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暗黙知を活かす!

皆さん、おはようございます!
今日は朝から元気のよいセミの鳴き声で目が覚めました。
スズムシとのハーモニーで夏から秋への季節の変わり目を感じさせるそんな朝です。
暦の上でもあと一週間で8月も終わるのですね。



ビジネスマンらが仕事で培ってきた知見や経験といった暗黙知を売り買いする市場が育ち始めているそうです。暗黙知とは「経験や勘に基づく知識のことで、個人はこれを言葉にされていない状態でもっている」そうです。例えば、個人の技術やノウハウ、ものの見方や洞察が暗黙知に当てはまります。


ハンガリーの科学哲学者マイケル・ポランニーによれば、「人はつねに言葉にできることよりも多くを知ることができる。個人がもつ知識には、言葉で表現できる部分と、言葉で表現できない部分とがあり、前者よりも後者のほうが多くを占めている」としています。
日本企業では、個々の社員の暗黙知を形式知化し組織で共有していると言えます。


確かに、私たちは仕事を通じて体得したことを自分なりに解釈し、経験として身につけ、それをアウトプットして仕事をこなしています。その経験の全部を言語化している訳ではないことを直感的に理解しています。また、こと会社での仕事となりますと、個々の社員の暗黙知の最大公約数を言語化(=形式知)し組織として定着させていると言えます。


形式知とは「文章や図表、数式などによって説明・表現できる知識のこと」であり、例えば、マニュアルは形式知を具体化したものの典型といえます。
最近の会社では、組織が大きくなり過ぎているせいか、社内のコンセンサスを得るためには形式知により説明できる意見のみが重用されている様に思えます。


本来、会社として新たな事業や商品を創出する為には、個々人が持つ暗黙知を活用して行かなければ独創的なアイディアが出てこないものです。ところが会社が大きくなればなるほど個人の勘や経験に頼る暗黙知は組織集団の中では黙殺される傾向があると思います。
これでは会社から新たな事業や商品が生まれて来るわけがないのではないでしょうか。


また、働く個人レベルを見ても、形式知で社内を調整することばかりが研ぎ澄まされてしまい、暗黙知を体得し、それを蓄積する機会が少なくなっていることも懸念されます。
組織が成熟すればするほど、個人の職務がマニュアル化されてしまうという弊害もあります。だから、組織化することと新たな事業や商品を創出することはもろ刃なのでしょう。


最近、ビザスクという新興企業が、個人の持つ知見や強みの分野をデータベース化し、彼らの力を新規事業や市場開拓に活かしたい企業などを引き合わせる事業を営んでいます。
コニカミノルタは体臭測定装置の開発に際し、ビザスクを介して臭気判定士や調香師を起用し、市場ニーズについて意見交換、臭いの数値化などを行ったそうです。


人材紹介のパソナでは、大手企業OBらの経験や技能を顧問としてネットワーク化し、中小企業に斡旋しています。製造工程の無駄の省き方や設計図の書き方、新規顧客の開拓方法などを助言しています。生産現場や営業会議で自分の失敗談も話す、自らの実体験にもとづく指導が好評を得ているようです。


いままで人財マーケットといいますと、採用する側が要望する形式知としてのキャリア要件を兼ね備えているかどうかという視点で人選がなされています。考えてみれば、採用担当者ですら、どうしてその人財を採用するのかを社内に説明できなければなりません。選考対象である人財に幅広い暗黙知があると思っても、説明のしようがありません。


私自身、創業企業の経営、会社再建、財務、M&Aなどに長年携わってきたと言っても、こうやって活字にして見たところで、何ら脈絡のない業務を転々としてきた様にしか見えないと思います。自身の暗黙知を精一杯形式知化して一言でいうと、ビジネスモデルを構想したり、事業やファイナンスを構造化するとしか言いようがありません。


通常の求人では、金融機関でのM&A歴何年、どこそこ会社での財務実務経験何年、という切り口となってしまい、必ずしもビジネスモデルを描ける人とか事業ストラクチャリング経験のある人材募集という言い方はされません。お陰さまで、最近では中小企業の顧問として経営アドバイスをさせて頂いておりますが。。


昨今、数の上での労働需給が逼迫していると言われています。しかし、必ずしも数を満たすことが生産性を向上することに繋がるわけではありません。暗黙知の存在を認め、少しでも多くの暗黙知を蓄積して、組織として形式知化できれば、新たな事業や商品の創出といった付加価値の高い企業活動に繋げることも可能ではないでしょうか。


今日もありがとうございます!
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