この範囲の経済による多品種少量生産を現実のものとする為にも、情報技術の力を借りなければ成し遂げることが出来ません。その意味では、未だ情報技術が興隆していなかった時代には、企業はマスマーケットを対象として規模の経済を追求するしかなかった訳です。最近でこそ、スモールマーケットを対象とすることが現実となって来ています。


その様な範囲の経済ですが、情報技術革新を背景として、新たな概念へと変容しつつあるように思えます。例えば、建設機械メーカーのコマツでは、建設機械にGPS機能や各種センサーを装備(=建設機械のIoT化)し、位置情報や稼働情報を集約することにより保守管理の精度を格段に向上させています。


当初、コマツでは有償オープションでIoT建設機械の導入を行っていましたが、標準装備としたことで普及に弾みがついたそうです。建設機械の製造販売事業から、建設機械をプラットフォームとしたサービス事業へと事業構造を転換させているわけです。情報技術革新により為し得る新サービスですが、これも新しい形の範囲の経済だと考えられます。


その後、コマツは収集したデータを他社にもオープンに提供するIoTプラットフォームの運営会社を設立しています。建設機械というモノから生じるデータを活用して、土木建築のバリューチェーンをより安全で生産性の高いものへすることに事業目的を転換したからです。モノづくりからコトづくりに事業の中心が移動したと言えます。


これは、自動車産業が目指すCASE(つながるクルマ、自動運転のクルマ、シェアリングするクルマ、電気で走るクルマ)の先行事例として、非常に参考になると思います。
収集したクルマの走行データを自社の自動運転技術や保守サービスに活かそうという考え方に類似していると捉えることができます。


最近のトヨタ自動車の動向を見ていても、駐車場のパーク24とカーシェアリングで連携したり、ライドシェアリングの米ウーバーとの連携をしたりと、各国のシェアリングビジネスの囲い込みを行っています。狙いは、シェアリング事業で使用されるクルマから収集される各種データを活用することと、シェアリング事業ノウハウを獲得することです。


ただし、トヨタ自動車の取り組みで懸念されるのは、情報化時代の範囲の経済は、情報を一つの企業で囲い込める性質のものではありません。トヨタ自動車が異業種を囲い込むのではなく、自らが収集したデータを他社にも活用して貰えるオープンなIoTプラットフォーム化して行く必要があるように思えます。


企業の規模に拘わらず、自前主義で新たなサービスを提供するには限界がありますので、社会のためにも斬新なアイディアを外部企業から募り共有すべきでしょう。情報化社会では、オープンイノベーションを前提に考えて行く必要があります。その為にはIoTプラットフォームを様々な企業に開放していく必要があるでしょう。


この様に、規模の経済から新しい範囲の経済の移行は、既存の生産設備やお客様を大切な資源として、商品の品種を増やすだけではなく、いままでの企業では当たり前に考えられてきた自前主義を見直し、自らの企業の垣根を低くしていくことが要点となります。その上で、異業種企業との協働を進めて行くことが必要でしょう。


情報社会は、収集蓄積された情報を開かれたプラットフォームの上で、様々な事業主体が参加して共有することが不可欠だと思います。その結果、その情報を利用した事業主体が新たな多様なサービスを展開し、それがまた新たな情報として収集蓄積させて行く、その様な時代になると思います。


今日もありがとうございます!
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