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社会重視の経営!

皆さん、おはようございます!
東京は、暦が9月になった途端に、急に秋めいて来たような気がします。
昨夕からの強い雨は上がりましたが、空には重たい雨雲が立ち込めています。
Tシャツ一枚だけですと肌寒いばかりです。



2017年度に続いて、2018年度も自己資本利益率(ROE)が10%前後となり、好調な日本企業の業績が窺え知ることができます。ただ米国の15%と比較しますとまだ低いと言えますが、日本の企業の業績と欧米企業の業績を比較しますと、その質的な趣きが随分と異なる様です。


ROEを高めるためには、少ない自己資本で如何に大きな利益を享受するかということになります。日本の企業を見ていますと、手元資金や借入金をつかったM&Aにより自己資本を増やさずに利益を増やし(=レバレッジを効かすと言われています)たり、不採算事業を売却したり、自社株買いをしたりしています。


何れも、短期的な財務テクニックを駆使して、ROEを高めているようです。これらの手法は、リーマンショック前の株主を優先する欧米企業の常套手段だったと思います。
ところが、その欧米企業はといいますと、最近は社会を最優先する経営方針を明確にしているようです。社会重視の経営の方が長期的な成長に繋がると考えられるからです。


日本ではリーマンショック以降に鮮明となったカネ余り現象の中で、政策的に欧米に比べて見劣りする財務内容を是正すべく、ROEを高めることに主眼を置いてきました。
工業化社会における大量生産大量消費社会の行き詰まりにより、新たな事業や商品を創出できない企業が行ったことは、事業ではなく財務の側からそれを達成しています。


財務というものは、確かに会社の状況を計数化して、経営判断に資する情報を提供するという意味においては便利です。しかし、ファイナンス理論を駆使して、経営目標であるROEを達成したり、株価を上げたりしたところで、事業会社としての目的を全うしているとは言えません。


その様なことは金融事業者に任せておけば良いことであり、いや最近では欧米の金融事業者ですら社会を最優先する経営方針に転換しています。この辺からも、日本企業の金融会社化の姿が見てとれます。企業の経営姿勢として社会との関係を考慮するのみならず、事業として社会の課題に取り組んで行くべき時期が来ているのではないでしょうか。


CSV(=Creating Shared Value)という概念があります。
社会と共有する価値を事業を通して創造することを意味します。企業は社会価値と事業価値を追求することを両輪にして、その目的を達成して行く存在だと思います。
事業を通して社会の課題を解決していくことこそ本来あるべき企業の姿だと思います。


意外に思われるかもしれませんが、欧米企業はリーマンショックの後、行き過ぎた企業の金融化を戒め、その時の反省から企業が司る事業の目的を大きく変容させてきています。
海外に目を向けますと、英蘭ユニリーバや米ジョンソン・エンド・ジョンソンなどが社会を最優先させる企業の代表例です。


それに比べて、社会性を重んじる慣習をもつはずのわが国の現在の状況は、思わず目を覆いたくなるような有様です。確か2000年位までは、長期的な視点で経営を行っていたと思います。それが今では短期的な視点で企業を取り巻く利害関係者の中でも株主を重視する様になっているように見受けます。


企業は各々、もっと自らの経営理念に根差した哲学をしなければならないのではないでしょうか。企業たりとも、社会の一員として活かされている存在であることを忘れてはなりません。企業の存続のために短期的な利益ばかりを追わずに、事業を通して信用の創造に資することをしていかなければなりません。


その為には、企業を司る、そこに勤める役職員たちが視野を広げて、様々な事を思い、考え、ともに創造するようなフレキシブルでオープンな組織を取り戻すことが重要だと思います。いまの企業は行き過ぎたピラミッド型ヒエラルキーの中で、業務が専門分化し過ぎて、暗黙知を働かせて自由にコミュニケーションを図る環境が失われ過ぎています。


日本人は、もともと自然と共生し、集団で行動する社会性を育んできたと思います。
明治維新後の近代工業化の流れの中で、忘れ去られてしまった世界に誇れる調和の精神が深くDNAの中に刻み込まれているのではないでしょうか。
いま一度、私たちが育んできた文化を見つめ直す時だと思います。


今日もありがとうございます!
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