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官民ファンドの再編について!

皆さん、おはようございます!
今日も空が高い、素晴らしい天気が続き心地よいです。
少し強めの暖かい風を肌で感じますと、夏の到来に思わず気持ちが逸ります。
昨晩のW杯、日本の決勝T進出が決定し良かったですね。



政府は、創業を支援する官民ファンドについて、産業革新機構を軸にした再編を検討するそうです。対象となる主な官民ファンドは、産業革新機構の他、日本の文化の産業化を対象とするクールジャパン機構、農林漁業の6次産業化を対象とする農林漁業成長産業化支援機構、環境ビジネスを対象とする地域低炭素投資促進ファンド事業等です。


まずは個別に扱っていた出資案件の情報を一元管理し、どのファンドから出資するのが適当かを話し合いで決める仕組みにし、そのうえで成長分野への効果的な資金供給と収益構造の改善に向け、2021年までにファンドの統廃合を判断するとあります。
その結果、世界で戦える日本企業を育てる環境を整備していきたいそうです。


官民ファンドは第2次安部内閣が発足した2012年以降に乱立し、現在は14あります。ベンチャー育成やインフラ輸出を支援する企業や事業に投融資して保有株の売却などで利益を確保することを掲げていますが、全体の4割強にあたる6つのファンドが運用損失を抱える状況にあるようです。


先日閣議決定した「統合イノベーション戦略」には官民ファンドの収益構造の改善を図ることが明記され、業務が重複しがちなファンドは省を超えた統廃合を検討するそうです。ファンドの趣旨に沿わない場合、有力な投資先を見逃してしまうとの懸念が根強く、投資先を見つけるのに苦慮しているファンドの連携に舵を切ることが狙いとしてあります。


海外のベンチャー投資と比較すると日本のそれは見劣りします。2016年は米国が7.5兆円、中国が2.2兆円だったのに対し日本は約1500億円に留まっています。企業価値が10億ドルを超える未公開のベンチャー企業を「ユニコーン」と呼びますが、ユニコーンは米国116社、中国71社あるのに対して日本は2社程度に留まっています。


政府の新しい成長戦略では日本のユニコーン企業を2023年までに20社つくる目標を掲げており、今回統廃合する官民ファンドを有効活用することに期待しているようです。
ここまで官民ファンドの再編策を拝見していて率直に思うことは、仮に官民ファンドを統合したところでユニコーン企業が生まれて来るのかということです。


そもそも官民ファンドの投資運用結果が赤字となっているのは、ファンド資金を持て余すほど投資件数が圧倒的に少ないこと。その少ない理由として、各官民ファンドの趣旨が明確に規定され過ぎていて、その眼鏡に叶う投資先が限定されることが挙げられます。
投資先がないというよりも、基準となるハードルが高すぎると言っても良いと思います。


ベンチャー企業というものは、歴史のある大手企業とは異なりますので、企業理念やビジョン、経営方針などが明文化できておらず、創業経営者の人的な部分に頼る場合が大きいと思います。それを官民ファンドの様な明確に規定された投資基準に合致させること自体、ベンチャー企業としての独創性を削ぐことに成りかねないでしょうか。


また、官民ファンドの投資趣旨が公共的色彩が強すぎていて、そもそも来るべき今後の社会のあるべき姿と乖離し過ぎているとも考えられます。官民ファンドの出資に加え、政府の助成金を使えるように官民ファンドがベンチャー企業に助言もする様ですが、助成金ほどベンチャー企業にとって使いづらいものはありません。


官民ファンドの投資資金にしても、助成金にしましても、資金の源泉は国民からの税金です。税金ということは、投資ないし助成の資金拠出に関して国民に対する説明責任を国が負うことになります。そうすると、その資金の趣旨に従って細かく投資基準やら助成基準が規定されることになり、どうしてもベンチャー企業に対する眼が厳しくなります。


ベンチャー企業は、時代の流れを読みながら、柔軟に経営の方針を変えて行かなければならないスピード感が不可欠となります。それにも拘わらず、いちいち官民ファンドにお伺いを立てながら経営を行っていくことは、スピード感が削がれてしまいます。
ベンチャー企業に半官半民会社として会社運営することが迫られている様なものです。


行政および行政の出先機関は法律に基づき政りごとを滞りなく執行することが業となります。これに対してベンチャー企業の生業は、現状の社会仕組みを事業を通してイノベートする位のエネルギーとパワーが必要となります。そもそもお互いに全くの水と油の様な存在というように感じます。


政府として日本にユニコーン企業を育成して行きたいのであれば、民間企業が潤沢に溜め込んでいる預貯金がベンチャー企業に流れる税制優遇策を策定するほか、長年続いている教育制度を大きく見直すことを政策として盛り込んで行く方が、抜本的な改革に繋がると思います。形骸化された対処療法では本質が何も変わらないと思う次第です。


今日もありがとうございます。
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